2021.08.18
本格的な海外交流はいつから?メリットを子どもや保護者に聞いた!交換留学プログラムも紹介
「子どもにはグローバル化に対応できるスキルを身につけてほしい」という願いから、小さい頃から英語を習わせる方が増えています。そしてゆくゆくは子どもが自分の目で広い世界を見てきてほしい…そんな思いが膨らむ一方、世界は今未曽有のコロナ禍に見舞われています。
この先いったいどうなっていくのかは誰にもわかりませんが、やはり子どもには広い世界を体験してほしいし、日本以外の国にも興味を持ってほしいもの。
中学、高校生くらいになると、海外でのホームステイや留学を考える子どもも少なくありません。たとえ短期間でも実際に滞在し、現地の人と触れ合うことは言葉だけでなく、日本では経験できないさまざまな学びがあり、大きな成長につながります。
今回は、海外交流をしたことのあるお子さんやその保護者の方の経験談、そしてAIG損害保険会社が展開している海外交流「AIG高校生外交官プログラム」について紹介します。
海外交流は日本では体験できないことだらけ!
海外でのホームステイを経験したお子さんや保護者に、行くことになったきっかけや、どんな経験をしたのか、その体験が今どう活きているのか、などを聞いてみました。
【きっかけは海外映画】(子ども本人談)
・行くきっかけ
外国映画で好きなシリーズがあって毎回字幕で観ていたのですが、ずっと「英語が聞き取れたら、字を追わずにもっと楽しめるのに」と思っていました。ある時、映画館で隣の席に座った外国の方数名が、日本人が全然笑わないような場面で大笑いしていたんです。「これはきっと、セリフの言い回しが面白くて笑ってるんだろうな。いいな、私もそういうところで笑いたい!」と思ったのがホームステイをしようと思ったきっかけです。・どのような形で行ったか
学校にホームステイの制度がなかったので、親と一緒に留学エージェント会社を選び、そこで申し込みました。・向こうでどんなこと・経験をしたのか
高1の夏休みの間およそ1か月間、オーストラリアに行きました。英語を学ぶのはもちろん、自然がたくさんある国がいいな、と思って。
当たり前ですが、学校での授業はオール英語。しかもオーストリアは独特の発音(なまり?)もあるので、聞き取れるはずの単語も分からなくて最初は泣きそうでした。でもみんな親切で、紙に書いてくれたり、「さっきの話分かった?」と聞いて来てくれたり。
週末の夕飯は、ほぼ必ずバーベキューだったのも驚きでした(笑)。国立公園で自然いっぱいの中でキャンプしたのも最高の思い出です。・海外留学の体験が、現在どう活きていると感じますか
「自分は何が分からないか」「どうしてほしいか」と、相手に伝える力(語学面でも思考面でも)が身についた気がします。あと、異文化に深く触れたことで、「いろいろな考え方、やり方があって当たり前なんだ」と思えるようになったかな。ホームステイ前は、けっこうすぐイライラしたり、自分と違うと排他的な目で見ちゃったりすることがあったので…
〔K君、現在21歳〕
【学校の交換留学に応募】(保護者談)
・行くきっかけ
娘が高校2年のとき学校の交換留学制度があり、「いいチャンスだから行ってみない?」と提案してみました。最初は渋っていた娘も、「同じ部活の友達も行くらしいから行ってみようかな」と、応募に踏み切りました。・どのような形で行ったか
学校主催です。日ごろお世話になっている学校主催なのでシステムとしても安心だし、同級生が何人もいて子どもも心強かったようです。・向こうでどんな経験をしたのか
ニュージーランドへ2週間滞在しました。向こうの高校では授業中1人1台パソコンがあるのは当たり前で、「充電器もたくさんあってビックリした」と言っていました(笑)。学校よりもホームステイ先の家族の方にたくさん刺激を受けたようです。休日は名所に連れて行ってもらったり、娘の英語力を上げるため、一緒に本を読んだり英語でたくさん質問をしてくれたりしたそうです。・海外留学の体験が、現在どう活きていると感じますか
「友達が行くなら行く」「英語が話せたらかっこいいかな」程度の動機だったようですが、帰国後は「英語ができるといろいろな人たちと繋がれる」と、外国の人たちとオンラインで会話したり、SNSで日本の紹介をするなど、英語を使っていろいろと発信しているようです。〔Iさん、子ども現在20歳〕
海外の高校生を日本でおもてなし、という形の海外交流
日本にいながら海外交流を体験できるのが、「ホームステイの受け入れ=ホストファミリーになる」ことです。家族全員で外国の高校生と生活を共にする、なかなかできない貴重な体験だと思います。どのような生活を送ったのか、子どもにどのような刺激や影響があったのかなどを聞いてみました。
【子どもにおもてなしの心が芽生えた】(保護者談)
・受け入れようと思ったきっかけは?
