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2021.04.19

民営療育「ココロ」に聞いた!療育ってどんな施設?1日のスケジュールや活動内容



発達が気になる、または障害のある子どもが、社会的に自立することを目的として行われる医療と保育、教育のことを「療育」といいます。療育とひと口にいっても、市町村管轄運営、民営、あるいは個人でやっているところなどさまざまです。行われている療育内容や方法もそれぞれに特徴があります。
今回は、民営の「コロロ」という療育施設を紹介します。何をモットーにどんな内容の療育が行われているのか、1日のスケジュールや、療育にお子さんを通わせているママの話などを紹介します。
療育はどんなところなのかについては、「療育ってどんなところ?誰でも通える? 知っておきたい療育センターのこと 」で詳しく解説しているので参照してみてください。

コロロとはどんな療育施設なの?


【コロロが目指すもの】
コロロ発達療育センターは、「からだ」「ことば」「こころ」をバランスよく育てていくことをモットーとした療育施設で、全国に7つの教室を持っています。コロロでは、
・ことばを育てる〔考える力を育てコミュニケーション力を高める〕
・身体を育てる〔体のコントロール力を育て、集中力・持続力を高める〕
・社会適応力を育てる〔環境が変わっても適応できる力、社会性を育てる〕
の「三本柱」で療育プログラムが組まれています。

【子どもが抱えるさまざまな課題に対応】
「ことばを引き出したい」「基本的な生活習慣を身につけたい」「手をつないで一緒に歩きたい」「パニックを減らしたい」など、親子で抱え込んでしまいがちな課題に、その子の障害や特性に合った方法を模索しながら対応していきます。また、どのような対応方法がいいのか、具体的に何をすればいいのかなどを、保護者にもしっかりフィードバックしていきます。

【何歳から通える?】
幼児クラス(0歳~未就学児)と学童クラス(小学校~高校)に分かれていて、その中でもさまざまな通い方(週1や毎日など)が選べ、幼稚園や保育園との併用も可能になっています。
放課後デイや学童教室も開設しているので、放課後に通うこともできます。

コロロではどんな活動をしているの?


コロロでは、体系化された「コロロメソッド」という療育理論に基づいた指導を行っています。コロロメソッドは先ほど紹介した3本柱を基に、「生活力をつける」「集団行動」「その場に適応した行動」「発語をうながす」「概念学習(文字や数字を書くことで言語脳を活性化させ、概念力やコミュニケーション力を高める)」「身体づくり」という6つの療育プログラムから成り立っています。
具体的にどのようなことをするのか、いくつか紹介します。

・歩行
先生や友達とみんなで一定のペースで歩くことで、体幹バランスや身体感覚を鍛えます。また歩行によって身体の発達を促すことで、持続力が養われます。

・行動トレーニング
「止まる・動く」のトレーニングで体幹保持力・全身のコントロール力を鍛え、身体感覚を身につけます。また、手作業で手や指先のコントロール力を高め、いろいろな道具を上手に使えることを目指します。

・学習・発語
幼児期から「書く」ことで、コミュニケーション力を高めます。発語がない・少ない児童は、独自の発語プログラムでことばの獲得を目指します。既に発語のある児童は語彙を増やし、概念力を高めます。

そのほかにも食事を通した「偏食トレーニング・食具の使い方指導」や、他害やパニックなどに対応する「適応力トレーニング」なども行っています。
このような普段の療育とは別に、登山や合宿、大集団での音楽療法などの行事も行っています。
面談や講座を通して、家庭で保護者がどのように子どもに対応したらいいか、何をしたらいいのかなど、具体的なフィードバックやアドバイスもしています。「主たる療育者は親」という位置づけをしているのも、コロロの大きな特徴といえます。

コロロの1日のスケジュールを教えて


年齢に合わせて何ブロックかにクラスが分けられていますが、ここでは幼児教室(未就学児)の1日のスケジュールを紹介します。

9:30 登園
9:45~ リズム…音楽に合わせて、無理なく楽しく身体を動かします
10:00~ 集会…子どもが飽きないように工夫された教材や手遊びで、着席の状態を持続する練習をします
11:00~ 歩行…約1時間歩きます。手をつなぎ、マイペースではなく人のペースに合わせる(ユアペース)歩行ができるように指導します
12:00~ 昼ご飯…みんなでお弁当を食べます。あえて苦手なものや食べにくいものを入れてもらい、食べられる練習もしていきます
12:30~ 工作・学習…その子どもの発達段階や特性に合わせた教材を使い、工作や課題に取り組んでいます
14:00~ 順次おかえり

