2015.10.27
「ありがとう」がつなぐ人と人
折れそうになっても大丈夫!私を癒した言葉『言薬』
大恒のり子さん
調べ好きママを支えた言薬(旦那さまからの)「ありがとう」
データ収集&分析で乗り切った保活
旦那さまは6歳年下で、ご結婚した時まだ新卒・就職したてだったため、経済的に家庭を支える必要があったそうです。
しかし、その状況を除いても「働き続けたいというか、仕事を辞めたいと思ったことはありません」と大恒さんはいいます。
ご両親が近くにいないこともあり、出産後の生活を考えて引越しをされました。
「出産時は埼玉に住んでいたんですが、通勤のことを考えて都内に引っ越そうと」
ここまでは普通に考えることです。
しかし、独身時代から30回以上の引越しを経験している引越し魔な大恒さんは、さすがに違いました。もともと引っ越し先の土地について調べることが好きだったのに加え、子どもを含めた家族での生活の場という新たな興味を得て、
その能力を遺憾なく発揮します。
「助成など区によって全然違うので。全て調べました。その結果、千代田区がいいと判明したんですが、家賃が高くて払えない(笑)」
家賃との兼ね合いを考えて居住地を決定。
そこで「警視庁のデータベースで犯罪率を調べ、国土交通省のデータベースから地盤の状況を調べ、最近の新築マンションの建設頭数を調べて保育園に入る月齢の人口データをあてて、保育園を絞り込みました。そして無事第5希望に滑り込みました」
業務でマーケティングを担当する大恒さん。さすがの分析力で保活をも乗り切りました。
待っていた孤独な日々
ただ、縁もゆかりもなく、下調べだけで引っ越した先に知人はおらず、転入した生後6カ月から育休終了までの10カ月間は孤立していたといいます。
「子どももまだ話せなかったし、旦那としか話してないなんて日も多かったです。人と話さないと脳みそが動かない感じがあって(笑)、考える力がどんどん弱っていく気がしていました。とにかく社会に出たかったですね。」
お子さんの誕生日が1日違うだけで1歳になってからでないと保育園入園申請ができなかったことで復帰が予定より遅れたそうです。
「さすがに誕生日の調整までできませんから(笑)」
児童館などにも行ってみたものの、親密になるママ友には巡り会えませんでした。
「でも、住んでいるエリアは2世帯の家庭が多くて、孫育てに慣れているご年配の方が多いんですね。外にでるとよく声をかけていただいたり、スーパーで『荷物詰めてあげるわよ』といってもらったり。小さい子がウェルカムな雰囲気なので、そこは良かったですね」
涙のお別れはご主人に。ベテラン保育士のおかげで楽々
実際に預けることになった保育園も、ご年配のベテラン保育士さんが多い園なのだそう。
「遠くて、お弁当持参で、ちょっと面倒なんですが、ベテラン保育士さんが揃っているので安心して預けられるのがいいなと思っています」
元来ポジティブな性格で、お子さんを預けて働くことに後ろめたさは感じないという大恒さん。今の働くモチベーションとなっているのは
「息子が言葉をわかるようになった時に『お母さん、こんな仕事をしているんだよ』と自慢したい」との思い。
ワーママが「一番つらい!」という保育園でのお別れも
「前知識として聞いていたので、送りは主人にお願いしました。私は『ママー!』って喜んで抱きついてくるお迎えだけ(笑)」と、情報戦の勝利のようです。
とはいえ、8:00〜17:00のフルタイム勤務のため、まだお子さんと旦那さんが眠っている間に家をでるというのですから、それはそれで大変ですよね。
旦那さんに聞いたところによると、お別れの時は諦めるのか、さすがに保育士さんがベテランだからなのか、意外とあっさりお別れしてくれたそうです。
週に一度はフリーな夜を楽しむ!