私自身が若い頃にホームステイでお世話になった経験があるので、息子(当時高2)が通う学校を介してボランティアの募集があった時、今度はぜひ応えたいと思って受け入れを決めました。・海外の高校生とどのように過ごしましたか
息子と年が近かったので、大半を息子と過ごしていました。お台場など有名スポットを観光したり、夜は好きなビデオを一緒に借りに行ったりゲームをしたりして過ごしていました。
私はとにかく夕飯を準備しただけです(苦笑)できるだけ日本食を準備したり、お弁当も持たせたこともありました。・ホームステイしてもらった体験が、現在どう活きていると感じますか
息子なりにあれこれ考え一生懸命お世話をしていました。そんな思いもあって短いステイにも関わらず別れ際には目に光るものが…。ステイをきっかけに、「おもてなし」の心や外国の人に日本のことを伝えたいという気持ちが芽生えたような気がします。
〔Hさん、子ども19歳〕
【家族のきずなが深まった!?】(保護者談)
・受け入れようと思ったきっかけは?
共働きの友人がホストファミリーになったと聞き、「共働きでもできるのか!子どもにも異文化を体験させたいな」と思ったからです。フランス人の高校生(英語堪能)に2週間ほど滞在してもらいました。・海外の高校生とどのように過ごしたか
私が1週間夏休みを取り、留学生と子どもを連れて観光スポットやプール、遊園地などに連れて行ったり、夜一緒に花火をしたり。週末は家族全員で遠出もしました。あとの1週間は、朝ごはんを食べたら主人と私は出勤、長男と次男でゲームをしたり、出かけたりしていましたね。お昼は外で食べたり、私がお弁当を作ったり。長男と相部屋で、夜な夜な拙いながらも英語で語り合ったりしたようです。・ホームステイしてもらった体験が、現在どう活きていると感じますか
当時上の子が高1、下の子が中2だったのですが、2人とも部活やら友達と遊ぶのに夢中で、なんだか家族バラバラな感じでした。でもホストファミリーになってから、家族総出で一緒に出掛けたり、朝ごはん・夕飯は必ずみんなで食べたりすることで、家族がまとまった感じがします。私としては、それが一番嬉しいですね(笑)
「飛行機乗るとか、外国行くとか絶対ヤダ」と言っていた長男が、「コロナが落ち着いたらフランスかイタリア行きたい」と言っているのもホームステイのメリットだと思っています。〔Uさん、子ども20歳、18歳〕
夏だからこそ国際交流を体験させたい!AIG高校生外交官プログラムとは?
