2021.07.06
<小学校高学年>通知表の評価方法や見方は?評価に納得いかない場合の対応
前回の「<小学校低学年の通知表>見方や評価方法って?親のコメント欄書くことや通知表に納得いかない場合の方法も紹介」では、低学年の通知表を中心に解説しましたが、今回は「高学年編」。学習内容も難解になっていき、科目やそれに伴う小テストも増えていきます。また、ルールや提出物期限を守るなどの生活面の評価も若干シビアになっていきます。中学受験をする子にとっては、内申書に大きく影響を与えるものでもあります。
今回は、小学校高学年の通知表にスポットを当て、
・おおよその評価の仕方
・通知表の見方
・中学受験をする場合、通知表はどのような影響があるのか
・評価に納得がいかない場合
について解説したいと思います。
評価はどのようにしているの?
高学年になると、テストの成績が重要視され、中学校を意識した評価となります。評価の観点は低学年と同じ「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3本柱ですが、高学年ならではの評価方法が加わります。
【知識・技能】
まさにテストの点数が評価される観点となります。何点以上で「よくできた」あるいは「3」(「5」段階の学校もある)という絶対評価なので、高得点を取らないとなかなか好評価がつかない場合が多いです。
また、体育の実技、理科の実験、社会の作業なども評価対象になります。
【思考・判断・表現】
授業中の発言やテストの応用問題に思考や工夫がみられるかを評価します。特に高学年になると問題が難解になるため、創意工夫ができないと対応できない問題も増えていきます。
【主体的に学習に取り組む態度】
しっかり授業を聞いていることはもちろん、手をあげて自分なりの意見を言ったり、字をきれいに書けているか、ノートやレポートの記述内容、宿題や忘れ物が多くないかなども評価の対象になります。
(参考:資料1-3 学習評価に関する資料 )
【評価方法の基準は?】
主要科目である国語・算数・理科・社会は、学期中に行った単元テストから、
「よくできた」⇒90点以上
「できた」⇒60点以上
「もう少し」⇒60点未満
というように評価します(あくまで一例です)。もちろん授業態度も含まれますが、比較的客観的にしやすいようです。
図工や音楽、家庭などの数値化しにくい科目は、「発想力があるか」「表現力があるか」「自分なりに工夫しているか」などで評価するため、若干先生の主観が入ってしまうこともあるようです。
通知表はどうやって見る?
高学年になると、評価項目や評価段階が増える学校がほとんどです。低学年~中学年は「できる」「がんばろう(もうすこし)」の2段階ですが、高学年になると「よくできる」「できる」「がんばろう」の3段階、あるいは1~3の数字で表す学校が多いようです(1~5で表す学校も)。
【学習の記録(様子)】
中学年~高学年になると生活がなくなるかわりに、理科・社会となり、高学年になると家庭が増えます。また、高学年では各科目に対する評価も難易度がグッと上がっていきます。
算数を例に挙げると、
<低学年の評価項目>
・問題の意味を読み取り、正しく解く
・正しく計算したり、長さやかさを比べたりする
・数のしくみや表し方、計算の仕方、図形について理解する
それに対し、
<高学年の評価項目>
・見通しを持ち、筋道を立てて問題を解決する
・式に表したり、計算したり、図形の性質を調べたりする
・数や計算の意味、図形や数量関係の見方や調べ方を理解する
と、具体的にかつ明確に評価する内容になっています。学年が上がるにつれ
「成績が落ちている…」と思ってしまいがちですが、学習内容が難しくなっていく、あるいは評価が低学年よりはシビアになるため、低学年に比べ「3」や「よくできる」が少なくなるのは当たり前なのかもしれません。
【外国語や総合的な学習の時間に対する評価(記録)が加わる】
・外国語
4年生あたりから、週1~2時間ほど外国語の授業を取り入れる学校も増えています。「外国語」として科目評価はしませんが、どのような活動をしたか、その子がどのような態度で取り組んでいたか、文章で評価します。
<例>国際化に向け、道案内の表現を繰り返し練習しました。また、「〇〇~」の活用法を練習し、グループで役割分担しながら発表することができました。
・総合的な学習の時間
総合的な学習の時間とは、探究的な見方・考え方を持ち、横断的・総合的な学習を行うことを通して、課題を解決しながら自己の生き方を考えていくための資質や能力を育成することを目標に設けられた「学習時間」です。
(参考:総合的な学習(探究)の時間:文部科学省 (mext.go.jp))
課題内容や目標は学校独自で決めます。ある課題に対し、グループで話し合って解決のための提案をしたり、新たな課題を見つけたりする授業です。これも科目評価はなく、文章で評価されます。
<例>「平和な世界づくり実践」では、平和であるために日頃から助け合うことが大切だということを話し合いました。「声を掛ける」「困っている人を手助けする」などの意見が言えていました。
【特別活動の記録】
低学年のときは学級内の係くらいしかありませんが、高学年になると、「委員会活動」(図書委員や保健委員など)やクラブ活動が加わってきます。「どのようなことをしているか」だけを明記する学校が多いですが、どのような態度で臨んでいるかに触れる学校もあるようです。
【行動の記録】
授業以外での生活面に対する評価です。評価項目は低学年の内容とほとんど変わりませんが、「自立し、かつ協力しながら生活する」「最後まで責任をもって仕事をする」など、中学校生活に向けた項目が増えます。
【先生からのコメント】
低学年~中学年は、「学校では友達と仲良く過ごせています」「図工は工夫してキレイな作品ができました」など、学校で楽しく健やかに生活できているという内容が多いですが、高学年になると、「グループ活動では友達の話に耳を傾けながら自身の意見も言えていましたが、授業では挙手して発言する回数が少し少ないかもしれません」など、授業態度や生活態度について少し突っ込んだコメントになっていきます。
もちろん、その学校の雰囲気や先生によって異なります。
内申書(調査書)との関わりは?
