2018.06.02
不妊が増えているって本当?夫や不妊ママと悩みを共有する方法
不妊症が増えているという話を聞いたことはありますか?確かに不妊症で病院に通っている、もしくは通っていたという話を身近で聞くことは増えたように思います。周囲にも、子どものいない夫婦はたくさんいます。では医学の世界ではどうなのでしょうか。
今回は不妊症の人が本当に増えているのかどうか、そして増えているとすれば何が原因なのかを調べてみます。そして、少しでもつらい気持ちを乗り切るために、同じ悩みを抱えている人と気持ちを共有する方法や、夫と悩みを分かち合う方法について考えてみましょう。
不妊が増えているって本当?医療の現状と原因
では、不妊は現在増えているのでしょうか。メディカルノートの河村医師のコメントhttps://medicalnote.jp/contents/171227-001-TOによれば、答えは「イエス」です。といっても、注意しなければならないのが、「不妊の人」が増えていると同時に、「不妊治療を受ける人」が増えている点です。つまり、これまでは「無精子症」などの診断を受けて治療を受けることなく諦めていた人々が、諦めずに妊活や不妊治療に踏み出すようになっているのです
不妊治療を受ける人が増えていることは確実ですが、それがそのまま「不妊症患者の数」というわけではありません。不妊であっても検査や治療を受けていない潜在的な患者もいますし、不妊への関心が高まり検査を積極的に受ける人が増え、結果的に不妊と分かることも増えているからです。しかし、その分を差し引いても、不妊に悩んでいる人は増えていると言われています。現在では20人に1人の赤ちゃんが、体外受精で授かった命とされています。
〇不妊治療を受ける人の増加の原因
・不妊症に対する意識の向上
・不妊への関心度が高まったことによる不妊検査を受ける人の増加
・卵子や精子が老化すると妊娠しにくくなるという知識が広まった
・不妊治療に関する国や自治体からの助成金支給
そのほかにも、私の身の回りでは「東日本大震災以来、頼れる家族を増やしたいと思った」「社会情勢不安から自分の人生を顧みて、子孫を残したいと思った」「テレビで不妊治療のことを知り、珍しいことじゃないんだと勇気が出た」という声を聞いたことがあります。ほかにも様々な理由から、人々は不妊治療へと一歩を踏み出しやすくなったと考えられます。
では、純粋に増えていると言われる不妊症と診断される人の増加は、何が原因なのでしょうか。
〇不妊と診断される人の増加の原因
・初婚・初産の高年齢化
・女性の初潮が早く来ることによる子宮内膜症などの病気の増加
・ストレスや肥満・高温環境・電磁波・環境ホルモンの影響と考えられる精子の質の低下
・性感染症の増加
これらの要因が考えられます。初婚・初産の高年齢化は、卵子と精子の老化による不妊の原因となります。
生活様式の変化や栄養状態の向上などにより、女性の初潮年齢は低くなっています。しかし晩婚化が進んだため、女性は妊娠という休息期間をはさむことなく長期間生理を繰り返すことになります。生理の回数が増えると子宮や卵巣への負担となり、子宮内膜症などのリスクが高まると言われています。
精子の質の低下はさまざまな原因が考えられているのですが、はっきりと「これ」という原因はわかっていないことが多いようです。そのほかにも飲酒・喫煙などの生活習慣も精子の質を低下させたり、精子自体の数を減らす要因になると言われています。
さらに、近年若い人々の間で「性感染症」が蔓延しつつあるというニュースを耳にしたことはありませんか?特に梅毒については、近年厚労省が啓発を行うほど増加しています。梅毒に感染したことに気付かないまま妊娠すると、母子感染を起こす怖い病気です。ほかにも性感染症には不妊の原因となるものがあるため、性感染症の蔓延は不妊症の増加に深刻な影響を与えるのです。
不妊が増えているという現実は、それだけ多くの人が悩んでいるということです。現在不妊かもしれないと不安を感じたことがあるカップルは3組に1組、実際に不妊検査を受けてみたカップルは6組に1組と言われています。実際に不妊と診断されるカップルは10組に1組と言われていますが、現状はもっと進んで7組に1組という説もあります。(参考/DIAMOND online)
不妊症に悩む女性の生の声が聴きたい…ブログを読んでみよう
実際不妊と診断されたカップルも増加していますし、不妊かもしれないと不安を抱えているカップルも増えている現在、もはや不妊は他人事ではなくなっています。たとえば先ほどの数字を職場にあてはめて考えてみましょう。同じ職場に10人スタッフがいれば、1人は不妊と診断され、1~2人は実際検査を受け、3~4人は不妊に不安を感じているということになります。しかし不妊で悩んでいるかどうかは、普段の付き合いの中ではなかなかわかりません。
