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2020.07.31

障害のある子どもの「ストレスサイン」どう気づく?どう対応する?<ママたちに聞いた>



コロナ感染者がなかなか減らず、なにかと我慢や自粛を強いられる毎日。大人も子どももストレスを抱えながらの生活が続いています。
気持ちの切り替えが難しい、こだわりが強いなどの特徴を持つ発達障害の子どもは、自粛生活というイレギュラーな状態で、いつも以上にストレスを感じやすくなっています。
今回は、コロナ禍で障害を持つ子どもが抱えてしまったストレスやそのサイン、ママの気づきや対応、苦労していることなどを3つの質問で聞いてみました。

ストレスで「こだわり」が増えてしまった


同じ道じゃないと歩かない、大好きな電車に乗れないなど…こだわりが多かったり、我慢が難しい子どもが抱えるストレスとは…ママは子どものサインにどのように気づき、どんな対応をしたのでしょうか。

〔Kさん、子ども5歳〕のケース
・お子さんはどのような障害がありますか?
自閉症です。ミニカーをひたすら並べ続ける、通る道はいつも同じでないとしゃがみ込んで歩くのを拒否する、週末は大好きな電車に乗らないと気が済まないなど、とても「こだわり」が強い。週2回ほど通っている療育の先生と相談し、「こだわり崩し」(こだわっていることを中断したり、予定に入れなくても、気持ちを崩さず穏やかに過ごせるようにする)を目標に頑張っていた最中にコロナ騒動…

・自粛生活の中でどのようなストレスサインが出てしまいましたか?
少しずつうまくいっていたので、療育や保育園に行けない日々の中でも「こだわり崩し」練習を頑張っていたのですが…ある日、急にティッシュをガーーッとたくさん出して、一枚一枚丹念にこより始めたんです。要は、またしても変な「こだわり」が増えてしまった感じ。「いろいろ我慢させつつ、こだわり崩しの練習をして溜まったストレスのサイン?」と焦りました。

・ママはどのような対応をしましたか?
とりあえず目のつくところにあるティッシュを隠し(苦笑)、こだわり崩しを一切やめて、いつも通る「こだわりの道」を散歩し、空いている時間を狙って電車に乗る、などの対応をしました。ストレスはなくなっていきましたが、こだわりが戻ってしまいました…落ち着いたら、また頑張らないと(涙)

ストレスから身体中をかきむしってしまった


我慢するのが苦手で、「○○しないでね」「ちょっと待っててね」と言うと泣いたり怒ったりする子ども。そんな子どもが抱えるストレス、そのサインに気づいたママの対応とは?

〔Hさん、子ども7歳〕のケース
・お子さんはどのような障害がありますか?
3歳の時にADHDと診断されました。待つことや我慢がとても苦手なのが特徴です。4歳くらいまで、信号も待てず飛び出しそうになるので、ガッツリ手をつなぎながらも、ハラハラし通しでした。あるとき保育園の先生が、「○ちゃん(娘)は、お散歩の時間は友達とちゃんと手をつないで、しっかり落ち着いて歩けています。たくさん歩くことで、気持ちも穏やかになって、体幹も鍛えられて(静止しているときの体のバランスがよくなる)、全体的に落ち着いていくかもしれません。」と。通っていた発達センターの先生にも「歩くことは大きなメリット」と言われたので、とにかく歩きまくるようになりました。それが高じて、月2回ほど山登りをするように。

・自粛生活の中でどのようなストレスサインが出てしまいましたか?
山にはなかなか行けないので、近場をひたすら散歩していましたが、あるとき首や腕、足を血が出るまでかきむしっていたんです。蚊に刺されたのかな?と思いましたが、ストレスでかきむしっていたようです。

・ママはどのような対応をしましたか?
もちろん皮膚科へ(苦笑)そしてGoogle Mapで「(住んでいる住所の)近場 山がある 公園」で調べ、広くていくつか小さな山(丘?)がある公園を発見! 自転車で片道40分以上かかりますが、子どもを後ろに乗せ、1日おきくらいで通いました。思う存分歩け、ちょっと山登りっぽいことができ、ストレスも解消されたのか体をかきむしることは減っていきました。

言葉で表現できないストレスがMAXに


言葉が遅く、自分の気持ちや状態をうまく伝えることができない。そんな子どもが抱えるストレスやママが気づいた子どものサイン、それに対する対応とは?