中学受験をする子どもにとって、通知表をベースに作成する内申書(調査書ともいう)は非常に重要なものになってきます。
内申書とは何か、中学受験にどのくらい関わりがあるのかなどを解説します。
【内申書とは】
公立中高一貫校や私立中学の一部では、出願時に入学願書のほかに内申書(調査書)の提出が必要になる学校が多くあります。内申書は、小学校の先生に依頼して書いてもらう「子どもについての資料」のこと。内申書には各教科の成績に加え、学校生活での特別活動や行動、出欠状況などが記録されます。
【中学受験における内申書の位置づけとは?】
私立中学校では内申書は参考資料程度で、合否に関係することはほぼないようですが、公立中高一貫校では内申書も合否を判定する材料のひとつとなります。その多くは、当日試験80%、内申書20%の割合で総合的に判定されるといわれています。内申書をもっと多くの割合で重視する学校もあるので、事前確認が必要です。中学校側が注目する内申書のポイントは、出席日数、成績、学校での様子の3つです。
評価に納得がいかない場合
高学年になると、授業内容が難しくなったり、低学年に比べて提出物や規則にシビアになったりと、評価も少し厳しくなります。
特に中学受験をする場合は、評価に疑問や不満を持ってしまう子あるいは親が少なくありません。その場合、先生にどのように伝えるのか、親にできることなど、ママたちの体験談とともに紹介します。
ピンポイントで明確に聞く
5年制の1学期、全体的に「なんだ~この成績…」と親が落ち込むくらい下がってしまいました。「これは得意なのに」ということもあまり良くなかったし、中学受験も考えていたので、これは先生に確認したほうがいいと思いました。「なんでこんな成績なんですか」では曖昧な聞き方だし、先生も返答に困るだろうし、なにしろモンスターになりかねない…5年生の夏休みの個人面談時に、・国語の「伝える力、正しく読み取る、文字を正しく整えて書く」は‟よくできる″なのに、なぜ「国語に関心を持ち、進んで学習する」は‟がんばろう″なのか
・(運動神経はいい方なのに)体育は‟がんばろう″が2つもあるのか
の2点を聞いてみました。先生の回答で納得し、家でも留意・工夫すべき点がわかったので、確認してよかったと思っています。ピンポイントで具体的に聞くのがコツのようです。
〔Yさん、子ども14歳〕
明らかにテストの点数が理由なので、塾に通うことに
中学受験はまったくするつもりはありませんでしたが、小学校5年生で主要科目(国語、算数、社会)がガクンと下がったので、2学期から1週間に1日、算数1コマ・国語1コマだけ塾に通うことにしました。
親子で仲良くしていた子のママも「なんか急に成績下がっちゃって…」と言っていたので、それなら一緒に!と、同じ塾で同じ授業を受けることにしたんです。5年生の間は残念ながらあまり成績は芳しくありませんでしたが、6年生から国語と算数が伸びていき、思考力もついたのか、社会も少しだけ上がりました。後日談ですが、中学生になってもそのままその塾に通い、友達と切磋琢磨頑張ることができ、2人とも第一志望の高校に受かりました。入塾は成績が下がったという理由ですが、「継続は力なり」が実ったと思っています。
〔Tさん、子ども16歳、13歳、7歳〕
親が書く欄は、低学年同様成績を見た感想や普段の様子、できるようになったことを書く方が多いようです。「長文読解が苦手なので、夏休みは新聞を読むよう心がけました」「受験までに苦手を克服できるよう、親としてしっかりとサポートしていきたいと思います」など、少し難易度の高い目標や、受験など進路に関することを書くケースも。
高学年ともなると、「中学校になってもっと難しくなったら、やっていけるのか」「こんな成績で受験できるのかしら」など、低学年に比べ不安感も大きくなるものです。でも逆に評価も細かく突っ込んだものになるため、「ここがウィークポイントか」「ここをもっと伸ばせばほかも伸びるかも」ということが分かり、子どもにどのようなサポートをしてあげればいいかというヒントにもつながるのではないでしょうか。
田崎美穂子
mamaライター