2021.02.10
苦手意識を持つ前に!算数が得意になるために、入学前におうちできること
小学生の苦手な科目ランキングでは、算数が1位になることが多いですね。小学校に入学したら、子どもには算数に苦手意識を持たせたくない、できるなら算数を得意になってほしいと願っているママも多いのではありませんか。
子どもが算数を得意になるためには、ママはどんなことをすればいいのでしょうか。入学前から計算ドリルをガンガンやる必要はありません。普段の暮らしの中で算数が得意になるために入学前からできることを紹介します。
数える前に大切なこと
子どもは10まで理解していると思っていたのに、実は理解できていないことが分かってビックリした話を、ママが教えてくれました。
親子で湯船につかっているときに、「10まで数えたら出ようね」と毎日していました。みかんを食べるときに、娘が「いーち」と伸ばして指で2つのミカンを指してビックリ!! お風呂では数えてたのではなくて、歌っていたつもりだったのかも。
数を理解する、数える前に大切なことがあります。それが一対一対応です。
運動会の競技にある玉入れの決着方法を思い出してください。玉入れは競技が終わった後に、お互いにかごから玉を1個ずつ同時に投げ上げますね。かごから玉が先になくなったほうが負け、かごにまだ玉が残っているほうが勝ちとなります。
このように一つのものに一つのものを対応させることを、一対一対応といいます。数える前に理解する必要がある大切なものですが、「一対一対応を教えなくては!!」と意気込む必要はありません。普段の暮らしの中で一対一対応を体験できます。
たとえば
・食卓の家族のそれぞれの席に、お箸を置く
・おやつのチョコレートをママと子どもに一つずつ渡す
・1つのプリンに1つのスプーンを用意する
・ミニカーを赤、白、黒と色別に一台ずつ並べる
・クレヨンが入っていた箱のスペースに1本ずつ入れる
などなど、食事やおやつの時間、遊んでいるときなどに一対一対応を体験できます。ママに余裕があるときは、声をかけたり一緒にやるのもいいですね。ママが忙しくて手が離せなかったら、子どもが一人で集中してできるようにそっとしておくだけでOKです。
問題文を読む前に、おやつやおもちゃで数を体験しよう
子どもが算数を嫌いになる理由の多くが、「抽象化することが難しい、できない」からです。
運動会の玉入れの決着方法は一対一対応をつかっておこないましたが、算数では「紅組は10個、白組は7個でした。どちらが何個多いですか」のように、問題文を読んで数字をつかって計算します。この抽象化がスムーズにできず、算数を嫌いになることがよくあります。
スムーズに抽象化できるようになるためには、逆転の発想が有効です。抽象化の前に、まずは具体物に触れる経験を多くしましょう。
私の息子は、計算に関して特別なトレーニングや習い事はしていませんが、親ばかながら計算力は高いです。息子が計算を得意になったの理由は、「紅まどんな算」で具体物に接する機会が多かったからだと考えます。
息子はおやつの時間が大好きで、特に好物なのがちょっと高価な柑橘の紅まどんなです(JA全農えひめの登録商標です)。紅まどんなは食べるときは、みかんのように皮をむくよりも、オレンジのようにスマイルカットに切ると食べやすいです。
とってもおいしいこの紅まどんなを、息子は誰よりも多く食べたがりました。息子と私とパパと食べるときに、8個に切れば「ぼくは3個食べるよ」、16個に切れば「ぼく6個」と、息子は自分の食べる個数をすぐに決めます。割り算も九九も知らず、足し算すら練習していなかった幼稚園児の頃から、ずっとです。
紅まどんなを誰よりも多く食べるための息子の計算を、私たち家族は「紅まどんな算」と呼んでいます。息子は紅まどんなに限らず、いつでもおやつを「1個で多く食べたい」と強く願っていたようです、つまり食いしん坊ですね。息子は幼稚園児の頃からおやつを見て紅まどんな算に励んだ結果、小学校に入学してから計算が得意になりました。
息子が計算を得意になった理由は、実際に見て触れる具体物を通して数を体験したからだと思います。食いしん坊ならではの「誰よりも多く、紅まどんなを食べたい」という強い欲望に従って、紅まどんなをどのように分ければいいのかトレーニングを続けた結果、算数が始まってから数字をつかって抽象的に考えることへスムーズに移行することができました。
実際に見て触れる具体物を通して数を体験することは、私の息子のように食いしん坊でなくても(笑)、子どもなら遊んでいるときにできます。
遊びで数を体験する例
・お友達と遊んでいるときに、同じ数になるようにチョコレートを分ける
・人形遊びをするときに、グループ分けする
・積み木を並べる
・ボードゲームでコマが進める
積み木を並べたり、ボードゲームでコマを進めたりしていると、子どもは「3つの積み木に2つ乗せたら、4つの積み木より高くなった」「元にいた1マス目から3マス進んだけど、ママの5マス目まで届かなかった」など、数を実感することができます。
さらに、ケーキやピザのような円形のものを切り分けたり、速度の違うプラレールを走らせて競争したりすれば、高学年になると習う分数や速さを体験することができます。このような体験こそ、抽象化して考られるようになるための基礎となります。
モンテッソーリ教育の数教育でも、具体物を重視
将棋の藤井聡太二冠が幼児期に受けた教育として、モンテッソーリ教育が話題を集めました。実はモンテッソーリ教育では、幼児から数教育が始まります。本来のモンテッソーリ教育は、専門教育を受けた教師、教具、環境の3つがそろっておこなわれます。モンテッソーリ教育の幼稚園や保育園が通える範囲にないとモンテッソーリ教育を受けることは難しいですが、モンテッソーリ教育の考え方を理解すれば、ママがおうちの中にモンテッソーリ教育を取り入れることならできます。
モンテッソーリ教育の数教育は、数を体感して理解するために美しくて色鮮やかな教具を操作します。教具は高価で、大人に専門知識がなければ子どもを導くことはできませんが、おうちに教具を用意する必要はありません。
今までご紹介してきたとおり、食事や遊びなど普段の暮らしの中で子どもは数を体験することは、モンテッソーリ教育の数教育にも通じています。ママがちょっと意識をすれば、特別なものを用意したりしなくても、いつものおやつやおもちゃで子どもが楽しみながら数を体験する機会を増やすことができます。
入学前でも勉強と気負わずに、普段の暮らしの中で楽しみながら子どもが算数を得意になるための体験を増やしましょう。
大沢有貴子
家庭学習サポート専門家、ライター