2019.12.04
ロールモデルは自分で探す!本当はどんなママになりたい?ワーママたちに聞いてみた
子どもが公の場で泣き叫んで周囲の視線が痛いとき。
怒りたくないのに怒ってしまったとき。
ああ子育てってほんとしんどい・・・とため息をついてしまうこと、ありますよね。
もしかして、子育てがつらいのは、自分のなかの「ママ像」に縛られているせいかもしれません。
もう「母親は子どものために自らを犠牲にしなくてはいけない」という時代は終わりかけています。「こんなママでなくてはいけない」という呪縛を解き、「こんなママになりたい」という像を具体的に描ければ、幸せな子育てライフのイメージが持てるようになるかもしれません。
1.ロールモデル不在の現代の子育て
今のママ世代が子どもだったころ、お母さんは今のママたちよりももっと「お母さん」でしたよね。ワーキングマザーでも専業主婦でも、自分のことよりも家族のことを優先させるのはしごく当然といった空気があったと思います。
ひるがえって現代は、お母さん世代から引き継いだ価値観から「母であると同時にひとりの女性である」という新しい価値観への過渡期にあると言えるのではないでしょうか。
もう男性ひとりの稼ぎでやっていける時代ではなくなっていますが、ワーママが増えても、家事は減りません。しかも、OECD(経済協力開発機構)の調べによると、日本人男性が一日に家事に費やす平均時間は世界でも最低レベル。女性は働かなくてはいけない上に、家事や子育てまでこなさなくてはいけないとなると、女性が割を食うのは目に見えていますよね。
そんな現代のママたちの悲劇は、お手本になるロールモデルが身近にいないことなのです。
2.どんなママになりたい? 現役ママの声から
現役で子育て中のママたちに、「どんなママになりたい?」と聞いてみました。
「うちの母が理想。母は、子どもに怒らないし、子どものわがままをすべて受け入れてくれる、ひとの悪口を言わない、父の言われたことを黙ってやる、料理はすべて手作り、裁縫が得意、などなど、完ぺきな母でした」(Yさん、8歳、5歳の姉妹)
「子どもの服や持ち物を、全部手作りする親になりたかったです」(Wさん、3歳、0歳の兄弟)
実母にしてもらったことをしてあげたいと無意識のうちに思うのが、人間の心理なのでしょうか。Wさんの実母も、おやつは手作り、お弁当も冷凍食品などは全く使っていかなったそうです。
他には、こんな声も。
「産む前は、理想像なんてなかったです。絶対に出来ないけど、料理が上手でテキパキ家事もこなせて家がキレイなママに憧れます。
子どもには、こんなママでゴメンねーといつも思っています(笑)」(Hさん、3歳娘)「理想はない・・・かな。お母さんというと、ベランダで洗濯機を回していて、その横で明るい暖かい陽射しのなか、子どもの自分がひなたぼっこしているような記憶だか、イメージだかがあります」(Fさん、6歳娘)
こちらの2人、理想はないとしつつも、先ほどの2人と同様、家事や子育てに手を抜かないママ像を思い浮かべるようですね。しかも、Hさんは、そうなれない自分を責めてしまってもいます。
さらに、「反面教師」として実母の子育てをとらえるママも。
「母に助けてもらおうと思って相談しても、ダメ出ししか返ってこないので、話さなければよかったと思っていました。そんな親にはなりたくないと思っています」(Uさん、小4、小6)
「こうなりたい」ではなく、「こうはなりたくない」というママ像を持っているのですね。
3.まずは自分のなかのママ像を見直す
今回のママたちの回答から見えてくるのは、無意識のうちに実母がお手本になっていた人が多い、ということ。実母たちの世代はいわゆる「昭和」ですよね。売っているモノも少なかったでしょうし、手作り以外の選択肢はあまりなかったのかもしれません。
かたや現代は、なんでも売っています。手作りのレッスンバッグだって買える時代です。
もちろん、好きで手作りする分にはかまいませんが、なにがなんでも手作りでないと、と理想を高く持ちすぎるのは、自分の首を絞めかねません。
今、子育てがつらいママにしてもらいたいのは、自分のなかのママ像のたなおろし。
「ママたるものはこうあるべき」というイメージが自分のなかにあるかどうか、紙に書き出してみるのもアリです。
そうやって出てきたママ像をあらためて見直して、果たしてその理想像が今の自分を幸せにしているかどうか、考えてみてください。
もしかしたら、理想像が明確にあるために、かえって自分を苦しめていませんか?
4.ロールモデルは現実のママでなくてもOK
自分を幸せにするママ像のイメージがわからない、というママもいると思います。
そんなときは、ロールモデルを探してみましょう。必ずしも実在の人物である必要はありません。
たとえば、初めての著書『家事なんて適当でいい!』が子育て中のママの共感を呼んでいるボンベイさんは、『クレヨンしんちゃん』の母・みさえが理想のママ像なのだそう。
「コラー!としんちゃんを叱った後、怒りを引きずらないところ、決してしんちゃんを“ダメな子”などと否定しないところ、それから、自分のダメなところもありのまま子どもに見せているところが好きです。だからこそ、しんちゃんやひまわりがあんなにのびのびと自由に育つんだろうな、と思います。みさえの、母親としての立場に無理をしていない感じに憧れます」
5.いいところどりでロールモデルをつくっちゃおう!
ロールモデルはひとりに絞る必要はありません。パッチワークでいいのです。
あるママには3人ほどロールモデルがいるそうです。3人に共通しているのは、高い志をもってバリバリ仕事をしていながら、子どものことを全力で愛していて、それが子どもにも伝わっていることなのだとか。
2次元のキャラクターでも、有名人でもセレブでも、「あ、この人のこういうところ、いいな」と思えたら、その部分を切り貼りしてオリジナルの理想のママ像をつくってしまいましょう。
また、ロールモデルはなくても、自分の好きなことが自分を導いてくれた例もあります。
先にコメントをくれたYさんは、続けて次のように話してくれました。
「ママになったら、当然、母のようにするものだと思っていました。途中まではよかったのですが、二人目を出産してから気づいたんです。私は母のようにはなれないって。このままでは子どもに当たってしまう、そうなるくらいなら無理はしないようにしようと思い、時々夫に頼んで、一人でよく映画を観に行くようになりました。もともと映画好きでしたが、映画を観ていると、自分と対話ができるんです」
Yさんは、理想のようになれないからといって自分を責めるのではなく、あるがままの自分を受け入れてあげることができたのですね。
今、子育てをつらくしている原因が自分の頭のなかにあるのなら、それを変えてしまえばいいだけ。そのためには、まずは自分のなかのママ像を見直し、それにとらわれていた自分を解放してあげましょう。
「こうあるべき」というプレッシャーから解放されれば、案外近くにロールモデルが見つかるかもしれませんよ。
冬木丹花
ライター