〔Tさん、子ども6歳〕のケース
・お子さんはどのような障害がありますか?
障害名での診断はないのですが、発語はほとんどありません。いろいろなことを理解してはいるのですが、やりたいこと、嫌なこと、自分の状態などを言葉で表すことができません。普段から伝わらないもどかしさで、イライラすることが多いですね。

・自粛生活の中でどのようなストレスサインが出てしまいましたか?
普段はなるべく言葉を引き出そうと、「○かな?」「お茶(飲みたい)って言ってごらん」など、言葉が出るのを待つようにしていましたが…
自粛生活の中で私も余裕がなくなってしまい、つい「何がしたいの?」「どれがいいの?」とキツく畳みかけるように聞いてしまって…私のイライラが子どもに伝わり、1日に何度も癇癪を起したり(暴れることも)、大きな声出して反発するようになっていきました。

・ママはどのような対応をしましたか?
日常生活の中の行動(着替え、ご飯、お風呂、トイレなど)や気持ちや状態を伝える言葉(嬉しい、怒っている、お腹が痛いなど)の絵カードを作りました。それをボードに貼って、子どもに選んでもらうようにしています。伝わらないもどかしさが少し減り、癇癪を起しにくくなってきました。もっと早く作っておけばよかったと、ちょっと後悔しています…

学習障害があり、親子で募るイライラ


文字の読み書きはできるけれど、数字の概念がなかなか身につかず、算数の勉強が理解できない子ども。抱えているストレスのサインにどのように気づき、どんな対応をしたのでしょうか?

〔Aさん、子ども9歳〕
・お子さんはどのような障害がありますか?
低学年のとき、「学習障害」と診断されました。それも、数字に特化した学習障害。足し算引き算は、繰り上がり・繰り下がりがなかなか理解できない。掛け算の九九も、音として記憶しているだけで、数字としての概念はない。時計を読むのも苦手です。将来お金の計算なども必要だし、とても不安です。

・自粛生活の中でどのようなストレスサインが出てしまいましたか?
学校が休校の日々は、親が勉強を見る。これが、子どもにとっても私にとっても大きなストレスになってしまいました。国語はいいのですが、算数はもう「戦いと諦め」の日々でしたね。学校から借りた算数ブロックや数字カードなどを使うのですが、学校のやり方と違うのも嫌だったようです。つい「なんでわからないの!?」と怒鳴ってしまうことも…学校が普通にあるときの宿題程度なら、量も少ないしこんなにイライラしないのに。
子どもは教科書やブロックを泣きながら投げるようになってしまい、これは大きなストレスサインだと思いました。

・ママはどのような対応をしましたか?
自宅での算数の勉強はやめました。ただ、遊びながらなんとなく一緒に数を数えたり、ふとしたときに「今何時だろう?」と一緒に時計を読んだり、自動販売機で自分でお金を出して買わせたり。生活の中でときどき数字を意識させる、ということを心がけました。「算数の勉強」がなくなったことで、ストレスは減りました。


発達障害のある子どもは、環境の変化やそれに伴う生活リズムの違いが苦手なことが多いようです。ストレスの現れとして、さまざまな反応やサインを示すことがあります。特に言葉で上手く伝えられない子どもは、そのもどかしさからストレスが増してしまうことも。
ストレスに対処してあげることはもちろん、ストレスが溜まる前に取り除いてあげることも大切です。とはいえ、ママやパパが常に気を張り詰めていたら疲れてしまいます。頑張っていたことを思い切ってやめてみる、子どもの好きなことにとことん付き合うなど、「いい意味での諦め」の気持ちを持ちながら、イライラを回避できたらいいですね。

田崎美穂子

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