2015.05.07
【究極のDIY】いつか家を建てる日のために…セルフビルド本に学ぶ、家つくりの哲学
新米建築士ママが薦める「読んでよかった〜」
『350万円で自分の家をつくる』
畠山サトル著
賃貸に住み続ける? ローンを組んで家を買う?
最近の夫婦の話題は、もっぱら「これからの人生をどんな家で暮らしていくのか」ということ。しかし、いつか家を建てたいねという話はしているものの、建築と無関係な仕事をしている夫には「注文住宅は高いし、かといって建て売りもね…。そもそも自分がどんな家に住みたいのか分からない」といったレベルの話。
私自身も、リフォームや増改築の設計がメインのため、いざ「自分の家を建てよう!」となっても、なんだかぼんやりとしか想像がついていませんでした。
家族で買い物へ出かけたある日、ふらっと入ったヴィレッジヴァンガードで見かけたのがこの本。よくある「○○万で◎◎ができる!」系の胡散臭い(失礼!)本とは違い、なんだか実用性があって読み応えありそう。巻末の費用明細には、実際に著者が使った金額が1円単位で記されており、総合計なんと3,735,918円! これは面白そうです。
読みたかったのは、本当に役に立って面白いセルフビルド本!
ここ数年でブームとなったDIY。そこからさらにステージを進めたセルフビルド(自分で家を建てること)も流行り出し、日曜大工の域を超えた作業ができる人も増えてきています。しかし、数あるセルフビルド本は、「難解な図面や専門用語ばかりのつまらないもの」もしくは「オシャレな写真集テイストで肝心な情報の少ないもの」のどちらか。
この本はそのどちらでもなく、著者の畠山さんが自身のマイホームを建てるまでの、とっても詳しくてあけっぴろげな覚え書きと言ったところ。土地探しから地盤調査、書類申請に道具集め…、などの前段階から、基礎、外部、内部、設備、仕上げなどの家作りにかかる工事作業をひとつひとつ、順を追って解説しています。まさに、著者の家つくりの壮大なレシピ本です。
著者の「家つくりの哲学」から、理想の家を考える
写真やイラストなども多様で、パラパラと読んでいるだけでも楽しめるのですが、私が感銘を受けたのは、ところどころに挟まれる著者のコラム、「サトルのひとりごと」。ふむふむと納得し、くすっと笑えて、勉強になるものばかりでした。なかでも、お気に入りの3つを紹介します。
★家族の変化には、そのときどきで対応まずは小さく建てるべし。
家族の変化に応じて、必要になったら建て足す・減らすというフレキシブルさがとても自然な気がしました。実際、著者の家は4.4坪の箱4つに屋根を乗せた、きわめてシンプルで美しい作りです。
★う○こが流れないのではないかと心配!
排水の勾配が心配で、「果たしてしっかり流れるのか」ずっとそわそわしていたそう。家ではう○こはしない、と誓いかけたこともあったとか。セルフビルドならではの笑えるエピソードです。
★夫婦で作業したら仲良くなる?
「そんなことは絶対ありえない。仲が悪くなる。別々の作業がよろし」とのこと。畠山夫妻のやりとりは、ぜひ著書を読んでみて。理想論だけでない、家つくりへの向き合い方を垣間みた気がしました。
実際にこの著書を真似して自分で建ててみる、という方は少ないと思います。でも、いつか家を建てるときに、その段取りや予算を知っているのとそうでないのとは大違いです。家つくりに関するすべてのことが開け放たれたこの著書を読んでおけば、理想の家を考える一助になるのでは、と思います。
お薦めしてくれたワーママ
A.Mさん。小さな建築アトリエ事務所で働く、新米建築士で一児のママ。現在、第二子妊娠中で産休中。都下の賃貸住宅に、夫と娘、犬2匹と暮らしている。理想の家は、「家族が集う広〜いリビンクに、小さな寝室ひとつだけのミニマムな家」
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浦和ツナ子
ライター/編集