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2019.06.04

公立小学校の転校「個人的な理由・学校がイヤ・他の学校に行きたい」で転校できる?



小学校は義務教育であり、公立であれば住民票のある学区域の指定校に通います。転勤等で引っ越しをしたら、転居した区域の学校に転入しますね。

では、引っ越しではなく「どうしても今の小学校とはなじめない、うまくいかないから転校させたい」あるいは子ども自身が「他の小学校に行きたい」といった場合、個人的な理由で転校はできるのでしょうか?

結論から言えば、本来は「個人の理由」で転校はできません。しかし、現在はいじめをはじめ、様々な問題もあり、公立小学校を転居以外の理由で転校することもできるようにはなっています。

今回の記事では
●公立小学校の転校について
●実際に公立小学校で個人的理由で転校したママの感想・体験談
を紹介します。

公立小学校転校について


転居による転校では、住民票を移すことで、事務的な手続きは自治体の役所の言うとおりに行えば問題ありません。また在籍する小学校から転校手続きについても丁寧な説明があるでしょう。

しかし、転居以外の理由になると、まず学校に「転校したい」ことを相談しなくてはなりません。学校がもし、転校する(転校したい)理由を認めた場合、学校から教育委員会へ転校させたい旨の連絡がいきます。いきなり「転校します」「はい、どうぞ」とはいきません。

いじめのように原因が非常にはっきりとしているケースでも、実際に公立小学校の転校となると、なかなか簡単ではないようです。在籍する小学校がいじめを認めなかったり、改善するから頑張りましょうということもあるでしょう。教育委員会に直接訴えても、まずは学校側と相談した上で、と言われる場合もよくあります。

ただ、現在、文科省では、就学校の指定変更を認めてはいます。事例については、こちらのページに掲載されているので参考にして下さい。

「いじめ」ではない理由での転校が難しいが・・・


小学校・中学校は義務教育ですから、子供は住んでいる地域の指定された学校へ通うのが基本です。いじめのように重大な問題が認められる場合、転校によって改善がのぞめる場合には区域外の通学許可申請を出す自治体は増えています。しかし、いじめという大きな問題であっても、転校は簡単ではないのが現実です。ましてや、いじめとは違う「学校行きたくない」ために、環境を変えたいといった理由はなかなか就学校の指定変更(つまりは転校ということですが)は認めてもらえないようです。

また、「みんな嫌なことがあっても、決まった学校へ通っている。子供のワガママで転校させるなんて」という声は実際に多いですし、不登校になって「転校させる」といった場合には偏見や好奇の目で見られることも少なくありません。

それでも転校に踏み切ったママたち、転校までのいきさつ、手続きなどの体験を2つ紹介します。

【体験談1】私立小学校へ転校させました


娘が小2から、学校が嫌い、先生が嫌い、あの学校に行くだけで吐き気がすると言い出しました。学校には何度も相談に行きましたが、保健室でいいから来てくれれば問題ない、との返答ばかり。娘が登校する時は付添いをしましたが、玄関で顔を合わせても、担任の先生は「保健室に行っていいよ」ひと言で終わってしまい、忙しいのは重々承知していますが、もうちょっと違う声かけをしてもらえないのか、クラスになじめるようフォローはしてもらえないものか、と困惑しました。

先生との相性の問題ならばクラス替えまで待とうと思い、その後、小3でクラス替えになり、先生も替わったのでホッとしたのですが「学校が嫌だ、もう私は登校拒否の子って思われてるし、校長先生が毎日朝、校長室に顔を出しなさいっていうの、それも嫌だし、保健室でいいって言うけど、保健の先生がいないこともよくあって、そうなると保健室にいてはダメなの」と娘は言うわけです。しかも、担任の体調不良により休職、年度途中だと言うのに新卒の先生がクラス担任になり、今度はクラス全体が落ち着かなくなり、他のお母さんたちが「学級崩壊になりかけてる」と直談判にしに行く始末です。ベテランの先生をカバーにつけるという保護者会での説明はありましたが、実際には教頭先生が時折クラスをのぞきにきたり、問題のある子を注意しにくる感じで、とにかく手一杯。不登校気味の息子にまで、サポートをお願いできる状態ではありませんでした。

