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2019.11.21

教師いじめの事件についてどう思う?ママたち&専門家の意見



神戸市の公立小学校で起きた、教師いじめのニュースは衝撃的でした。動画が出たせいで、いじめの壮絶さがストレートに伝わったこともありますが、何よりも子どもを教え導く立場の「先生たちの間」で、こんな子どもじみた、しかし悪辣な〝いじめ〟が実際に起きたことが、多くの人を驚かせたのだと思います。

「まさか、先生たちの間でイジメがあるなんて」
「もしかして、ウチの学校でもこういうことってあるの?」

特に我が子を小学校に通わせているママたち・パパたちにとっては、他人事にも思えず、怒りと共に不安も感じたことでしょう。

今回はまず、教師いじめのニュースを目にして感じたママたちの意見をピックアップ、その後、いじめ対策に関する活動を行っている、株式会社マモルのくまゆうこ(隈有子)さんに、教師いじめの現状について伺ったお話を紹介します。

【ニュース概要】神戸教員いじめとは


神戸市の公立小学校で、教員の間でおきた〝いじめ〟事件。40代の女性教師がリーダー格で、他の教員と共に、20代教師に〝いじめ〟を繰り返し行っていた問題。いじめの内容は、激辛カレーを無理矢理食べさせる、そのカレーを目や顔に塗りたくる、性的内容のメッセージを送るよう強制する、飲酒の強要、対象教師の車にわざと飲み物をこぼす、コピー用紙の束で叩くといった暴力行為を含めたいじめを日常的に行っていた。

「信じられない」「我が子が通う学校だったら」ママ達の怒りの声

「世も末です」
ひと言でいえば信じられない。どの職場でも多少の軋轢はあると思うが、こんな見るからにわかるイジメがまかり通っていたなんて。だって、周囲の人だって、気付いていたのに止めなかったわけですよね。よく子どものいじめで「傍観者になることの責任」といった話が出てきますが、それを教えるべき教師がこんなことするなんて・・・。世も末だなと思いました(Nさん/子ども 4歳・小3)

「幼稚すぎる」
バカですね。幼稚です。激辛カレーを無理矢理食べさすってとか。追いかけ回したり、羽交い締めにしたり、大人がすることか? イジメをした教師は即刻クビでしょ、校長は会社でいえば社長なわけだから責任とって退職でしょ、でもって、カレー中止じゃなくて、担任がいなくなったクラス、いじめをした教師のいたクラス、それぞれのクラスに早くきちんとした先生を担任として招き、さらに子ども達のフォローをするべきでしょ。ひとつの学校で複数の先生が急にいなくなるんですよ、誰が子ども達のいる学級をまとめるんですか。あああ、書いていてもムカムカする!(Mさん/子ども 小4)

「いじめ教師が子どもを教えていたなんて」
驚いたのは事件が発覚してからの女性教師の言葉です。可愛がっていたのに、なぜこんなことに・・・みたいな発言でしたが、はぁ?って感じ。かわいがり、って相撲でも問題になったけど、ある意味、この女性教師、いじめをしている自覚がなくて、ほんとに可愛がってるつもりだったとしたら、もしかしたら、そっちのほうが怖いかも、と思った。精神的に壊れてます。その人がベテラン教師として子どもの指導にあたっていたと思うと、それが一番怖いです!(Aさん/子ども 小1)

「大人のいじめは身近にもある」
私はPTA役員をしていましたが、先生同士のいじめって、けっこう見たことがあります。まぁ、カレー無理矢理食べさせるみたいなのではないけれど、ひとりの先生を無視するとか、スケジュールを共有すべきなのに教えてないとか、「え?」って思うことがけっこうありました。また、以前いた職場ですが、倉庫で働くパートさんたちの間で、まるで子ども同士がやるようなイジメがあり、次々とパートさんが辞めていくってこともありました。こんなに大人の世界でも、くだらないイジメが日常的にある、そんな中で子どもにいじめをなくそう!と口にしたって、うまくいくわけがない。子どもの悲惨ないじめの事件がなくなるわけがないです。だって学校の先生からして、こうなんだから(Hさん/子ども 小3・中1)

教師いじめ事件について「いじめの専門家に聞く」


いじめを未然に防ぐシステム「マモル」の開発、いじめ関連のセミナー講師などをつとめている、くまゆうこ(隈有子)さんに今回の教師いじめ事件についてお話を伺いました。

・教員いじめって特別なこと?どこにでもある話?