「不妊症かもしれない」という不安は、女性にとって胸を冷やすものです。他人に相談しにくい話題で、中には夫にさえ伝えることをためらう女性もいるかもしれません。勇気を出して産婦人科へ行き、検査を受けて「不妊ですね。治療が必要です」と診断されたら、その不安はもっと冷たく重く心を覆いつくしてしまうことでしょう。
そんな時、読んでみて欲しいのが「不妊症に悩む女性がつづっているブログ」です。不妊と診断されたり、不妊かもしれないと感じたりしたときの不安は、特別なものではありません。誰しも同じ状況に置かれたら、感じることになる「当たり前の感情」です。でも、一人で抱えるには重すぎて、つらすぎる感情でもあります。それは同じ気持ちを共有できる人を探すことで、少しでも前を向く勇気を与えられるかもしれません。
Amebaのブログには「ベビ待ち・不妊治療・妊活」というジャンルがあります。ジャンル別の総合ランキングがあり、さらに多くの人に共感されている毎日のランキングもあります。ハッシュタグもついているので、検索もしやすいですよ。
たとえば総合ランキングならブログのトップタイトルと最新記事のタイトルがわかるので、だいたいどんな人がどんな妊活や不妊治療にトライし、現在どんな状態なのかがわかります。また毎日のランキングでは、今妊活をしている女性たちの共感を多く集めている記事がすぐに分かります。
現在は読みやすい四コマ漫画形式のブログもたくさんありますし、文字数も適度でさっと読めるブログがたくさんあります。私も実際にいくつか読ませていただきましたが、なかなか妊娠しなくて不安だった時のことや、流産を経験して絶望的な気分だった時のことを思い出し、涙が出ました。
Amebaブログのベビ待ち・不妊治療・妊活のランキングサイトはこちらです。
にほんブログ村の赤ちゃん待ちブログのランキングページはこちらです。
ライブドアブログの妊活ランキングページはこちらです。
はてなブログのベビー待ちグループはこちらです。
ほかにもさまざまなサイトで不妊・赤ちゃん待ち・妊活ブログが紹介されています。自分自身の境遇に近いブログは、とても胸に迫ります。周囲に理解してくれる人がいない場合や、すぐに探す気にはなれない場合は、まずブログで探してみましょう。
不妊症の不安に押しつぶされそう…悩みを共有・共感すること
不妊症に悩む女性のブログを読んでみると、全国で同じ悩みを抱えている人がいかに多いかわかると思います。そして自分の中に溜まっていく不妊への不安や夫への不満、妊婦さんや赤ちゃんを連れた女性への嫉妬の気持ちなど、「嫌だ」と思っていた感情が、誰でも抱いてしまうものだということも分かるでしょう。
もしも通っているクリニックで、不妊症の女性のための学習会やセミナーなどが行われるなら、参加してみませんか。市町村など自治体で行う場合は、公式サイトや広報誌などに開催日などの詳細情報が掲載されています。そういった場に出ていくことで、同じ悩みを抱えている人に実際会うことができます。
「相手が先に妊娠してしまった時にきっと祝福できない……」という気持ちが強く、不妊治療仲間を作ることに抵抗がある場合は、ネットでつながるNPO法人もあります。
NPO法人Fine~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~
不妊症治療のカウンセリングを行っているクリニックもあります。ひとりで抱えるには重すぎる悩みだということをしっかり理解して、殻に閉じこもらず同じ悩みを共有できる人、理解して共感してくれる人をひとりでも作っていけると良いですね。
もしご両親が不妊経験者なら、まずはお母さんに話を聞いてみましょう。どんな気持ちであなたがお腹に来てくれることを待っていたのか、もし妊娠できなかったらどうしようと思っていたのかなど、今なら聞けるお話をきっとたくさん持っていますよ。
男性だって悩んでいます!ふたりで不妊についてよく話し合おう
検査をしてみたら、男性の方に不妊の原因があったという「男性不妊」は、不妊全体のなんと半数にのぼります。WHOの調査によれば、男性にのみ不妊原因がある夫婦が24%、男性にも不妊原因がある夫婦が24%になり、合わせれば48%の夫婦に男性不妊の因子があるということになります。
現在では、女性だけでなく男性にも不妊原因があるということが知られるようになってきました。不妊で悩んでいる夫婦は、男女そろって検査を受けなければ意味がないということも、多くの人が理解するようになっています。その結果、今まで考えてもいなかった「自分の精子には問題がある」という事実を突きつけられる男性も、やはり大きなショックを受けています。
女性の場合はこれまでにも多くのメディアで不妊について取り上げられており、不妊に限らず健診や重い生理痛などで産婦人科を訪れることもあるため、不妊についての予備知識がある人も多いでしょう。子宮内膜症や生理不順などがあったり、骨盤腹膜炎などの既往歴があったりすれば、「妊娠しにくいかもしれない」と感じることもありますよね。
