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2018.02.06

セックスレスで離婚は可能?慰謝料は? 離婚したいと思ったら知っておきたいこと


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家事に、仕事に、子育てに…日々の生活を回すことで精一杯の中、正直、セックスどころではない! という夫婦も多いのでは? 実際、夫婦の46.8 %セックスレス(2016年日本家族計画協会の調べ)というデータもあるぐらい。それでもセックスがなくても夫婦仲が良く、二人で解決の糸口を模索しているうちは良いのですが、どちらかが一方的に拒否し続けると、相手のプライドも傷つき次第に「離婚したい」と思い悩む人も…。女性からの離婚、男女問題の相談が多い、世田谷用賀法律事務所の水谷江利弁護士に「セックスレスと離婚」についてお話を伺いました。

セックスレスで離婚したいと思う?妻と夫の声

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まずは現在、セックスレスの夫婦にこのままのレス関係が続いたら「離婚」を考えてしまうか、聞いてみました。

子供がいま4歳なのですが、妊娠した瞬間からセックスがなくなりました。夫は妊活中もセックスに前向きではなかったのですが、産後何度か誘ってみてもかわされてしまいます。5年以上も触れられることがなく女として見られていない気がしてきます。夫に一度話し合いをしたいと持ちかけましたが、スルーされてしまい、あぁもうこのまま拒絶されるなら離婚してもいいかなと本気で考えてしまいます(Yさん・女性・子供4歳)

出産してから夫とのセックスはありません。もう3年していない・・。でも、仲は良いのですぐに離婚というところには結びつきませんね。(Tさん・女性・子供4歳)

実際に離婚してやる!とはまでは追い込まれていませんが、夫婦間で喧嘩やトラブルが生じたときにセックスもしてくれないしな・・・と思ってしまうことがあります(Rさん・男性・子供6歳、4歳)

妻とは妊娠中もセックスがありましたが、出産後一切してくれなくなりました。何度か誘ってもダメだし、体に触れようとしても触らないで!と拒否をされます。そんなに僕が嫌なら離婚すればいいのに・・・と思うようになってしまいました。(Eさん・男性・子供5歳)

コメントでもわかるように、離婚する!と決めるところまで追い込まれてなくても、拒否し続けられると離婚の文字が頭に浮かぶというかたもいるようですね。では実際「セックスレスで離婚」は可能なのでしょうか? 世田谷用賀法律事務所の水谷江利弁護士に聞いてみました。

セックスレスで離婚の相談どのくらいある?

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セックスレスが原因で離婚相談に来られる人は実際にいらっしゃるのでしょうか。

「『セックスレスですが、離婚できますか?』と相談に来る人はまずいません。ただ、ほかの理由が色々あり『セックスは?』と聞くと『ありません』という方がほとんどです。裁判官もそこにはアンテナを立てていて、最終ドロドロの裁判になった時、証人尋問で聞かれることは多いですね。「下の子が生まれてからもう○○年もしてません」なんて言うと、さすがに裁判官も反応していたりします。セックスレスが即離婚原因ではないので、単にセックスレスだからという理由で離婚にはなるわけではないのですが、夫婦のつながりがあるかを示す、重要な要素であることに違いありません」

セックスレスだからといって、必ず離婚できるわけではないが、離婚原因があるかを決する重要なポイントという結論に。ちなみに水谷弁護士の元に離婚相談で来られる方の3~4割が不倫問題、残りはお金、お酒、親関係…という順に多いそうです。

離婚したいと思ったら、まずは知っておきたい基礎知識

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離婚の大前提からおさらいしたいと思います。そもそも離婚できる・できない、これにはどういう違いがあるのでしょう。

「夫婦で離婚について合意しているなら問題ありません。しかしどちらかが離婚を求めていないor離婚の条件が折り合わない場合、民法が定めている離婚事由がないと離婚できません。とはいっても、実際には、まず「協議」から始まり、協議がだめならさらに家庭裁判所での話し合い(「調停」)になりますから、大半が協議離婚か、調停離婚かで離婚成立しています。それでもまとまらないごく一部が、「訴訟」(裁判)になっています。この時に法律で決められた離婚原因が必要となってくるのです」

お互いの合意が得られず、裁判になった場合に離婚事由が問われるということなのですね。では慰謝料はどういう時に認められるのでしょうか?

