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2022.05.06

通知表は「あり?」「なし?」保護者や先生の意見を聞いてみた!



子どもの学校での評価が一目でわかる通知表ですが、「こんな低い評価?」「得意科目だと思っていたのにこの成績!?」と落胆したり疑問を持つこともありますよね。
親だけでなく、評価をする側として、付け方に疑問を持っていたり、「子どもを“できる”“できない”や数字で評価するのはどうなのか」と評価すること自体に抵抗があるという先生もいるようです。
そんな中、ここ近年通知表を廃止している小学校も出てきています。先日、2年前に通知表を廃止したその後を取材した記事が紹介されました。(通知表をやめた公立小学校、2年後どうなった? 子ども同士を「比べない」と決めた教員たちの挑戦(47NEWS) – Yahoo!ニュース
毎学期子どもの通知表を見て一喜一憂している筆者には「通知表がない」という状況が想像できませんが、今回はそんな通知表について、国が定める通知表の定義や、実際に通知表を廃止した学校、通知表に関しての保護者や先生たちの意見を紹介します。

そもそも「通知表の定義」ってどんなもの?


通知表は「どの学校も必ず出さなければならない子どもの評価票」というイメージがありますが、実際に国ではどのように定められているのでしょうか。

文部科学省によると、通知表は以下のように定義されています。
通知表に法的根拠はなく、作成の主体は校長先生、様式や内容もすべて校長先生の裁量となっています。そして「保護者に対して子どもの学習指導の状況を連絡し、家庭の理解や協力を求める目的で作成。法的な根拠はなし」とされており、「文部科学省の関与なし」と定められています。

通知表はあって当たり前、日本全国共通で法律的に定められたものと思っていた方も少なくないのではないでしょうか。完全に学校の裁量となると、確かに学校の独断で廃止しても問題ありませんね。ただ、いろいろとほかの問題が出てくる可能性もはらんでいるようですが。

参考:文部科学省〔学習評価に関する資料〕資料6-2 学習評価に関する資料

通知表をなくした小学校、その理由や経緯は?

・60年前に通知表を廃止した公立小学校
とある県の公立小学校では、60年も前に「〝劣る、やや劣る、普通、良い、たいへん良い“の5段階評価では、自分の子どもの長所、欠点、つまづきやその原因まで知ることはできない。結果だけにとらわれてしまい、指導する場合に『どこがどのようにいけないか、今後どうすればよいか』という励ましや具体的な指摘ができない。子ども自身も高い評価がいくつあったか、という捉え方しかできなくなる」という理由から通知表を廃止した学校があります。

〈通知表にかわる対応法は?〉
廃止から現在に至るまで、学期末に保護者との懇談の場を設け、個別に直接教員の口から子どもたちの成長についての報告を行っています。その場で教員と保護者が意見を交換し、疑問や不安を残さないよう、しっかり伝えられることができているそうです。

参考:60年通知表がない公立小の凄い「探究型総合学習」 | 東洋経済education×ICT | 変わる学びの、新しいチカラに。

・通知表ではなく「成長の記録」
とある私立小学校では、40年前から「通知表は学校が設けた基準に対する到達結果を知らせるものだが、成長の過程を細やかに伝えることはできない」という理由から、通知表を廃止しています。

〈通知表にかわる対応法は?〉
ひとつめは、「日常評価」。子どもたちの日々の活動を、プリントや小テスト・ノート等で日常的に評価して保護者に知らせます。保護者は、子どもが持ち帰る日常的な評価から、今どんな状態なのかを知ることができます。
ふたつめは、「面談」。学期末に「三者面談」(子ども、保護者、担任)を行い、子どもの学習や生活の現状(できるようになったこと、できていないこと)を整理し、取り組むべき課題を三人一緒に確認していきます。面談で確認したものは「成長の記録」という資料に残し、次の課題へつなげていきます。

