2021.03.24
コロナで「不安疲労」が増加!?ママたちが抱える不安の原因や医師がすすめる解消法
結婚、出産などを経てライフスタイルや環境が変化すると、どうしてもそれまで以上に心配事や不安なことも増えていきます。それに加えて、出口の見えないコロナ禍で、今まで感じたことのない「不安疲労」を抱えることになってしまいました。多くのSNSやテレビなどでも、その様子が伝わってきます。
今回は、みんなが抱えている「不安疲労」はどんなものか、その「不安疲労」をどのように軽減あるいは解消しているのかを聞いてみました。パラミロン研究会が行なった「コロナ禍における不安と疲労の実態」の調査結果も併せて紹介します。
不安疲労って?
パラミロン研究会が行った調査によると、長引くコロナ禍で多くの人が感じている不調は、「意欲低下」「疲労感・倦怠感」「ストレス」が特徴的であることがわかっています。これらの症状は、「不安疲労」によるものだそう。
また、パラミロン理事長で内分泌・糖尿病専門医/医学博士である久保明先生によると、
「不安疲労」とは、生活の変化によりストレス・不安を感じることが多くなり、何となくだるい・気持ちが重いなど疲労感を感じている状態。つまり自律神経のバランスが損なわれている状態だと考えられます。
「不安疲労」のある人は、身体的・精神的どちらの不調も感じやすくなっています。継続的なストレスや不安で自律神経の乱れが続くと、自律神経のバランスが元に戻りにくくなり、常に疲れやすく免疫力の低い体になってしまいます。「不安疲労」は放置しておくと‟うつ”に移行する危険性もあるので、早め早めの対処が大切です。
ママたちはどんな不安疲労を感じている?
育児、家事、仕事をこなす中でさまざまなトラブルや不測の事態が起きることもあったりして、普段から「不安疲労」を抱えがちなママたち。このコロナ禍で、その不安疲労はますます増長されてしまう傾向にあるようです。そんなママたちが抱える「不安疲労」とは、どんなものなのでしょうか。
・完全な「孤育て」状態で心が折れる
子どもがまだ0歳。本来なら児童館や公園など、他の乳幼児やそのママたちと一緒に遊んだり子育ての悩みを話したいけど、まだマスクもできない小さい子どもにうつったらどうしよう、もし自分が感染して子どもにうつしたらどうしようという不安と恐怖で、買い物すら主人に頼み、私は子どもと2人で近所をウロウロするだけの毎日でした。もう完全な「孤育て」状態です。誰とも話さない日もザラにあるので、心が折れかかっています…無事保活も済み4月から職場復帰なのですが、こんなメンタル状態で大丈夫なのか不安です。〔Yさん、子ども0歳〕
・保育園に行かせていいのか迷う
ほぼ在宅勤務なのですが、子どもがいるとまったく仕事にならないので、結局毎日保育園に行かせていますが、未だに3~4割の人が子どもを休ませている状態。保育士さんは何も言いませんが、「在宅だから子ども家で見られるよね」と思われている気がして、そのストレスと罪悪感で押しつぶされそうになっています。今までに感じたことのない感情というかストレスです。〔Uさん、子ども3歳〕
・夫婦でフリーランス、お金の心配が止まらない…
ウチは夫婦で「ダブルフリーランス」です。仕事も減りつつあるし、今持っている仕事もいつなくなるか、このコロナ不況で新規の仕事はあるのか…そうしたら我が家の収入はどうなっていくのか…子どももいるので、金銭的な不安がつきないし、そのことばかり考えてしまいます。〔Sさん、子ども6歳〕
コロナ禍で不安疲労が増幅!その実態を調査
SNS上でコロナ禍による「不安」「疲労」というキーワードが増加するなど、今までにない不安や疲労感が蔓延している状況となっています。このような背景を受け、パラミロン研究会(※)は、コロナ禍における不安と疲労の実態について、関東および関西エリアに住む20~70代の男女1200人にアンケート調査を実施。
※パラミロンとは、ユーグレナ属のみが細胞内貯蔵物質として生成する多糖類で、食物繊維の一種。パラミロン研究会は、パラロミンおよびパラミロンと関連の深い疲労に関する研究を行なっています。
〔どのような実態が明らかになったのか〕
今感じている不調は、「意欲低下」「疲労感・倦怠感」「ストレスを感じやすい」といった精神的疲労に起因する不調が上位を占めました。また、「不安疲労」を感じているか調査したところ、半数以上の人が「不安疲労を感じることが増えた」(52.7%)と回答しました。
年代別で見てみると、20代~70代の約5割が「不安疲労」を感じていて、特に40代・50代は約6割と非常に高いことがわかりました。高齢の両親が周囲にいるなど、周りへの感染の不安が「不安疲労」に繋がっているのではないかと考えられます。また男女別で見てみると、女性の方が「不安疲労」の割合が高く、20代・30代の若い層でも高い割合が出ています。不安疲労を自覚している割合が年齢が下がるほど増えており、逆に自覚していない割合は年代が下がるほど減っています。女性は心理的な不安の影響を受けやすく、生活様式の変化を感じやすい若い年代ほど「不安疲労」を強く感じていることが明らかになりました。
就業状況別では、「学生」「契約社員」「パート・アルバイト」の「不安疲労」の割合が高くなっています。
〔不安疲労を感じる理由やタイミング〕
疲労やストレスを感じるタイミングや理由として、
・感染者数のニュースを見たとき
・マスクを着けていない人を見たとき
・楽しみにしていた予定が中止になったとき
がトップ3に挙がりました。
ほかにも「溜まった家事や仕事を見たとき」「朝起きたとき」などが挙がりましたが、コロナ前の生活にはなかった状況が上位になり、疲れを感じるきっかけにも、今までにない変化が起きているようです。感染に対する不安がダイレクトに疲労に繋がっている傾向もこの結果から見て取れます。
ママたちは不安になったときどう解消してる?