残念ながら、特別なことではないと思います。実際に話を聞いていますし、中学生になれば子どもが気がついたりしています。
それにしても、神戸の内容はひどすぎます。いじめとイジリは紙一重だという人もいますが、今回の件は明らかに一線を越えていますよね。やっていいこと悪いことを指導するのも教師の仕事。加害教師は教師としての資質に問題があり、教員免許はく奪が当然だと感じます。転勤して他の学校の教壇に立つなどありえないことです。
今回はこうして世の中に、いじめの現場が出てきましたが、ほとんどのいじめは、大人の事情に埋もれてしまいます。教師いじめは決して、少なくないのが現実です。

・なぜ教師同士でいじめが起こるのか

指導力や経験が不足していて、反論しにくい状況に追い込まれる若い教師は、からかわれる対象になりやすいのではないでしょうか。
あと私がよく聞くのは気が弱そうな先生です。これは勉強のできない子や運動のできない子をいじめてしまう子どもの構図と同じですね。

また、労働環境の悪化によるストレスのはけ口としていじめが起きているところもあると思います。今回の事件では、加害者側の認識の問題だけではなく、小学校の組織運営じたいに見えないほころびや、コミュニケーション不足があったと感じられます。
いずれにしても、こうした問題があったからといって、だから「教師のあいだでいじめが起きてしまった」と片付けられるものではありません。
学校は閉鎖的な場です。先ほど「教師いじめは他にももっとある」と言いましたが、閉鎖的だからこそ、なかなか外に情報が出てこないのです。
教員の働き方改革と言われている今、学校の閉鎖的な空間をなくし外部の人(たとえば、民間企業でいうところの監査をする方々など)を取りこんでいく方法を検討していくべきだと思います。

こうした教師いじめは氷山の一角でしかありません。保育園でも、いじめの内容に差こそあれ、似たようなケースが見受けられます。いじめを受けている先生はそれをいじめだとは気付かないまま、自分を責め、毎日のいびりに怯え、精神的なバランスを崩して休職することも実際にあります。

今回、大きなニュースになったことで、大人の中にある「いじめ」について改めて認識された方もいるでしょう。わたしたちは、子どもたちに「いじめはいけないことだ」と教えていかなくてはならないのに、その大人たちにこうした〝いじめの現実〟があるのです。

いじめの問題は根が深く、普段見えないものも多くあります。でも諦めることなく、ひとつずつ問題を解決するしか、改善していく道はありません。

京都・公立小学校教師いじめ事件で考えさせられることは

ショッキングなニュースであっても、世の中の流れは早いもので、いつの間にか「そういうこともあったっけな」と他人事のように思えてきます。
風化させてはならないのは、くまゆうこさんも提言しているように「これは氷山の一角でしかなく、問題を継続して解決する必要がある」という認識です。
私たち大人は、いじめの問題を小学生高学年から中学生・高校生くらいまでの「成長過程におけるトラブル」と思いがちです。いじめの根深さを改めて考え、どこかで起きているひどい出来事ではなく、もっと身近にある、必ず解決していかなくてはならない問題だと認識する必要がもっともっとあるように思います。

企画協力/株式会社マモル

大橋 礼

大橋 礼

年の差15歳兄弟の母。DTP会社勤務後、フリーで恋愛・料理・育児コンテンツを執筆中。今や社会人長男のママ仲間とは「姑と呼ばれる日」に戦々恐々しつつ、次男の小学校では若いママ友とPTAも参戦中。飲めば壮快・読めばご機嫌!本とお酒があればよし。


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