2022.04.21
子どもの表と裏の顔!二面性でも成長の証と注意が必要な場合がある
友達と遊んでいるところを目撃したときや、面談などで先生から聞く我が子の家では見られない言動ってありませんか。「家ではこんなにグダグダなのに!」「私にはひどい態度なのに」「普段は何度言ってもやらないのに」と複雑な気持ちになったり、そのいい子は本当にわが子なのか?とつい疑わしく思ってしまったり…今回は、そんなわが子の「外の顔と家の顔」エピソードを聞いてみました。いわゆるそんな“二面性”、親の見ていないところでは頑張っているという成長の証でもあるのです。
ただ、それとは逆に「家では素直でいい子なのに外では素行が悪い」というケースも少なくありません。実はそれはあまりいい兆候ではなく、注意が必要だそう。その場合の二面性はなぜ注意が必要なのか、どのような対応をしたらいいのかなども保護者に聞いたエピソードとともに紹介します。
園児にだって表と裏の顔がある!?
まだまだ素直で、家でも外でも一緒の言動であるとしか思えないような年ごろでも、園で先生や友達といるときと、家とではぜんぜん違う!というケースも多いようです。
親と一緒だとぜんぜん歩きたがらないのに!
親と一緒だと散歩に行っても、旅行に行っても、数歩歩いたらすぐ「抱っこ!」。歩こうね~と言っても、しゃがみ込んで抗議します。これ保育園の散歩とか大丈夫なのかな、と思って連絡帳に書いたら、先生からの返事が「園では率先して友達や1歳児の子の手を引いて、励ましながら歩いていますよ」。
それ、ホントにうちの子ですか?と信じられない気持ちです。〔Uさん、子ども4歳〕
園では優しい兄貴分!?
末っ子で兄と姉にすぐケンカを売ったり、姉が遊んでいるおもちゃを横取りする次男。園の面談でそのことを言ったら、「え!そうなんですか!?園では友達に譲ったり、友達が困ってるときは助け舟を出したりしていますよ。〇くん、優しいですよ~」と。なぜ家では荒くれモノなんだ~。長男にそのことを話したら「え、マジ?なにそれ、誰それ」と爆笑していました(笑)〔Iさん、子ども10歳、7歳、4歳〕
小学校低~中学年だって、外ではこんなに頑張っています
「家では〇〇やってと何度言ってもやらないのに、学校では当番や係りの仕事を進んでやる」。学校での姿を聞くと、なぜ家ではなにもしないの?とモヤってしまう方も多いのでは。小学校低~中学年でも、外ではしっかり見せたい!という気持ちが芽生えるのでしょうね。
係りは進んで忘れずに
家では「食べ終わったお皿運んで」と言ってもいつまでもテーブルの上に放置、学校の準備も朝ドタバタでやる…まだ(当時)1年生とはいえ、学校で大丈夫なのか!?とめちゃくちゃ心配でした。面談で「家ではこんなにひどい」と話すと「学校ではお当番を二つやってもらっていて、毎日忘れずにしっかり自主的に取り組んでいますよ」と言われ、ビックリしました。「え、本当ですか?それ本当に〇(息子)ですか?」と二度聞きして、先生に「お母さん信じてください」と言われちゃいました(笑)〔Oさん、子ども8歳〕
学童で率先して宿題をする
週末や長期休みは、いくら言っても宿題は後回し、どんどん溜まる。「宿題やりなー」というと「うるさいなあ、後でやるって言ってんじゃん」と逆ギレ…という状態なのですが、学童では友達と一緒にきっちり宿題を終わらせてきます。友達効果もあるのでしょうが、テレビやゲームなどの誘惑物がないからかもしれません。でも、家の様子からはまったく想像できない…〔Fさん、子ども8歳、5歳〕
小学校高学年、ちょっと親が鬱陶しくなるゆえの「外面」?