参考:教育課程 | 青山学院初等部

通知表に保護者が思うこととは


「通知表はないほうがいい」という意見は今回聞きませんでしたが、「こうあってほしい」「この部分は不要なのでは」というような、通知表に対し保護者が抱く率直な意見を聞いてみました。

・先生が我が子をどう評価しているのか、やはり知りたいし、子どもが何をどう頑張ったのか、褒めたり伸ばしたりする目安になるので、個人的にはあった方がいいと思う。子どももあったほうがモチベーションにつながるのでは。〔Tさん、子ども8歳、4歳〕

・全くいらないとは思わないけど、小学校低学年〜中学年の「できている」「できていない」的な二極の評価は本当に必要なのかな、と思います。伝えるべきことがあれば、個人面談などで具体的に「なにがどうできているか(できていないか)」というふうに教えてほしい。
〔Sさん、子ども7歳〕

・家ではこの子の長所だなと思っていたことを、担任の先生がことごとく低い評価を付けるので、通知表が出るたびに子どもの自己肯定感が下がり、親も悲しい思いをしています。勉強面だけの目に見える数字だけ出せばいいし(ミニテストや理解度などの絶対評価。これも難しいのかもしれませんが)、「性格に関すること」「意欲がある、ない」などの評価をするような通知表はいらないと思います。〔Iさん、子ども9歳、7歳〕

付ける側の先生もいろいろ悩みがある…

「評定(数字)」は必要だけど、その子の生活態度やクラス内でどのような存在か、というような「評価」は不要なのではないか、と正直思う。どうしても先入観や主観が入ってしまうし、それを文字に残すのは正直怖いです。だとしたら、面談など口頭で伝えられる時に詳しく話す方がいい。通知表は評定だけでいいんじゃないか、と思います。(公立小学校教員 Mさん)

実は、私の勤める学校(公立)でも通知表をなくしてはどうか、という意見が少数ですが出ています。まだ少数派とはいえ、私としては不安です。今の世の中、競争や順位付け、あるいは「何かに秀でていないと劣等感を持たせることになる」という風潮がありますが、やはり通知表はその学期にどのくらい頑張ったか、ここはもうちょっとなどの先生からのメッセージでもあり、数字や評価はモチベーションにつながることも多いです。もし通知表に不満があったり、「ちょっとここは」と疑問に思った保護者(あるいは子ども本人)が気軽に意見を言える雰囲気になっていけばいいな、と思います。理想論ですが…(公立小学校教員 Hさん)

通知表は「あった方がいいか」「ない方がいいか」、これはとても難しい問題で、どちらがいいのかという正解もないし、個人の価値観によって違ってきます。学校内で決めることとなれば、時間をかけた議論や調整、そして通知表をなくしたあとの評価の仕方なども考えなくてはなりません。今回、BRAVA編集部としてはあくまで「意見」としてうかがいました。

また、コロナ禍で学校自体の在り方も大きく変わってきました。オンライン授業になって、不登校だった子が参加しやすくなったというメリットがある反面、コロナで不登校になってしまった、オンラインでは生徒の様子がわかりにくく評価しにくいなどのデメリットも出てきています。今後どのように評価していけばいいのか、その際通知表をどういう形にしていくか、悩んでいる学校も多いのではないでしょうか。

通知表の見方や評価方法については、以前紹介した記事「<小学校低学年の通知表>見方や評価方法って?親のコメント欄書くことや通知表に納得いかない場合の方法も紹介」
(<小学校低学年の通知表>見方や評価方法って?親のコメント欄書くことや通知表に納得いかない場合の方法も紹介 | BRAVA(ブラーバ) (brava-mama.jp))や「<小学校高学年>通知表の評価方法や見方は?評価に納得いかない場合の対応」(<小学校高学年>通知表の評価方法や見方は?評価に納得いかない場合の対応 | BRAVA(ブラーバ) (brava-mama.jp))を参考にしてください。

田崎美穂子

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