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2022.06.07

大学入試共通テスト変更点で考える!入学前、低学年から家庭学習で大切にしたいポイントとは?



2022年春に入学した現在の高校1年生が大学受験をする2025年1月から、共通テストは大きく変化します。「幼いわが子には、大学入試なんて先のこと」と思っている方にも、共通テストの変更点は家庭学習や子育てのヒントになるでしょう。この記事は、2025年からの共通テストから考える、幼児や小学生が将来大学進学をしてもしなくても大切にしたい家庭学習の2つのポイントを紹介します。

高校で必修化された「情報」が、共通テストに登場


2025年1月の大学入試共通テストから、国立大学では今までの英数国理社に情報Iを加えた6教科8科目を原則課すと決まりました*。これは、情報教育をより充実させるため2022年導入の新学習指導要領で学ぶ2022年の高校1年生から、全員が情報Ⅰを履修することによります。配点など具体的な内容は、今後の発表に注目しましょう。

情報教育の変化は高校だけではありません。小学校では文字入力など基本的な操作の習得やプログラミング教育が行われ、中学校の技術・家庭科(技術分野)ではプログラミングや情報セキュリティを学びます。

小学校・中学校・高校での情報教育は急に始まったことではなく、以前から行われてきました。2019年12月に打ち出されたGIGAスクール構想はコロナ禍で早期推進されて、全ての小中学生に1人に1台の情報端末が提供されています。小学校では端末のつかいかたやSNSとのつきあい方などを学習し、調べ学習ではインターネットを活用しています。
情報教育といえば、プログラミング教育ばかりが注目されがちですね。しかし、プログラミング教育は情報教育の一部分にすぎません。

情報教育では、情報社会でのモラルやリテラシー、情報技術やデータを活用して課題を発見こし解決する方法、情報通信ネットワークなど、日常生活で必要な情報とのつきあいかたを広く学んでいます。生まれたときからスマートフォンが存在していたデジタルネイティブな子どもたちにとって、情報教育とは生きる術(すべ)を学ぶことともいえるでしょう。

子どもたちが成長して大人になる頃には、情報通信技術はさらに発達して、あらゆる職種・業種も、普段の生活も大きく変化することが予想されます。情報社会で生活するための知識やスキルを身につけることも、大切な家庭学習です。子どもとの暮らしでのスマホ、タブレットやパソコンなどの情報端末の利用法から、まずは考えてみませんか。

*全国立大が一般選抜の受験生に対して情報Ⅰを含む6教科8科目を原則として課す方針を、国立大学協会(国大協)が2022年1月に決定しました。

国語の試験時間が10分延長して90分に


2025年1月の共通テストから、国語の試験時間が現行の80分から10分延長して、90分になります。この変更は問題文の文字数を増やすためとされ、現代文2問、古文1問、漢文1問という現在の大問構成も変更される可能性があります。

それまでのセンター試験に代わって2021年から始まった共通テストの傾向の一つが、複数の資料を組み合わせて解答を導き出すような読解力を必要とする問題が多いことです。国語の試験時間延長も、この傾向によるものと推測されます。さらに、このような複数の資料を組み合わせた出題は、共通テストだけでなく、高校入試や中学入試にも増えています。わが子が幼い頃からできる対策はあるのでしょうか。

普段の暮らしのなかで子ども自身が選んで決めることは、複数の資料を組み合わせた出題への対策になります。例えば、こんなことから始めてみませんか。

・チョコレートとせんべい、おやつにどちらを食べるか
・水色とオレンジ、今日はどちらのTシャツを着るか
・信号と歩道橋、保育園からの帰り道にどちらを渡るか
・寝かしつけの絵本をどれにするか

大人が忙しくて余裕がないときには、選択肢を2つに絞り込むことをおすすめします。無理せず続けられる範囲で構いませんので、子ども自身が選ぶ機会を増やしましょう。
子どもがどれにするか選択したら、その理由を聞いてください。子どもが選んで決めて説明するには、思考して、判断して、表現しなくてはなりません。この一連の流れで必要な「思考力」「判断力」「表現力」は大学入学共通テストの果たす役割にも挙げられ*、複数の資料を組み合わせた出題の増加もこれらの力を試すためとされています。さらに、「思考力」「判断力」「表現力」は学習指導要領でも重視されています。

思考力、判断力、表現力は受験のためだけでなく、子どもが自立して生きるために必要な力です。思考力、判断力、表現力が養われるように、幼い頃から子ども自身が選択する機会を大切にしましょう。

入試から予測できる社会で求められる人材イメージが、家庭学習のヒントになる


2025年からの共通テストは教科として情報の登場と国語の試験時間に加えて、地理歴史、公民、数学の科目構成が変わり、数学IIの試験時間も10分延長して70分になります。試作問題など、今後発表される情報に注目しましょう。

そもそも、共通テストも含めた入学試験の本来の目的は、過酷な受験勉強を課すことではありません。「入試の問題は学校からのラブレター」と呼ばれるように、入試とは入学してほしい学生像を表すものであり、社会で求められる人材を反映したものともいえます。大学へ進学するしないに関わらず、共通テストの変更点から成長した社会で求められる人材イメージを予測すれば、家庭学習のヒントになります。

わが子が成長して社会で活躍する頃には、情報通信技術の著しい発達への対応と思考力、判断力、表現力を持つことが今よりさらに大切になるでしょう。情報社会で生活するための知識・スキルや子ども自身が選択する機会を、家庭学習として大切にすることからまずは始めてみませんか。

参考/*独立行政法人大学入試センター「大学入学共通テストの役割」より

大沢有貴子

大沢有貴子

家庭学習サポート専門家、ライター

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