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2019.11.01

「教育漫才」って?「笑い」でいじめや不登校をゼロに!公立小学校の取り組み<校長先生に聞いた>



「教育漫才」という言葉、初めて目にする人がほとんどだと思います。今回ご紹介するのは、埼玉県越谷市越ヶ谷小学校の田畑栄一校長先生が実践する「教育漫才」の取り組みです。
株式会社マモルの代表・くまゆうこ(隈有子)さんが田畑校長先生と対談する場にBRAVAもお邪魔させて頂きました。対談の中で語られた「教育漫才で、子ども同士のコミュニケーション力をアップし、いじめや不登校をゼロにする」田畑校長先生のお話の一部をピックアップしています。
公立小学校でも気持ちの熱い、こんな校長先生が活躍しているんだ!と驚かされるかもしれません。家庭の中で意識できる子育てのヒントも満載です。ぜひ読んでみて下さい。

「笑う学校には福きたる」教育漫才とは


<以下、インタビューより抜粋>

教育漫才は、温かい笑いで学級を、そして学校全体を包もうという取り組みです。

公立小学校では「決まったことしかできない」と思われがちですが、実は新学習指導要領でも、オリジナリティや地域との連携が推奨されいます。やろうと思えば、例えば総合学習の時間を利用していろいろなことにチャレンジできる、教育漫才だって、どこの学校でもできますよ。

子ども達はペアやトリオを組んで、ネタ作りからはじまり、クラス単位で漫才を発表します。そして保護者や地域の皆さんにも披露します。

教育漫才では、まず「2つのやってはいけないこと」を明確にしています。ひとつは「死ね、うざい、消えろ」といった言葉を使ってはいけないこと、もうひとつは、どついたり叩いたり暴力的なことはしない、ということです。

前任校で教育漫才を初めて行ったのですが、子ども達は僕らの想像をはるかに越える力で、素晴らしい漫才を披露してくれました。発表の場となった体育館はあたたかい笑いに包まれ、保護者の方々も見に来て下さった地域の皆さんにも喜んでもらえました。ああ、やはり「笑う門には福来たる」、笑う学校には福来たる、と思いました。

教育漫才の効果とは?


教育漫才の効果で一番大きいのは、友だちとのコミュニケーションが円滑になり、あったかい空気がクラスに生まれること、その〝あったかい空気〟がいじめや不登校を減らすこと、だと思っています。

教育漫才では、くじ引きでペアを決めますが、これにも理由があります。学級というのは30名近い生徒がいても、ある程度決まった友だちとしか関わりを持たないことが多い。教育漫才では「みんなで仲良くするにはどうしたらいいか考えてみる」ことを意識するように、授業を進めます。

くじ引きでペアを決めますから、よく知らない子が相方になったりもします。そこで、何が好き?嫌い?といったことから話し合い、ネタ作りでも話し合う。話し合うことで、わかりあえる。話し合い、わかり合うということは、仲良くなるのにとても重要です。教育漫才を行う過程で、子ども達は自然と友だちとの関係を深めていきます。いわゆるコミュニケーション能力が培われます。

効果というところでは、実は学力調査の結果を見て驚いたのですが、実際に教育漫才を行ってから学力がアップしたんです。もちろん、それ以外にも先生方の取り組みなどの成果もありますが、漫才教育が学力にも影響したのだと確信しています。

小さいイジメやトラブルが多いクラスというのは、僕は「トゲのある教室」と表現するのですが、悪いオーラのようなものがあります。仲良くしようという温かさがなく、トゲトゲしい空気感がある。教育漫才がその空気を変えたことによって、例えば、子ども達は積極的に手を挙げるようになりました。授業に集中するようにもなりました。
結果的に学力アップにも繋がるのだと思っています。

きっかけは不登校の親子の「笑顔が見たい」と思ったこと


僕は特にお笑い好きとかではなかったんですよ。前任校で研修のテーマとして「伝え合う力」みんなで作り上げる授業を考えることになり、必要性があって始めたのです。

でも何をどうしたらいいのか、と思っていた時、ある親子が学校を訪ねてきました。

私はこの親子とお話をしましたが、小1だけど不登校になっている、そしてクラス替えをさせられた、と言うのです。他にも様々な悩みもあり、僕の目の前で親御さんが泣いていらっしゃる。

その時、僕はとにかく「この親子を笑わせたい」と思ったんですよ。学校に行けず、親御さんも泣いている、このお母さんとお子さんの笑う顔が見たいと思ったのです。

理想に向かって行動する!吉本興業に協力を依頼

笑わせたい、と思った時に、さいたま市の大宮駅に吉本ができたということを思い出しました。僕は教育の現場にもっとプロが入るべきだと思っています。専門家が教育現場にどんどん入ってきてほしいんです。

私はすぐに大宮の吉本興業に電話しました。すると吉本興業さんも素早く対応してくれて、話を聞いて下さいました。そして子ども達が漫才をする、ということに全面的に協力して下さることになったのです。