最初の頃は途中で寝てしまう、あるいは帰りは精魂尽き果てグッタリというお子さんがほとんどですが、通ううちにどんどん体力がついていくそうです。通い方も「毎日通園コース」「週1日通園コース」「定期相談コース(月1回)」の3パターンがあり、お子さんの体力や、保育園や幼稚園のペースに合わせた通い方が選べます。

お子さんを通わせているママに話を聞いてみた


お子さんの成長に気になることがあり、地域の療育に通っていたというTさん(お子さんは現在小学1年生)。月2回のリハビリ(療育)だけでは効果を感じられず、コロロの門を叩いたそうです。詳しくお話をうかがってみました。

・療育に通う前の子どもの様子
2歳近くで歩けるようになったものの、いつまでもヨチヨチ感が抜けず、体力もない。
気に入らないことがあると、すぐに他害行動やパニックが出ていました。超多動で、手をつないでもすぐ振り払ってどっかに行ってしまい、落ち着いて座っていることなんてとてもできませんでした。発語もありませんでした。

・通うようになったきっかけは
1歳を過ぎてもハイハイもしない、歩かない、発語が1語もない状態。1歳半健診でアドバイスを受け、療育手帳を取って地域の発達センターでリハビリを受けていたのですが、月2回だけで、あまり効果が感じられませんでした。素人の自分が何かやるのも限界があるので、ネットで療育を調べたら、コロロの「たくさん歩く、体幹を鍛える」に魅力を感じ、すぐに問い合わせました。家の近くで、通いやすかったこともあります。通い始めたのは、2歳を迎えたばかりの頃でした。

・通ってどのくらいで子どもの変化を感じたか
確実に変わったな~と思ったのは、通ってから半年ほどです。(土曜を含め)週3回コロロに通園、他の日は保育園に通っていたのですが、保育園までの道のりをしっかり手をつないで落ち着いて歩いてくれるようになりました。すぐ手を振り払ってどこかにすっ飛んでいく息子を抱きかかえて登園していたので、手をつないで一緒に歩けるのが嬉しくて涙が出たこともあります。
通園し始めて2年後くらいには、単語もいくつか発するようになっていきました。「バイバイ」など、行動に合わせた言葉が出るようになったり、こちらの指示で的確に動いたり、簡単なお手伝いができるようになったり、パニックや他害が激減したのもこの頃です。

・現在の子どもの様子
小学校1年生(特別支援学校)になり、コロロには週1コースで通園しています。保育園の頃は、園でたまにパニックや他害もあり、1人だけ別行動なんてこともしょっちゅうでしたが、今ではパニックも他害もほとんどなく、授業もずっと座って聞くことができ、落ち着いて過ごせているそう。なんとクラスの「歩行リーダー(クラスで外に歩行に行くときのペースを作る係)」をしているそうです。幼児期の頃からは想像もつかない姿です。
あとマスクができず、ちょっとでも顔に触れただけでむしり取っていたのが、コロロでスモールステップで少しずつ訓練していただき、しっかりつけられるようになったんです。このコロナ禍、心底ホッとしました。

療育の先生からもらったアドバイスで印象的なもの


「ちゃんとしなさい」「それじゃダメでしょ」などの抽象的な言葉の指示では、子どもに入っていかない。「座ります」「手はお膝(手が出てしまいそうなときに気をそらす指示)」など、その時その時に1語か2語の具体的で端的な指示を淡々とした態度で出す、というアドバイス。これはわが子にすごく効いて、親子間のストレスも減り、言葉はよくないですが「育てやすく」なった気がします。
面談時にいただくアドバイスが、とても具体的ですぐに実践できることばかりなのがありがたいですね。

市町村管轄の療育は誰でもすぐ通える、というわけではありません。療育手帳や診断書、通所受給者証の手続きなどが必要となります(詳しくは「療育ってどんなところ?誰でも通える? 知っておきたい療育センターのこと 」)。
民間や個人経営の療育は、診断の有無や通所受給者証の有無に関わらず誰でも通えるところがほとんどですが、習い事と同様の「利用料(月謝)」が必要となります。
我が子の発達が気になり出すと、「なんで?」「どうして…」と疑問や不安ばかり抱くことになってしまいます。しかし、小さい頃から療育を受けることで、上手なかかわり方や適切な声がけなど、子どもの障害や特性に合わせた対応ができるようになっていきます。親も多くのことを学べるし、子どもの「できた!」もどんどん増えていきます。親子が笑顔で過ごせるよう、子どもに合った療育やサポート方法を見つけていきたいですね。

詳しくは、コロロのホームページを参照してください。
コロロ発達療育センター – コロロ発達療育センターは、発達障害や自閉症、ことばのおくれや集団に適応できないなどの問題を抱える子ども達のための療育機関です。

田崎美穂子

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