娘も「別のところでイチからやり直したい。転校したい」と言い、それをワガママだと思ういっぽうで、実際に吐くほど嫌ならば、転校させるのもひとつの方法かもしれない、と夫婦で話し合うようになりました。

そこで、再び校長先生にご相談に行きましたが、両親が何でも子供の言いなりになるから登校拒否になるのだ、過保護すぎるから、ちょっとしたことで不登校になる、など色々と言われ、最後は夫と校長先生の言い合いのような感じになってしまいました。

教育委員会にも行きましたが、継続的に集団からイジメを受けているならばともかく、学校とよく相談すれば改善するでしょう、といった話の繰り返しで、その間も娘は不登校、顔つきまで暗くなり、私たち親としても、公立小学校の対応、またクラスの状況に対しても不信感ばかりが大きくなりました。たまたま、私立小学校に子供を通わせている知り合いがいて「お受験が大変な私立小ならば別だけど、私立小といっても色々あるし、現にウチの学校でも編入生はいるわよ、編入の枠がある私立小学校を探して相談してみれば。どこへ言ってもトラブルがないとは言えないけど、そこまで困っているなら別の道を探すのもひとつの方法かもしれないし」とアドバイスされ、なるほど、と思いました。

通える範囲の私立小学校を調べ、編入枠があるところへ、まず私自身が校長先生とお話させて頂きました。子供の状況などに関心を寄せてくれて、理解を示して下さった私立小学校があり、編入試験(私立小学校なので試験はあります)を受け、転校が決まりました。

私立小学校への転校となると、公立小学校もそれ以上は反対できませんので、手続き自体はスムーズでした。ただし、転校してから、やはり最初は勉強の進み具合が違ったり、制服があったりと、子供にとっては「変化が大きい」のも事実です。うちの場合は「変わりたかった」わけですし、子供と私立小学校を見学して「最初大変でもいいのか?」「結局、自分が学校に行こうという気持ちにならないなら、前の小学校と同じことの繰り返しだよ?」と何度も話し合いしましたが、子供がガンとして「別の学校ならちゃんと行く」と言うので、最後は娘を信じて転校させました。

結果として、今はストレスなく学校に通っているので良かったとは思います。

元の学校の先生には「逃げてばかりいると結局子供のために良くない」と言われました。確かにその通りなのですが、でも今現在、小学校生活をどうしても通っている学校でうまくいかないのなら、私は思いきった判断も必要かなと思います。結局、わが子のことですから、最後は親子で決めるしかないんだなと感じました(Nさん/39歳/子ども 10歳)

【体験談2】なりふり構わず公立小学校の転校をした


入学した小学校は1クラス、ほとんどの子が地域にある保育園・幼稚園からあがってきており、親子共にすでにグループができている状態でした。もちろん、ウチのように知り合いがいないお子さんもいましたが、息子は口数も少なく人見知りも激しく、なかなかクラスになじめませんでした。すでに小1の夏休み明けから、学校へ行こうとすると大泣きになり、遅刻や早退が続きました。担任の先生や校長先生とも相談しましたが「いじめがあるわけではない、本人の性格がおとなしく、誰かと話をするのが苦手なようだ。グループを作る時は先生が声がけしているし、そのうち良くなります」という返答で、合計で6回ほど相談に行きましたが、常に同じ対応でした。

1クラス編成なので、事実上クラス替えがないのも転校させたいと決断した理由のひとつです。このままで6年間は辛すぎると思いました。が、明確なイジメの問題があるわけではなく、学校も転校に対して賛同してくれず、教育委員会に直接話に行きましたが、逆に「子どもの好き嫌いのようなワガママでそう簡単に学校を変えるのは良いことではない」と諭されました。

