2020.09.10
発達障害を持つ子どもの放課後の過ごし方って?ワーママが利用する「居場所確保」のためのサービスや工夫
障害児を育てる。それは「大変」「手がかかりまくる」というイメージが大きいと思います。「子育てというより、ずっと介護って感じ」という人もいます。子育ての幸せを感じながらも、特に「働きながら障害児を育てる」にはたくさんの苦労があり、大きな壁にぶつかることも多いと思います。
働くママにとっては、子どもを夕方まで預かってくれる保育園とは違い、就学後は放課後をどう過ごさせたらいいのか気になるところ。
発達障害を持つ子どもはどのように放課後を過ごしているのか、どのようなサービスを利用しているのか、ある小学校1年生のママに聞いてみました。
今回お話をうかがったのは、フルタイムで働くMさん(子ども6歳〔小学校1年生〕)。お子さんは特別支援学校に通い、スクールバスで通学しています。朝はバスのポイントまでお子さんを送ってから出勤。お子さんは自閉症で、発語がほとんどなく、伝わらないもどかしさからパニックを起こしたり、人を叩いてしまうこともあるそう。着替えや排せつ、食事なども、介助が必要です。
月曜日<週初めはお迎えデー>
週初めはほぼ毎週、朝から大泣き&パニック。週末は好きなことをしてゆっくり過ごすので、「今日も家でゆっくり好きなことができる」と思うんでしょうね…朝ごはんを済ませ、少しずつ出発に向かう雰囲気になると、だんだん泣き出します。
保育園の時は抱っこや自転車で強制連行(?)できたのですが、今は体力をつけるためにも、バスポイントまで歩いています。月曜の朝は、パニックになったらすぐに大好きなキャラクターのカードや本、携帯のYoutubeなどで気を引き、なだめすかして機嫌を取りながら行っています。泣きながら歩いていますが…あまりに酷いときは、自転車に乗せちゃいますね。後部席で大騒ぎですが…
月曜の放課後も本来は学童に行ってほしいですが、この日は朝から大泣きの子どもの体力・精神的なことを考えて、私がバスポイントにお迎えに行きます(14時半)。コロナ禍で週3リモートワークなので、こうやってお迎えに行けることはありがたいですね。帰宅後は、家だといまだに15時~17時くらいまで昼寝をします。その間、残りの仕事を片付け、余った時間で夕飯の準備をします。
火曜日・金曜日<移動支援員さんと一緒に学童へ>
火曜になると、朝も不思議とまったく泣かずにスムーズに行くことができ、週が始まって2日目にしてやっと学童に行ってくれます(苦笑)。学童には、火曜と金曜の週2日通っています。
・学童への行き方
帰りのバスポイントに「移動支援員」(※)の方に迎えに行ってもらい、そのまま学童まで徒歩(10分弱)で連れて行ってもらいます。泣きながら歩くときもあれば、さっさとスムーズに歩くときもあるそうです。
・学童ではどのように過ごしている?
学童では、加配(配慮が必要な子どもに対し、3人に1人程度の割合で(担任ではない)先生がつく)の先生がついてくれて、ほぼ1対1で見てくれます(ほかにも発達障害の子がいるのですが、息子と利用する曜日が違うため)。本を読んだり、ブロックなどで遊んだり、持たせた塗り絵をしたり、校庭(隣接校の学校内にある学童なので)で遊んだりして過ごしているようです。金曜は1週間の疲れが出るのか、おやつ後に寝てしまうこともあるそうです(苦笑)。17時半にお迎えに行くときに学童の先生と話したり、連絡帳を書いたり、何かあればこまめに伝え合うようにしています。今のところ友達とのトラブルはないようで、ホッとしていますが…
※移動支援サービス…単独では外出することが困難な障害者(児)が、社会生活において必要不可欠な外出や余暇活動、社会参加のために必要な「移動の介助」となる介護を提供するサービスのこと。
水曜日<学校を休んで丸1日療育>
週1日、学校を丸1日休んで、2歳から通っている療育の「1日スクール」に通っています。
・療育の送り迎えは?