「「慰謝料」は、相手方に不貞行為や暴力があった場合に発生します。「慰謝料」は、不法行為があったときの精神的な苦痛を「慰謝」する損害賠償ですので、不貞や暴力といった「不法行為」がなく、離婚理由が『性格の不一致』『価値観の相違』といったその他の理由の場合、慰謝料を裁判で認めてもらうのは難しいでしょう」

たとえ離婚はできたとしても、慰謝料に結びつくのは暴力や不貞などがあった場合のみです。まずはここの違いをきちんと理解することが大事ですね。

セックスレスで離婚ができるケース、そしてその慰謝料は?

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上記でも書きましたが、「セックスレス」自体不法行為ではありません。そのため、セックスレスだけを原因として慰謝料が認められるのはレアケースと水谷先生は言います。

「一般的なセックスレスに陥る状況というのは、『日々が忙しく疲れていて性交渉に応じてくれない』とか、『ほかの理由で争っているうちにレス状態になった』…など、結果的にセックスレスになった場合がほとんどだと思うのです。その場合、結果として離婚ができたとしても慰謝料の対象にはならないと思います。ご飯も作ってあげて一緒に食べているし、家族旅行も一緒に行っているし、でも何年間もセックスレスです、というような場合だと、認められないです。『不倫があった』のと違って、『セックスがなかった』というのではね・・・」

では、もしセックスレスだけで離婚・慰謝料の対象になり得る事例があるとしたら?

「『元々性的に不能なのにそれを隠して結婚した』『結婚したばかりなのに性交渉に応じず、自室にこもって自慰行為をしている』など、言ってみれば結婚の時点で隠し事があった場合や、極端な拒否態様の場合は、慰謝料が認められることがあります。その場合、裁判例にもいろいろありますが、相場は100万〜200万ぐらいのようです」

法律で認められている離婚の条件って?

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今回のセックスレスもそうですが、「モラハラ」や「性格の不一致」なども、離婚事由として「認められる」と思っている人も多いと思います。でも、本当のところはどうなのでしょうか…?

「そうですね、『性格の不一致』『モラハラ』なども、それ単体で即離婚原因になるというより、結局のところ総合判断になります。一般的には一定期間の別居と相まって認められる場合が多いです」

ちなみに離婚の条件として(単体で)裁判で認められるのは以下の事由です。

■不貞行為…浮気・不倫関係。ただし、夫婦関係が破綻した後の不貞行為は×
■悪意の遺棄…理由もなく家を出て行く、生活費を渡さない、健康なのに仕事をしない
■3年以上の生死不明…生死がわからない状態が3年以上、その状態が継続している
■強度の精神病で回復の見込みがない…精神障害があり、それが回復される見込みがない
■婚姻を継続し難い重大な事由…夫婦仲が破綻しているだけでなく回復の見込みがない

セックスレス離婚を悩んでいる人へ、後悔しないためには

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セックスレスで悩み離婚を考えている方に、後悔しないためにはどうすれば良いのでしょうか?

「これまでの経験上、少しでも相手に“好き”という気持ちが残っている間はまだ離婚すべきではないと思います。『相手のことはどうだっていい』くらい憎悪がないと! もし少しでも気持ちが残っている場合は、もう一度お互いに改善策を模索しましょう。妻側が拒否している場合は、女性の日々の育児や家事負担を夫が協力して減らしてあげることが大切ですし、夫側の拒否の場合は、その原因が何なのか深く掘り下げ、正直に向き合うことが重要かと。慰謝料や法律で解決できない問題が夫婦の間にはたくさんあります。いつでも相談に乗りますのでお気軽にご相談くださいね。」

離婚=慰謝料、とどこか混同していた部分があったので、あくまで不法行為があった場合でしか請求できない、と言うことがクリアになりました。しかし、セックスレスと離婚は根底ではすごく直結しているので、夫婦間で向き合うことの大切さを感じました。「性交渉がうまくいっている夫婦は、そこまで深い問題が起きないですから!」水谷弁護士のこの言葉がとても胸に残ります。
産後その気になれず再開できていない、なんとなく忙しくて…と先延ばしにしていてはやはり危険。
もうすでに「慰謝料などいらないので早く離婚したい!」と思っていらっしゃる方は、一度法律事務所に相談してみては。

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取材協力/世田谷用賀法律事務所・司法書士事務所 水谷江利先生
渉外企業法務を志して弁護士になるも「もっと人の人生の近くで仕事がしたい」との思いでファミリーロウを中心に世田谷で2015年に独立開業。取り扱いのある解決事例を元に、オリジナルの法律ショートストーリーをブログで連載中。ご相談はこちらから。

飯田りえ

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