小学校高学年になってくると、少しずつ反抗期に入っていきます。親と話したり、家族とかかわるのが面倒くさい、かっこ悪い、なんて思う子も出てきます。それゆえ、家と外での言動が正反対になってしまうことも。
家では能面のような息子の満面の笑みを目撃
家では、特に私に対しては無表情、無感情な息子(苦笑)ある日、外で通りかかったほかの子のお母さんには、笑顔でしっかり挨拶や受け答えをしている息子を目撃。
思わず「ムギーー!!あんなに可愛がって大切に育てたのに!」なんて変な怒りがわいてきましたが、「外では愛想よくできてるんだな。家では甘えが出てるんだと思おう」と気持ちを切り替えるようにしています。でもやっぱり「家でも愛想よくできんのか!ムギーー!」と思っちゃいますが。〔Sさん、子ども12歳、8歳〕
「協調性がありますね」
「買い物行こうよ」「行かねーよ」、「みんなで散歩行かない?」「行くわけないじゃん」、
「〇〇したら?」「するか」、「〇〇なの?」「知らん」
最近はいつもこんな感じで、ご飯すら時間をずらして一人で食べることも。コロナ禍で遠出できないのもありますが、休みの日は主人・私・下の子が散歩に行き、長男は家でゲームや友達と公園で遊ぶという別行動が多いですね。
協調性のないやっちゃな~と嘆いていましたが、学校の通知表には「とても協調性があって、人を思いやれる気持ちがある」と書かれていました。思わず「ほんとかい!?」と叫んでしまいました…〔Wさん、子ども11歳、8歳〕
中高生はしっかり「外面」仮面をつけるように!?
中高生ともなると、家では「うっさいなあ」「あー、大丈夫」など、単語ともつかぬような言葉しか発さず、ムスーっとばかりしている!と切ない思いをしている方も多いと思います。二面性もちょっと複雑になってくる、この時期のエピソードとは。
家族との会話はほぼ二言のみなのに!
思春期だと思っていても、なにを話しかけても「ふつー」「大丈夫」のみの娘に毎日イラっとしています。思わず「部活の先生とか担任の先生にもそんなに失礼な態度なの?」と聞いてしまいました。「ちゃんと話すし聞くよ」とのこと。電話で友達と楽しそうにポンポン会話する声が部屋から漏れ聞こえることもあるので、「あー外ではちゃんとコミュニケーション取ってるのね」とさみしくもあり、反面安心もしています。〔Aさん、子ども16歳〕
部活の副部長!?信じられん…
部屋はいわゆる「汚部屋」、もらったプリントさえなくす、手伝いなんて1ミリもしない、もちろん親のアドバイスなんて聞き入れもしない。そんな高2の長男が、なんと大所帯の部活の副部長に!
「副部長ってどんなことをするの?」と聞いても「なんもしない」とぶっきらぼうに答えるので、部活の保護者会で先生に聞いてみると、「スケジュールを考えてスケジュール表を作ったり、練習メニューを部長と話し合ったり、後輩に指導したりしていますよ。頼れる先輩ですよ」だそう。保護者会の帰り道、「信じられん、信じられん…」と念仏のように唱えてしまいました(笑)〔Tさん、子ども17歳、15歳〕
「家でいい子、外では悪い」の二面性は要注意!?
