2021.03.11
東日本大震災から10年!震災経験者が考える子どもがいる家庭の「最低限の備え」
まもなく東日本大震災から10年。私は東北の放送局で勤務中に震災を経験しました。住んでいた地域は日本海側で津波や大きな被害はなかったものの、それまで感じたことのない大きな揺れに恐怖を抱いたのを今でもはっきりと覚えています。何かにつかまっていないと立っていられず、地震がおさまった後もずっと揺れ続けているような感覚になりました。
地震の後は停電し、我が家は水も使えない状態でした。当時は一人暮らしで、現在の家族(夫と息子)がいる生活とは違う状況ですが、あの震災以降は最低限の備蓄をしようと考え、その後は定期的に備蓄品のチェックをしています。
家族ができ、子どもが生まれたことで必要なものも増えました。2月にも東北地方を中心に最大震度6強の地震があり、10年前を思い出しました。
いつやってくるか分からないのが地震という災害。この機会に家庭での備えを見直してみませんか?
備え1 水・食料
人間が生きていくうえで必要なもの、そして「非常時の備え」と聞いて欠かせないのが水や食料です。10年前の東日本大震災のときも物流が止まり、水や食料が手に入りにくくなったことがありました。ここからは私の震災時の体験談と現在の対策をお伝えしていきます。
【体験談】
震災時は近所に数件あるコンビニのうち一店舗のみが営業していました。入場制限がかけられ、多くの人が行列を作っていました。入店しても、一人10点までと購入が制限されていました。この状況の中で私が真っ先に買おうと思ったのが水でした。考えることは皆同じで、2リットルのペットボトルはすぐに売り切れ、結局買えたのは500ミリリットルのミネラルウォーター2本でした。とにかく口に入れられるものを入手しようと、水と一緒にわずかに在庫があった栄養補助食品などを購入したのを覚えています。大きな被害は無い地域でも、物流がストップし物資が手に入らず不安な生活を送ることがあるという状況を、身をもって知ったのでした。
【現在】
我が家では普段からミネラルウォーターを飲んでいるので2リットルペットボトルを少なくとも6本は必ずストックしておくようにしています。それでも家族で数日過ごすには不安な量です。理想は少なくともいまの倍だと考えています。また、最近はウォーターサーバーを使っている家庭も多いですよね。この場合も多めにストックしておくとよいと思います。
食料に関しては、ふだんから災害時にも使えることを頭に入れて買い物をするようになりました。乾麺や缶詰、湯せんで温められるレトルト食品などを定期的に買うようにし、普段の食事にも取り入れています。
備え2 電気
【体験談】
3月11日の本震後、私が住んでいた市は一日以上停電していました。私は当時オール電化のマンションに住んでいたため、お湯も沸かせず、トイレも使えない状況でした。懐中電灯は一つだけ持っていましたが光量が弱く、ほとんど使えませんでした。停電時、懐中電灯よりも役に立ったのが、携帯電話(当時はガラケー)の画面やライトでした。たまたま部屋に新品同然の乾電池式充電器を持っていたので、それを使っていました。
【現在】
とにかく乾電池を多めにストック。単一から単四まで各種乾電池をストックしています。また、当時とは違って複数部屋があるので、停電時にどの部屋にいても困らないように、各部屋に乾電池式か充電式のライトを置いています。リビングなど家族が集まる場所や料理をするときには明るさが必要なので、購入時には明るさのチェックも重要です。また、充電に関しても、いつでも使えるようにソーラー充電できる照明や充電式のものはこまめにチェックして充電するようにしています。そのほか、スマートフォン用のモバイルバッテリーもフル充電で用意。さらに、テレビやインターネットなど情報が遮断されることも考えて、充電式でも乾電池式でも使える懐中電灯兼ラジオを購入しました。
停電が長引く状況も考慮して、小型ソーラーパネルや発電機の購入も検討中です。
備え3 子ども用品
震災当時、私はまだ独身だったのでこの項目に関しては、出産後に「もしいま東日本大震災級の地震がきたら」と想定したうえで考えた備えをお伝えします。
月齢にあった離乳食のパウチ
細かく分けられている離乳食のパウチはこまめに点検しないと時期を過ぎてしまう可能性が。あらかじめ複数の種類(時期)のパウチを入れておくか、こまめにチェックを。
ちょっとしたおもちゃや安心させるためのぬいぐるみ。
10年前の震災時、ディズニーシーで従業員がダッフィーのぬいぐるみを防災頭巾の代わりにするようにと配った話は有名です。また、人間は抱きしめることによって安心したりストレスを軽減することができるそうです。非常時の我が子を安心させるためにもおもちゃやぬいぐるみを用意しておくとよさそうです。
抱っこ紐
2~3歳になるとなかなか使う機会も少ないかもしれないが、避難する際には抱っこやおんぶになる。対応している体重を確認して、まだ使えるなら備えておいてよいと思います。(その場合、子どもの靴を忘れがちなので非常用持ち出し袋に入れておく)
おむつ
離乳食同様に月齢とともにサイズが変わるのでチェック。おむつを卒業した子でも、ストレスなどでおねしょや漏らしてしまうことが考えられるので、息子が五歳になった我が家も非常用持ち出し袋に入れておいています。
また、おむつの代用品(スーパーのビニール袋+タオルなどで作る方法があります)の知識も頭に入れておくとよいですね。
季節に対応しているかを確認
3月11日の東日本大震災をきっかけに災害への備えを意識し始めたため、我が家では毎年3月に備蓄の見直しをしていました。しかし、春先に用意した物は夏の災害時には対応していないことに気づいたのです。寒い季節は寒さをしのぐための保温シートやカイロなどが必要なのに対し、夏は熱中症対策や暑さをしのぐために瞬間保冷剤(袋を叩くと冷たくなるもの)や小型扇風機などが必要になります。このように、季節によって必要なものが違うため、年に一回ではなく数カ月ごとに見直しが必要です。
このことに気づいて以降は見直しの頻度を3~4ヵ月単位に上げました。また、子どもが小さいうちは成長によっても必要なものが変わってくるので、そういった面からも数カ月単位で見直すのが良いと思います。
非常用持ち出し袋と備蓄用BOXを用意
日常的な備えとして、非常用持ち出し袋と備蓄BOXの二種類を用意しています。非常用持ち出し袋には最低限のお金や食料・衣類・本人確認用の書類のコピーなど。備蓄用BOXにはある程度の期間避難生活をする際の水やウォータータンク、食料、衛生用品(からだ拭きシート・歯磨きセット・ドライシャンプーなど)を入れています。
災害時にはどこで避難生活を送ることになるか分からず、自宅に戻れる状況にならない場合も考えられるので、可能であれば、備蓄BOXも「家の中用」と「車内用」など複数用意しておくと良いと考えています。
備えて備えすぎることは無い!家族で定期的にチェックを
「備えあれば憂いなし」とは言うものの、備え始めるとキリがないのも事実ですよね。
まずは自分が気になったところから改善していけばよいのではないでしょうか。
災害時に一番困りそうなポイントを挙げて一つ一つ改善していきましょう。
定期的に備蓄のチェックをして入れ替えをしていると、近くで見ている子どもにも防災を意識づけられると思います。この機会にぜひ家族で見直してみてください。