2015.11.27
赤ちゃんのぐずりは成長の証! 〜The Wonder Weeks〜
大声をあげ、身をよじりながら泣き叫ぶ我が子。
ミルクをあげても、抱っこしても、何をしても泣き止まず途方にくれる・・・
こんな経験、子育てをしていれば何度かしますよね。
ぐずる理由もわからないまま「これがどれくらい続くのだろう・・・」とぞっとしたこともあると思います。
でも、気づくと「うちに子も成長したか?」と思うほど落ち着いた日々が続き、そして、また気づくと「なんでなの〜」というくらいグズグズな日々が戻ってきていたというご経験もあるのでは?
実は、赤ちゃんはある一定の法則で超ぐずり期を迎えているというのです。
しかも、そのぐずり期は新たな発達段階を迎えた証拠なのだとか・・・。
その研究をまとめ、わかりやすく解説した本『The Wonder Weeks』は世界でベストセラーになっており、日本でもいよいよ発売になりました。
今回はその中身をちらっとご紹介しつつ、著者であるフランス・プローイュ博士にもお話を伺いました!
受胎日から20ヶ月で10回訪れる「超ぐずり期」=メンタルリープ
フランス博士の亡くなった奥様H.ヴァン・デ・リート博士は、発達分野においてビデオ観察や、聞き取りなどで経過観察研究を長年続け、その中でみな同じような時期にぐすることを発見したそうです。
そして、そのぐずり期をぬけた後には、一定の能力的発達が見られることも発見しました。
また、この能力的発達を別の知覚発達の研究と照らし合わせてみると、発達する時期がぴったり合ったそうです。
なんだか難しいですが、簡単にいうとグズグズ期の間に新しい感覚をおぼえ、その結果、いままでできなかったことができていたり、したことのなかったことをしはじめたりするってことですね。
泣いたりグズったりするのは、発達があまりにも急なので、新しく見える(感じる)世界にびっくりするからだそうです。なので、慣れてくると落ち着いて、逆に新しくでき始めたことを楽しむようになるのですね。
このぐずり期はメンタルリープと呼ばれ、出産予定日から20カ月の間に10回訪れるそうです。
なぜ出生日ではなく出産予定日からというと・・・、受胎した時点から神経系の発達は始まっているからなんです。
神経の発達は体の発達と違ってそこまで個体差がなく、各リープはずれても1週間程度だそうです。
1回目のメンタルリープは生後5週ごろから始まります。
この時期は通称「五感の世界への入り口」と呼ばれ、感覚器官が急激に発達するんだそうです。生後5週目というと、1カ月を過ぎた頃。すでに遠い記憶(息子は1歳3ヶ月)となっていますが、確かにグズっていたかも・・・。
目に見える発達としては、赤ちゃんがまわりのものに興味を示すようになったり、呼びかけに反応したり、涙を流すようになるのもこの頃だそうです。
生後5週以降、8週、12週、19週・・・75週とメンタルリープは繰り返していきます。
どんな発達をしていくのかは本を読んでいただくとして・・・。
1例だけあげると。
第5メンタルリープは「関係の世界への入り口」といわれ、生後26週(ぐずりだすのは23週ごろ)から行動が変わります。
関係の世界とは文字どおり、モノゴトの関係性を理解することで、空間的な関係=距離感がでてきます。ママが離れた瞬間泣くようになるのも、「ママとの距離が遠くなった」と理解している証拠なのです。
成長の証と思えば、グズグズ泣き続けるのも喜ばしいことなのかもしれません。
研究では「たくさん泣く子ほど頭が良くなる」といわれているそうです。
泣く=自分の周囲の変化に気づいている証拠だからだとか。なるほど、納得ですね。
親の対応が大事!
しかし、たくさん泣くのはいいけれど、泣いているのをほったらかすのは良くないそうです。
それは、泣き続けているとその時期に芽生えた知覚による能力をつける時間が短くなるから。なので、どんな状況にあっても泣き止ませて、早く落ち着かせるようにしなければなりません。
また、分かり始めたことをしてあげたり、子どもが自分で始めたことを手助けしたりなど、長所を伸ばすことに徹することが重要とのこと。
これは、発達段階によって遊びや、用意するおもちゃなどもかなり重要だということですよね。
「The Wonder Weeks」では、各メンタルリープの時期にあった遊びやおもちゃの提案もされています。
辛い時期は忘れてしまう!
著者フランス博士に聞くと、研究自体は、ヨーロッパとアフリカの数カ国で行われましたが、ヨーロッパといっても言語も、人種も文化も違う国ばかり。そのすべての国の子どもで同じ発達段階がみられたので、日本の子どもにも同じことがいえるだろうとのこと。
博士は現在オランダに住んでおられますが、オランダは学校の送り迎えに母親がきていたら、「あなた仕事は?」といわれるほどママが働くことは普通のことなのだとか・・・。日本のワーママに対しては「古い人のいうことなんて気にすることはない!」と言い切っておられました。(博士は69歳)
働いていることは子どもの発達には関係なく、乳幼児を育てる上で大事なことは「愛です」と博士はいいます。どんなに大変な時期でも、「子どもを安全、快適、愛に満ちた状態にすること」が最も求められることだと。
そして、子どもになにが起こっているのかを理解し、彼らを支え助ける環境をつくること。
ママだけでなく、パパもそれは同じこと。オランダでは最近、ママたちは働くべきといわれる一方で、週4日勤務にし、平日1日は家で子どもと過ごすパパが増えているそうです。
博士はいいます「パートタイムだろうが、フルタイムだろうが、家に帰ったら子どもと遊び、子どもとの関係を築くこと。パートナーや周囲より働いていようが、働いてなかろうが、関わっていくこと。それが重要です。子どもたちは、ママ、パパの仕草、笑顔をみて(本にあるような)発達をしていくのです。でもそれを強く意識するのではなく、ただ、一緒に遊べば大丈夫!」
博士が研究のなかで印象的だったエピソードとしてあげた話が、働くママへのメッセージとなりました。
研究のためのママへのインタビューは時にメールで行われました。そして時々、その回答票がと届かないことがあったんです。私たちは再度質問票を送り、ママは最初の質問票に答えた数週間後に、同じ質問に答えて送り返してくれます。
何回かに1回、届いていなかったはずの最初の回答が見つかったりしました。つまり、私たちは同じママの2つの回答を比較することができたわけです。
2つ目は記憶をたどって書かれたものです。たとえば、1回目の回答の時にぐずり期でママが大変な時期であれば、1回目の回答はそれをストレートに表したものになっています。しかし2回目の回答は、その大変さは薄れています。
何を言いたいかわかります? 大変な時が過ぎた瞬間、それを忘れてしまうものなんです。
子育てもして、仕事ももってというのは、とても大変なことです。緊張も続いて、エネルギーも使って、本当に疲れきってしまうでしょう。
でも大丈夫。愛があなたを強くしますから。
“愛”を与えるとともに、ママもパパもきっと子どもから“愛”を受け取っているはず。お互いの“愛”が、お互いを強くするのかもしれませんね。
Kiddy World Publishing (2015/10/2)
ISBN-13: 978-9491882104
本以外に、The Wonder Weeks はアプリも展開。
http://wonderweeksjpn.com/
お子さんの出産予定日を入力すると、
今、どのメンタルリープにお子さんがいるのか?
この時期はどんな時期で、何をするべきなのか?
あと、どれくらいにで次のメンタルリープに入るのか?
などがわかります。
本と合わせて使いたいですね。