2017.08.15
疲れてる・時間がないは言い訳!?「セックスレス」の裏にある【本当の理由】とは?
セックスレスのお悩みのなかには、旦那は求めてくれるけど妻がしたくないという人と旦那が応じてくれない人といるかと思います。
したくない理由に「疲れている」「時間がない」と答える人が圧倒的に多いようです。でも、本当の理由はそれではないことが多いと潮先生。
では本当の原因は?その真相に迫ります。
セックスレスになる原因は!?
ウチのセックスレス問題、どうにかしなきゃ! そう思っている人は、「セックスしたくても相手から断られている人」「自分は拒否する側だけど、相手がしょっちゅう誘ってくるので現状をとにかく変えたい人」のいずれかでしょう。
自分はしたくなくて、相手がしつこく誘ってこないのであれば、さらりとたまにかわすだけでOKなのですから。
実際、「カウンセリングにくるのは、『夫が応じてくれない』と女性側が悩みを訴えるケースがほとんど」だとセックスカウンセラーの潮英子先生。
男性の場合は遊ぶ場所も多いため、妻が応じてくれなくても、なんとかなってしまうもの。けれども、女性の場合はなかなか外で解消するのが難しく、「夫は私のことをキライになっちゃったのかな?」と悶々としているしかない…なんてことがほとんどでは?
ところで、セックスレスの理由には、一体どんなことがあるのでしょうか。一般社団法人日本家族計画協会の調査(2014年調査)によると…
■男性の場合
1位 仕事で疲れている 21.3%
2位 出産後なんとなく 15.7%
3位 現在妊娠中、出産後すぐだから 11.2%
※ ちなみに「その他」は16.9%で数字としては2位
■女性の場合
1位 面倒くさい23.8%
2位 仕事で疲れている 17.8%
3位 出産後なんとなく 16.8%
と、仕事の多忙や疲労をあげている他、「なんとなく」理由がないままセックスレスだという人が多く見られます。
「産後、女性は即お母さんになってしまうため、そのスピード感についていけず置いてけぼりになってしまうパターンが多い他、『もうお母さんだしな…』と男性側の性欲が下がってしまうケースがあります」(潮さん)
しかし、実は“お母さんになってしまった妻”に欲情しない理由には「立ち会い出産」が隠されているケースがあるそうです。
「『ボクのために頑張ってくれてありがとう』と感動して愛が深まるケースがある一方で、出産時の膣を見てしまい怖いと感じる人もいます。ご主人が神経質だったり、デリケートだったりする場合は立ち会い出産を止めておいたほうがいいかもしれません」(潮さん)
このように「産後なんとなく」と答えている人でも、実際にカウンセリングで気持ちを深く見つめていくと、“本当の答え”が出てくるケースもあるのです。
長所と短所は背中合わせ。好きだった部分がキライに変化することも…
【裕子さん(仮名)のケースの場合】
裕子さんのご主人は画家。時折入ってくる、壁やシャッターに絵を書くアルバイトが主な収入源。定期的に個展を行って絵の販売を行っているものの、高値がつくことはなく、画家として成功する見込みはなかなか立ちません。
子どもが生まれたのだから、正社員になってほしいと言っても「絵を書く時間がなくなる」とバイト生活を止めるつもりはナシ。そんな夫に対し、「まったく常識がないんだから! 子どもの教育費や老後の生活だって考えなきゃいけないのに…」「他の家はしっかり稼ぐダンナがいて羨ましい。それに比べて私は、仕事も家事も育児もして、なんて惨めなんでしょ」とイライラが募るばかり。
夫がセックスを誘ってきても、「疲れているから」と断ってばかり。出産してから、どうしてもソノ気になれません。二人目が欲しいという気持ちはありますが、セックスをするのがイヤで、二人目妊娠にも積極的になれません。
セックスレスになって3年。このまま拒否し続けたら、夫が浮気してしまうかもしれないという不安がありますが、どうしてもセックスをしようという気になれないと悩んでいます。
専業主婦よりワーキングママのほうが、セックスレスは多い!?
「画家で、人とはちょっと違っていて、自由なところに惹かれていたはず。でも、そういった魅力が“常識がない”という評価に変わってしまったんですよね」(潮先生)
こういう場合は、裕子さんの考え方で関係性は変えられるそう。
「彼の芽がでたらうれしいし芽が出なくてもいいよね、私は私で働く、自分の生き方はこういう生き方なんだというように、自分の考え方を見直したほうがいいのですよね。人の魅力も短所も全部裏表。明るくて大らかだったところが好きで結婚したら、いい加減なところが目につくようになった…なんて話を聞いたことはありませんか? 相手は急に変わったわけではなく、好きだった魅力が薄れて、欠点ばかりが目につくようになっただけかもしれませんよ」(潮先生)
また、独身時代と結婚してからでは、“お金”の部分の捉え方が大きく違ってきます。
「カウンセリングに来た方にお話を聞いていると、『ダンナの収入が低くて…』とダンナに対する不満の本音が出て来ることがあるんです」と潮先生。
夫の収入が低いから、夫を誇らしいと思えなくなるパターンです。でも、これも裏表で考えると別の魅力が見えてくるかもしれません。
「稼ぎのある男性って、基本的に奥さんをリスペクトしていない人って多いですよ。俺が食わせてやっているんだという意識。それで奥さんが拒否している夫婦も世の中にはいるんです」
低収入の夫の「収入が低い」部分ばかり見ていませんか? もしかしたら「優しいところ」「気が利くところ」など長所を見ていないかもしれません。
こういった場合のセックスレスを解消するためには、お互いの仕事をリスペクトすることが大切だと言います。
また、夫の収入が低い場合は潜在的に将来に対する不安があり、その生活に対する不安や恐れから、セックスに前向きになれないこともあるそうです。この場合は、「一緒に頑張って働いて500万円貯めたら、家の頭金にしよう」などのように、未来に向かって一緒に頑張っていこうという姿勢がセックスに繋がることもあります。
ダンナに対してイライラしているため拒否しているケースもあるでしょう。この場合は、イライラの原因が一体どこからくるのか自己分析することが大切。
「ワーキングマザーによくあるのが、“性別的役割分業”が原因になっているケース。日本の男性は家事をあまりやらないでしょう? フルタイムで20時くらいに帰ってきたら、夫から『おなかすいちゃった、なんかないの?』なんて聞かれて、カーッとなってしまう。でも、結局は、女性ってイライラしながらも家事をやるんですね。それが積もり積もって夫を受け入れられなくなる人もいます。『私、収入もあるし、家事もできるし、いつでも離婚できるんです』なんて言って相談に来ます。こういう場合は、男性が家事をするという形にならないかぎり、イライラからのセックスレスの脱却は難しいですね」(潮先生)
「疲れてる」「なんとなく」「面倒くさい」そんな言葉の裏側に、もしかしたら本音が隠れているかもしれませんよ!
【専門家PROFILE】
潮英子(うしお・えいこ)●精神保健福祉士、産業カウンセラー、キャリアコンサルタント、セクシュアリティ・カウンセラー。早稲田大学政治経済学部卒業後、住友商事、台湾中華語文研習所にて日本語教師、中華航空勤務を経て、お茶の水女子大学大学院人間文化研究科発達社会科学専攻で夫婦問題を研究。カップル間のセクシュアリティをテーマに相談活動を行っている。最近はカウンセラー研修や講演会、メディアを通してセクシュアリティについて発信している。
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