AIGが毎年行っている「高校生外交官プログラム」(1987年発足)には、夏休み期間に行われる渡米プログラム(約3週間)と日本プログラム(約10日間)の2つがあります。これまでに約1,500人の日本の高校生が渡米し、約500人の米国の高校生が来日しました。
「高校生外交官」として日米高校生が生きた語学や異文化を学びながら、ディスカッションやプレゼンを行うなど、さまざまな交流を通し、将来の国際的リーダーを目指ざすプログラムとなっています。参加費(滞在費、食費、授業料など)は、AIG損害保険株式会社およびフリーマン財団からの協賛金・寄付金で賄われるため、自己負担がないのも大きな特徴です。
・渡米した高校生の声
はじめはなかなか自分から会話をスタートさせたり、意見を言ったりすることができませんでした。いつもの自分だったら、きっとここで諦めていたと思います。しかし、「高校生外交官プログラム」は違いました。この最高の舞台で小さな変化でもいいから絶対に変わりたい、ここでしか得られないものをつかみたいという思いがどんどん自分の中で大きくなって、私自身の原動力となりました。(中略)英語で何回聞き返されても、失敗を恐れずに相手が理解してくれるまで伝えようとするようになりました。そして、積極的に行動した結果、得られるものがいかに貴重であるかを知りました。まさに、“Seize the Wind”のスピリットです。
・日本で受け入れ側として参加した高校生の声
参加する前は、まったく英語に自信がなかったし、皆とコミュニケーションができるのか不安で一杯でした。頑張って話しかけようという気持ちはありましたが、実際できたかというと、できなかった気がします。そんな私でも“相手を想う、相手のことを尊重する”ことはできるし、今までもやっていたことだったと思う。けれど誰よりも相手のことを想い、誰よりも相手のことを尊重することができた時、それは国を超えてどんな相手にも伝わり、それはコミュニケーションにも繋がる。この13日間で何度もそう思うことができました。新しく得るために努力するべきこともたくさんあるけれど、今までの自分の中にあったものが認められ、自信に繋がった、そう思えた、これは私に残された大切なものの一つです。
参考・引用/高校生外交官プログラム
コロナ禍でもいろいろな形で海外交流ができる!
コロナ禍で渡米や来日が難しい今、今年度AIGは日米両プログラムに合格した60人の日本人の高校生のための特別プログラムをオンラインで開催(7月22日~7月30日)。英語を用いて、平和や社会問題についてのディスカッションを行いました。チャレンジ・リスペクト・プライドの姿勢を持つ国際人として生きていくために必要な視野を拡げる、充実したプログラム内容となりました。
そしてBRAVAでは、7月28日に行われた被爆者小倉桂子さん(広島在住)による英語での体験講話および高校生との平和ディスカッションを取材させていただきました。
8歳で被爆した小倉さん。たった1日で破壊された街、多くの死者が出た惨状の中での体験、終戦時軍人たちからチョコレートをもらうために「give me a chocolate」「hungry」など英語を覚え始め、そこから英語を学ぶ重要性を体感したこと、被爆体験を伝えるようになったきっかけ、今の若い世代の人たちになにを感じてほしいかなどを、流ちょうな英語で語りました。
講和後のディスカッションでは、小倉さん・高校生双方から
・平和のために今自分たちができることを考える
・コロナパンデミックは人の命について考え、自分ができることを模索するチャンス
・教科書で学ぶことと、実際に経験談を直接聞くこととでは、学ぶことや話の重さは大きく異なるため、とてもいい経験になった
など画期的な意見が飛び交いました。画面越しではありましたが、高校生一人ひとり食い入るように聞き入り、それぞれが何かを感じ取り、若い世代ならではの意見を述べたり質問をする姿が印象的でした。
コロナ禍で外出もままならない今、海外へ行くのは当分無理そうですが、今回のAIG高校生外交官プログラムのように、学校主催あるいは留学(ホームステイ)エージェント主催でさまざまな「オンライン海外交流プログラム」があるようです。
「今は留学に行く勇気はないけど語学力は伸ばしたい」というお子さんや「行かせたいけど、向こうで(外国)で何かあったら…」と不安な保護者の方も多いと思います。確かに現地で実際に生活するほうが得るものははるかに大きいですが、オンラインでも英語力や伝達力がアップしたり、興味や視野が広がると思います。コロナ禍だからこそオンラインで海外と繋がって、ゆくゆくは生で国際交流をするために備える、というのもいいかもしれませんね。
田崎美穂子
mamaライター