一面では全く正しい論理ですが、わが子の状況を見ると、親としては例え色々言われてもいいから、別の環境を与えてあげたいと思う気持ちが強く、また、本人も「転校生はいじめられやすいって言うけど、今の小学校じゃないところなら頑張る」と言うので、結局、うちはいくつか公立小学校を見学(平日の学校公開をまず親が見て、良さそうと思ったところを子どもと土日の公開日に見にいきました。平日だと未就学児ならいいんですが、小学生3年生くらいだと目立ちます)し、子どもが「あそこならいいかも」という学校への転校を決意しました。正反対のマンモス校で、転入・転校生が多いと聞き、先生方の転校生に対する対応の説明も非常に説得力がありました。ただし、在籍する小学校から許可が得られないわけですから、住民票を動かす以外は方法はないわけです。

うちはマンションを購入済みでしたが、そこを貸し、自分たちはその学校区域にマンションを借りるという、お金も時間もかかる〝おおごと〟になってしまいました。小3の4月にあわせて転校をさせましたが、先生がたもクラスになじめるようしてくれたこと、学校の校庭を利用した夕方からのテニス教室があり、もともとテニスをしていた息子も参加させて頂くと、そこでも友だちもできたりして、今は本当にホッとしています。

前の小学校の何が悪いというよりも、やはり子どもの性質によってはどうしてもうまくいかない「相性」みたいなものもあるのかも、とは思います。ただ、転校したからうまくいく保証もないわけですし、親子でよほど話し合い「それでも転校すれば学校へ行けると思うなら、ママもパパも応援する、やれることはみんなやってみる」と前向きに決断することが大切かなと思います。

転校が最善の策とは限らないのは事実です。結果論としては、我が家はうまくいきましたが、引っ越しなどの犠牲を払っても、転校した先でもうまくいかないことはあり得るわけですから。在籍している学校で踏ん張れるだけ踏ん張り、先生にも教育委員会にも相談し尽くし、それでもダメだったら、転校という選択肢を念頭に置いてみてもいいのでは、と思います(Kさん/41歳/子ども11歳)

「小学校が嫌だから転校したい」原因がわからない時には熟慮が必要


今回の体験談は、ふたつとも「転校してうまくいったケース」です。しかし、体験談のママふたりともが「うちはうまくいった。でも、誰もがそれで状況が良くなるとは断言できない」といったニュアンスの発言もしています。

ひどいイジメがある場合は別とすれば、まず「子どもが学校に行きたくない原因」をハッキリさせるのが先決です。しかし、理由がなかなかわからなことも多いですし、特に低学年だと本人も「行けない理由」を言葉にして伝えるのが難しい場合もよくあります。

転校というのは「大きく環境を変える」からこそ、学校と子どもという関係を一気に改善する〝きっかけ〟にはなります。同時に転校するというのは、すでに出来上がっているクラスの中に突然仲間入りすることでもあり、そこで苦労したり、新しい壁にあたってしまうリスクもあります。

「ただ単純に子どもが嫌というだけで転校させるなんて」というのも一理ありますし、安易に転校をおすすめすることはできません。しかし、体験談にもあったように、様々な方法で子どもと学校の関係を少しでも良い状態にしようと努力しても、どうしても解決できそうになかった場合、選択肢のひとつとして転校を考えてもいいのかもしれません。

いずれにしても、簡単な解決法ではありませんし、転校自体が解決策になるのかも未知数です。親子が話し合うのはもちろんですが、学校とは何回でも根気よく話し合う覚悟が必要でしょう。ただ、転校を選んだ人がいるということ、こういう方法もあるということを、参考のひとつとして捉えて頂ければと思います。

大橋 礼

大橋 礼

年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。


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