「笑いを教育の現場に」というのが、吉本とタッグを組んで僕たちが取り組んできたことです。それが教育漫才です。

保護者や子ども達の反応は


教育漫才を行ってみて、僕が一番驚いたのは、皆さんが賛同してくれたことです。

僕自身としては、事をなすときは賛否があって当然、それで良さを伝え変えていけばいい、と自分なりの見通しを持っていました。だから結果だけを気にしていたわけではありませんが、アンケート結果は、100%の賛辞だったんです。

ステージの上で表現し、あったかく包み込むような笑いをする子ども達、親も子ども達の姿をみて、あったかくなって連鎖反応がおきる。体育館があったかいオーラ、雰囲気に包まれました。それは、笑いの体験からしか生まれない、他の文化ではなかなか出てこない、味わえない空気なんです。

それを見に来て下さった皆さんが体験した、だからこそ、賛同してもらえたのだと思っています。

プラスの笑いとマイナスの笑いがある


教育漫才をしたら、イジメがゼロになるとは言い切れませんが、実際に不登校が減少しました。笑いという文化は偉大なコミュニケーション文化なのです。

ここで大事なのは、笑いには、あったかい笑いと冷たい笑いがある点です。

笑いというのは分析すると、プラスの笑いとマイナスの笑いがあるんです。学教教育で避けたいのは、マイナスの笑い、冷たい笑いです。例えばひとりの子が意見をする、間違った答えを言って、クラスの子がゲラゲラ笑う、冷笑する、嘲笑する、その子は傷つきますね。みんなでバカにする笑い、そこで先生はきちんと子ども達を指導しないといけません。

そして、あったかい笑いを子ども達に体験させること。笑ってはいけません、という指導だけにこだわると、今度は本当に面白い時にも笑わなくなってしまう。そうではなく、場面に応じた「笑い」を教えること。子ども同士が楽しくて笑い合う、それが笑いの教育です。

僕は笑いの教育を取り入れることによって、人間関係がすごく柔らかくなると思っています。楽しい雰囲気、あったかい空気、それが笑いによって生まれることで、学級全体の雰囲気が変わる。そうすれば、いじめや不登校は減少します。

いじめ・不登校・自殺ゼロを目指して


もちろん、教育漫才だけを行っているわけではありません。

僕は4月最初の校長講話で、必ず「いじめはいけない」という話をします。もし学校でいじめがあった場合、100%被害者側に立つ、加害者側に立つことはない、と話します。保護者の方々にも繰り返しお話して、理解してもらうよう努力しています。

また、不登校については、学校になかなか足を向けられない子ども達のひとりひとりに合わせて「どうしたら学校に行きたくなるか、学級になじめるか」を考えます。公教育は足並み揃えることばかりを考えがちですが、みんなのための教育があると同時に、教育はひとりのためにもあるべきですから。

「学校に合わせなさい」ではなく「学校が合わせますよ」と僕は常に言っています。そして校長である自分が先頭に立って旗振りをし、「いじめも不登校も自殺もない学校づくり」を、あったかい空気に包まれた学校づくりを、僕の理想、理念が叶うまで諦めずに行っていきますよ。

<以上インタビューより抜粋>

家庭でも「トゲのない、あったかい空気を作ろう」


田畑校長先生は何度も「あったかい空気」「あったかい笑い」と口にしました。文字にするならば「温かい」と記すべきなのですが、そのまま「あったかい」と書きました。

「あったかい」って、なんだか、ほっこりしてきませんか。

対談の途中では実際に子ども達が作った漫才を、校長先生自らが読み上げくれましたが、思わずほっこり、笑みがこぼれました。

心が和むと、優しくなれます。

仕事からの帰り道。普段ならアレコレと雑用の数を数え、ため息をつき、家のドアを開いた途端に「宿題やったのッ!」と怒鳴り、不機嫌に突っ返してくる息子。ああ、わたしはトゲのある家庭を作ってしまっていたんだな、と気付いたのです。

今日は帰ったら、ただいま、と大きな声で言おう。何食べたい?と笑顔で聞いてみよう。夫が帰宅したら、「お疲れ様、毎日大変だよね」と声をかけよう。

わたしも自然と側にいる人を思いやる気持ちに包まれていたのです。
あったかくて安心できる「子どもが帰る場所」を整えてあげるのは、私たち親ができることです。
あったかい家とあったかい学校を、できればあったかい世界を、子ども達に与えてあげたい。田畑校長先生のお話を聞き、思ったことです。
あなたも今日おうちを、笑顔のあるあったかい空気で包んでみませんか?

【田畑栄一校長先生PROFILE】

養護学校、中学校勤務を経て、2013年4月に埼玉県越谷市立東越谷小学校校長に着任。教育漫才を試み、自殺ゼロ・不登校ゼロ・いじめ減少と学力アップの実績を残す。2018年4月、越谷市立越ヶ谷小学校校長に着任。埼玉県の「はつらつ先生」として表彰された他、第66回読売教育優秀賞を受賞。現在も「行動する校長先生」として、日々、教育現場の改善・改革に挑戦している。

大橋 礼

大橋 礼

年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。


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