朝9時に自転車(20分ほど)で送っています。歩くのはちょっときつい距離なので、自転車の後ろに乗れなくなったら、電車通いになるのかなぁ…
お迎えは16時半(リモートワークなので対応可能)。かなり長い時間預かってくれるので、ありがたい限りです。
・療育ではどのようなことをするの?
この療育の目的は、「とにかく歩いて、体幹をしっかりさせる」こと。しっかり歩くことで、体力もつき体幹もよくなるだけでなく、気持ちも安定して、学習に取り組みやすくなるそう。午前2時間、午後1時間強歩き、残りの時間は室内で学習(手先のトレーニングや、カードマッチングや運筆などの課題)やリズム運動、体をしっかり止めていられる練習などをします。さすがに猛暑や雨のときは室内の運動や課題を増やすそう。
月2回ほど面談があるのですが、「かなりできなくて迷惑かけてんだろうな~」と思いきや、「〇君(息子)、頑張ってますよ!少し年上のお友達の手を引いて一生懸命歩いたりしてます」と。信じられん(笑)外では頑張ってるんですね…。でも、確かに体力もついたし、療育を始めたころよりもずっと落ち着いている時間が増えた気がします。帰宅後はテレビやYoutubeを見たり、好きなおもちゃで遊んだり、とにかくゆっくり過ごさせます。
木曜日<放課後デイさまさま!>
週1回利用している放課後デイは、学校まで迎えに来てくれて、かつ自宅まで送り届けてくれる「送迎つき」。ありがたすぎる存在です(涙)
・放課後デイって?
6歳~18歳までの障害のある子どもや発達に特性のある子どもが、放課後や夏休みなどの長期休暇に利用できる福祉サービス。
放課後デイにも、塾のようなところ、ダンスレッスンがあるところ、絵画やサッカーを教えるところなど、いろいろな特色があります。家と学校以外の居場所や友達をつくることができ、「障害児の学童」ともいわれています。
・放課後デイではどのように過ごす?
下校時間(14時)に放課後デイのスタッフさんが、学校まで車でお迎えに行きます。
デイに車で到着後、室内(マンション2室分をぶち抜いて使っているので、広い!)で体操をしてからおやつ作り、おやつを食べたら、近くの公園で遊ぶ、室内で工作、皆でアニメ映画を見たりして過ごすそうです。デイに預け始めたころは、「泣いちゃって参加できてないだろうな~」と懸念していましたが、「同じ年くらいのお子さんが何人かいて、一緒に笑いながら走っていましたよ」と。それなりに楽しめているようでよかった…とホッとしました。
毎回17:40頃、車で送ってきてくれますが、そのときだけなぜか号泣。学校→車で20分(車酔いする…)→遊びまくる→また車、で疲れるのかな…早く慣れてほしいと願っています。この日の帰宅後も、なるべくゆっくりくつろいで過ごさせています。
お子さんの様子や体調を見ながら、福祉サービスを上手く利用して仕事を続けているMさん。「まだ1年生なので、とにかく今は早く生活に慣れて、徐々に泣かずに毎日を楽しんでほしい」とおっしゃっていました。
筆者の子どもにも障害があり、福祉サービスのありがたさを日々痛感しています。とはいえ、すぐに体調を崩す、「今日は絶対(デイには)行かない!」と大騒ぎするなど、一筋縄では行かないことも多々ありますが。
障害を持つ子どもがいると、仕事を諦めてしまうママも少なくありません。子どもに合った福祉サービスを見つけたり諸手続きなど、大変な側面もありますが、さまざまな福祉サービスを組み合わせて活用することは、「障害児を育てながら働く」一助となると思うのです。
田崎美穂子
mamaライター