家では素直に親の言うことを聞いたり、あまりわがままも言わずとても育てやすいと思っていたら…先生やほかのママから聞いた我が子の外での素行にビックリ!ショック!というケースも。実はこれはちょっと注意が必要なようです。
【家ではいい子、外では素行が悪いのはなぜ注意が必要なの?】
家でいい子、外ではやりたい放題。たとえば友達をいじめたり、思い通りにならないと大暴れしたり、「やんちゃ」というレベルでは済まない行動をしてしまう子どももいます。
その様子を伝えても、家ではいい子なため、「うちの子がそんなことするはずがない」「よほど相手に嫌なことをされたに違いない」と認めたくない、現実を受け入れられないという親も少なくありません。
家ではよく言うことを聞いていわゆる「育てやすい」子なのに、外でこのような行動が出てしまうのは、「親に非常に気を遣っている」「常に親の顔色をうかがっている」というケースが多く、家庭でのストレスが強いことが原因だと考えられています。こういう場合は要注意で、親も今一度対応を考えなおす必要があります。
【親はどのような対応をすればいいのか】
一概にはいえませんが、子どもが家ではいい子、外では素行が悪くなる原因として
・親が子どもに関心がない、かかわろうとしない
・何かにつけて厳しくしつけをする、一つ一つの行動に口を出しすぎる
ということが考えられています。
「自分の希望が受け入れられない」「周りから必要以上に要求される」ことは、子どもにとって大きなストレスとなり不満が蓄積していきます。
・忙しくて時間がない、気持ちに余裕がない中でも、少しでもいいから腰を据えて子どもとガッツリ向き合う(遊ぶなり話を聞くなり)時間を作る。
・「できなくでもいいよ」「ゆっくりでいい」と子どもの今の状態を認め、なるべく口うるさく言わないよう心掛ける。
難しいかもしれませんが、このような対応を取り続けることで、家庭でのストレスが減り、外でも穏やかに過ごせるようになっていくケースが多いようです。急に環境が変わったことによる心的ストレスや、下の子が生まれて赤ちゃん返り、などの原因もあるので、その場合は時が経てば穏やかになっていくことがほとんどです。
パパやママたちの体験談
友達を仲間外れにしていたなんて…
小学校高学年の頃、よく友達を家に呼んで遊んでいたし、いつも楽しそうにしていたので、いい友達に恵まれたな、と嬉しく思っていました。ところが、気に入らない2人の友達に「ウチに来ない?」と声をかけておきながら、玄関のところで「定員いっぱいだから無理、帰って」と仲間外れにしていたことが判明。ほかにも嘘の約束場所や違う時間を教えたり…
いつも息子と一緒に遊んでいた友達のうちの一人が、仲間はずれにすることの罪悪感に耐えかねて、ある日涙ながらに私に教えてくれて発覚しました。
本当にショックで悲しくて、息子には「そんなことをされた相手はどんな気持ちか、自分がされたらどんなに悲しいか」と伝え、相手のお子さんと親御さんにも謝罪しましたが、なにより「育て方を間違えたのか」と自分を責めました。7歳下の弟にママの愛情を持っていかれたと思い、気持ちが不安定だったようです。ともかく息子の好きなことに私も興味を持って一緒に見たり話したり、イライラしている気持ちに寄り添ったり、長男本位に接することを心掛けました。中学になると心が安定したのか、部活も忙しくなったりで、友達に対してなにかをするということはなくなっていきました。そしてなぜか、小学校の頃仲間外れにしてしまった子と高校も一緒になり、お互い大人になったのか(いや、相手の子が大人!)今では一番仲良くしてもらっています。〔Sさん、子ども17歳、10歳〕
先生に対する暴言!
自分の子どもの話ではないのですが、長女が小学校2年生の時の授業参観で、足を机の上に投げ出し、先生の言うことに対していちいち反論したり暴言を吐く子がいました。見に来ていた保護者はみんなドン引き…その子の親は来ていませんでした。
その後も、その子の親は一度も保護者会に来ませんでした。通学路で見えないところでほかの子のお腹を殴ってほかのお母さんに注意された、という話も聞きました。でも当のお母さんは何も知らないようで、「ウチの子はおとなしくて…」と周囲に話しているようです。誰も何も言わなかったのか!?といまだに不思議です。〔Hさん、子ども14歳、11歳〕
大人だって外と家ではぜんぜん違う、という方が多いのではないでしょうか。外では親が思っている何倍も子どもは頑張っています。家でむちゃくちゃわがままを言う、ぶっきらぼう、なにもしない、と思わずイライラして怒りたくなりますが、「外で頑張ったり我慢していたストレスを発散してるんだ。家では安心して過ごせているのね」と思えば、パパやママの心も落ち着くのでは。とはいえ、あまりにもひどいときはちゃんと叱る必要がありますが。
今回は「外で頑張っている、家では悪い顔がのぞく」は子どもの成長の証であり安心してもいい状態ですが、その反対はちょっと注意が必要ということを述べました。いずれにせよ、できるだけ我が子の家の顔と外の顔を知っておくことが大切だと思います。
田崎美穂子
mamaライター