子どものことや仕事のことなど、ただでさえ日常的な不安要素をたくさん抱えるママたち。…ママたちが心がけている、溜め込まないための解消方法を聞いてみました。
・考えすぎず、今できることを淡々と
どちらかというとネガティブな性格で、悪い方向へ考えて、勝手にストレスを溜めてしまうタイプです。コロナ禍でも、思考がどんどんヤバい方向へ行ってしまいがちなので、とにかく手を動かしたり、仕事に集中するようにしています。家にいるときは、いつもより少し余分に掃除したり、料理を少しだけ丁寧にしたり、子どもと同レベルで遊んだり(笑)。
ネガティブ思考は根本的には治りませんが、頭に余計な隙を与えない努力はけっこう効果があると思っています。〔Fさん、子ども4歳〕
・笑えるものを見る!!
テレビをつけても、携帯ニュースやSNSを見てもコロナ関連ばかりの時期が長かったので、なるべく見ないようにしていました。笑えるコメディドラマやお笑い番組、アメコミのおバカアニメをよく見るようになりました。「見たらストレスが溜まる情報は見ない」「1日に何回かは必ず笑うこと」は無駄に疲労を溜めないコツなんだと、改めて思いましたね。
〔Hさん、子ども10歳、8歳〕
・誰かと直接話す
「あ~なんか心がグラグラする」と思ったら、電話で話します。もっぱら親とかきょうだいですが(苦笑)主人と対面で話すと、なにかのきっかけで喧嘩になりそうなので…親やきょうだいとたわいもない話を10分程度するだけで、なんとなく心が落ち着きます。電話だと、ふと思いついたときパッと言えるし、話題も選ばずどんどん話が進められるし、相手の声色も分かるし、スッキリするんですよね。友達とはLINEやメールなどはしますが、電話はなんとなくしにくくて。〔Tさん、子ども14歳、7歳〕
お医者さんにも対処法を聞いた!
不安や恐怖を完全に取り除くのは難しいことですが、過度な「不安疲労」を溜めないためには、「生活のリズムを一定にする」「不安要素となる情報を必要以上に見ない」「緊張を解くために適度に体を動かす」などのことが大切です。かといって頑張りすぎず、日常生活の中で自分でできる範囲で「不安疲労」を軽減する工夫をしてみると良いと思います。
また、脳と腸は密接に関係しているため、腸は全身の‟元気スイッチ”の役割を果たしているともいえます。日頃から腸のケアを心がけることも「不安疲労」軽減に繋がっていきます。(久保明先生)
不安疲労を感じてしまうきっかけやタイミング、その軽減・解消方法も人それぞれですが、未曽有のコロナ禍で多くの人が不安疲労を感じることになってしまいました。そして先の見えない「不安疲労」は、今後も増長していくと考えられています。
今回の調査結果では、「不安疲労」を感じているときにどんな言葉をかけてもらうと元気になるか聞いたところ、断トツで「ありがとう」がトップとなりました。自分なりの解消方法を見つけていくことも大切ですが、周りの人に積極的に「ありがとう」「大丈夫だよ」など、感謝や安心を与える言葉を伝え、‟元気スイッチ“を押していくことも、「不安疲労」の軽減に重要だといえそうです。
田崎美穂子
mamaライター