今年から、毎週水曜日には旦那さんがお迎えも行ってくれているといいます。
新卒で入った会社も、もう4年目。少しずつ立場も落ち着いてきたのが理由だそうですが、そこにいたるきっかけがありました。
「夫は飲めないんですが、飲み会の参加は頻繁で。結構遅く帰る日が続いていたんですよ。自分ができないことを相手にされると目に余るというか・・・。『なんで夜にそんなに自由時間があるんだっけ?』と(笑)」
そう言ったすぐ後に、週一夜自由時間の提案が旦那さんからあったそうです。
通常平日に旦那さんが分担する家事は洗濯機を回すことだけだそうですが、週末土日のどちらかは、1日フルで大恒さんを休ませてくれるといいます。
「1日夫が息子を連れて外出するか、私が1日外出するかして、私が終日1人でいられる日を作っています。これは復職した当初からですね」
平日の家事分担がほぼない状態とはいえ、かなり羨ましい。
「平日も家事育児の負担というのはさほど感じてはいないんですが、やはり時間が欲しいんですね。今回のことも、『私だって平日にやりたいことがある!』と強く訴えました」
やりたいことに優先順位をつけるたいせつさ
以前から、限られた時間の中で家事も含めて、やりたいけれどできないことがあることにイライラを感じていたという大恒さん。
ご両親がいらしたときに「いいわよ、ご飯なんて作れなくても。」とか「ホコリでは死なないわよ」と言われて、「できていないことが嫌なんじゃなくて、やりたいけどできていないことが嫌なの!」とおもわず叫んでいたそうです。
「そのときに、やりたいことに優先順位をつけるべきだと感じたんです。仕事ではできているのに、家庭のことでできないのはなんでだろう?と。やりたいことからやればいいじゃないかと」
周囲に頼る親類がおらず、孤独な10カ月があったことも知っているからこそ、旦那さんもできうる限りのサポートをしてくれているのでしょうね。
キザなご主人の言葉のありがたみを再認識
そんな旦那さんは、大恒さんがする家事などに対してことあるごとに「ありがとう」と言ってくれているそうで、「振り返ってみるとそれが私の支えになっていました。」といいます。
料理を始め、家事については能力を発揮できない旦那さん、ご結婚前から甲斐甲斐しく家事をしてくれる大恒さんに対して、具体的なことに「ありがとう」と言ってくれていたそうですが、結婚前は「もともとキザな人なので、そんなにちゃんと受け止めてなかったですね」家族ができてからは大恒さんの受け取り方が違ってきたといいます。
「例えば『アイロンかけてくれてありがとう』とか、とても小さなことでもありがとうと言ってくれることに救われているなぁと思うことがよくあります。その影響で、私も言うようになりましたね。『洗濯物取り入れてくれてありがとう』とか」
そして、その影響はお子さんにも
「『ママ、このご飯美味しいね。ありがとう』と言ってくれたりします。まだ4歳なんですけど。アイロンといえば、保育園で日本舞踊を習っているんですけど、浴衣にアイロンが必要なんですよ、かなり大変なんですけど(笑)。それに対して『ママ、アイロンかけてくれてありがとう』と。パパのこととかよく見てるんですね」
とっても良い循環が家族の中にうまれていますね。お互い、相手の行動にキチンと感謝する。当たり前のことと捉えずに。
大切なことだし、やったほうがいいのはわかっていてもなかなかできないことでもありますね。
「ありがとう」がつなぐ人と人
この「ありがとうの連鎖」は、仕事にも続いているそうです。
「時間が限られていることで、多くの人にお願い事をしなきゃいけないですよね。お願いしたことが返ってきた時に、お願いしたこと以上のことをしてくれていたり、良きに計らってくれていたりするんです。きっと独身時代もやってもらっていたんだと思うんですけど、それに気づいていなかったんですね。今は、とってもありがたいなぁと思って、伝えるようにしています。特に相手のモチベーションがあがるようなお礼の言い方に気を使っています」
最近は、例の夜自由時間を使って、同僚と飲みに行くことが楽しみのひとつだとか。
また、働くモチベーションであった「息子に自慢できる仕事」も実現できつつあるそうで、「ありがとう」を軸に家庭も仕事もうまく回っているといいます。
大恒さんにとっての「言薬」は、みんなの「潤滑油」でもありました。
これって、どんな人にもあてはまるんじゃないでしょうか。
今日、帰ったらご主人に「ありがとう」って言ってみては?
まぁ、言える何かをしてくれればですけどね(笑)
プロフィール
大恒のりこさん
32歳
家族構成:自分・息子(4歳8カ月)
ご結婚した年齢:28歳
出産された年齢:29歳
お仕事のキャリア:インターネット事業、イーコマース事業
現在のお仕事:マーケティング
産休、育児休暇合わせて1年4カ月取得