でも男性の場合、肉体的に性交に至ることが難しいEDなどの症状がなければ、不妊の自覚症状があるケースはほとんどありません。普通に射精ができていれば、不妊だなんて思いもよらないという人がほとんどでしょう。でも射精ができるか否かではなく、そこに含まれる精子の質で不妊の診断は決まるのです。
検査を受けて夫にのみ不妊の因子があることがわかっても、責めてはいけません。また逆に妻にのみ不妊の因子があることが分かった場合も、罪悪感にとらわれる必要はありません。不妊はあくまでも夫婦がともに受け止めるべき問題で、原因がある側だけが治療に励んでいても、うまくいかないことも少なくないのです。
それは、不妊の原因に「精神的なストレス」が大きく関わってくるからです。妻が夫を責めても、夫が妻を責めても、互いにストレスがふくらむ一方で何も解決しません。お互いが抱えているであろう「罪悪感」と「焦り」「不満」を互いの立場に立って考え、支え合ってこそ不妊を乗り越えるためのきずなが築かれます。不安があるなら、徹底的に話し合いましょう。
男性に「あまり聞きたくない」と思われる話を聞いてもらうには、ちょっとしたコツが必要です。事前に「今からする話はどういった結末の話か」ということを、伝えておくのです。
〇解決してほしい問題や答えが欲しい場合は「~で悩んでいるから、一緒に考えて」と事前に伝えます。なるべく感情論を混ぜずに事実を伝えた後、自分がどう感じたのかを簡潔に付け加えましょう。
〇ただ黙って聞き、慰めてほしい時は「つらい気持ちになったの。わかってくれる?」と伝えておきましょう。最後に「ハグしてくれる?」と甘えてみると、男性も頼られていることがわかって嬉しい気持ちになるのではないでしょうか。
男性は女性の話を「ただの愚痴」として流し聞きしてしまうことが多いですよね。それには二つの原因があります。
〇「話の着地点が見えない」…結論がどこに着地するのかわからないまま、感情の羅列や暴発になってしまったり、最初に話していたことと違う話になってしまったりして、結局何を伝えたいのか理解できない。
〇「答えを求めているのか、ただ聞いてほしいだけなのかわからない」…冷静にアドバイスをすると「冷たい、気持ちを分かってくれない」と返されたり、うんうんと相槌を打ちながら言葉を挟まずに聞いていると「ちゃんと聞いてくれない、答えてくれない」と不機嫌になったりするため、どう対応すればいいのかわからない。
そこで、こちらから「話の着地点」、つまりつらい気持ちになったということと、答えを求めているのか、ただ聞いて慰めてほしいだけなのかを伝えておくと、共感してもらいやすくなります。
つらい気持ちになったときは、怒りを覚えた時と同じように冷静ではいられないことが多いですよね。そんな時は、夫に話したりメールをする前に、紙に書き出したり、メモ帳に打ち込んだりしてみましょう。それだけでも、自分の中で感情の整理がつくことがあります。それでもおさまらない場合は少し時間が経ってからメモを読み返し、夫にちゃんと伝わるように校正してみてください。それだけで満足してしまったり、より落ち着いて話すことができたりしますよ。
ひとりで悩まないで!話すことで情報も広がります
不妊が増えていることで、不安を抱えている女性も増えています。不安を解消するためにはまず夫婦で検査を受け、不妊かどうかをはっきりさせましょう。その上で、夫婦でじっくり話し合ったり、同じ悩みを持っている人のブログを読んだりして気持ちを落ち着かせ、今後どうすべきかを考えていきましょう。
ひとりで悩むと、どんどん考えが深みにはまってしまいます。でもブログを読んで共感したり、夫婦で悩みや不安・努力を共有したりすることで、気持ちは外に向かうようになります。不妊治療を行っている女性と実際にコミュニケーションを取ることで、気持ちもアクティブになってくるかもしれません。
多くの人と悩みを共有することで、入ってくる情報も増えていきます。口コミで評判のクリニックを教えてもらったり、人気の整体や鍼灸などに通ってみたり、夫婦で気晴らしに子宝祈願の旅行に出かけてもいいでしょう。気持ちに余裕を持つことで、妊活や不妊治療、そしてこれからの夫婦の在り方についても光明が見えてくるかもしれません。
【不妊(不妊症)について】
・どういう状態を不妊症というの?(1)
・どういう状態を不妊症というの?(2)
・どういう状態を不妊症というの?(3)
・どういう状態を不妊症というの?(4)
・妊活ブログ
・不妊治療費用はいくらかかる?
・不妊検査って何をするの?(1)
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・妊活中の食生活とサプリ
・2人目不妊について(1)
・2人目不妊について(2)
・無精子症でも赤ちゃん誕生に成功
・妊活の第一歩は、定期的な現状把握
・卵巣年齢を測定するAMH検査
河野まちこ
ライター