2015.06.02
言うときゃ言わなきゃ!保育園への意見、どう伝える?
保育園に長時間子どもを預ける中で、多かれ少なかれ疑問や改善してほしい点が出てくるのは自然なこと。
「気にしないようにする」「様子を見守る」「意見を伝えてみる」など、対応もケースバイケースだと思います。
しかし、「うるさい親」「軽いモンペア(モンスターペアレント)」に思われたらいやだなあと疑問を貯め込み続けると、園や保育士とのコミュニケーションの妨げにもなります。
意見と文句は全く別物。保護と保育園が信頼関係を築いていくために、どんな意見の伝え方があるか考えてみました。
保護者の一番の思いは「安心して預けられる環境」
子どもを託す保護者にとって、何よりも願うのが安心して預けられる環境。
具体的には、事故やけががなく過ごせるか、楽しく過ごせているか、ということに集約されると思います。
しっかりとした信頼関係がある中で「預ける」「預かる」ことができるようになるまでには、ある程度の時間がかかります。
逆に、保育に疑問や不安を感じるということは、預けっぱなしにしているのではなく、子どもの状態にアンテナを張れているということ。
質問したり、改善してほしいと思う点を明確に伝えたりすることは、相互理解を深めていくきっかけにもなります。
まずは担任に質問してみよう
心配ごとは、まずは担任の先生に具体的に聞いてみましょう。
例えば「我が子がお友だちとけんかをしてしまったよう。本人は『○○ちゃんにぶたれた』と言っているが、様子がよくわからない」ということがあります。
保育園では園での子ども同士の衝突は基本的に保育時間内に解決するという方針を持っている場合が多いので、1つ1つの小さなトラブルを保護者に伝えるということはしません。
子どもの話だけではよくわからず不安を感じる時は、「お友だちとけんかをしてしまったようなのですが、先生が見ていてどんな様子でしたか?」「うちの子が手を出してしまうようなことはありましたか?」など一歩退いて質問すると、質問する側もしやすいのではないかと思います。
保育中のけがについても、どのような状況で怪我が発生したものであるかを聞き、防ぐことが可能だったのかどうか、防げる場合は改善策など、今後の保育につながるような形で話を聞いてみましょう。
また、クラス便りや保護者会で担任から、各年代の子どもの心身の発達の特徴、期間ごとの保育目標なども伝えられます。
積極的に興味を持つと、保育者と保護者の距離が縮まります。疑問に思えた対応が、園としての方針によることもあります。
担任に言いづらい場合は、主任や園長に相談を
「挨拶しても保育士からの挨拶が返ってこない」
「保育士の言葉が乱暴、子どもへの接し方が荒っぽい」……。
これらは、信頼関係の構築や子どもの育ちを考える上での大きな不安材料。
直接保育士本人に言いづらい場合は、主任の先生や園長先生に、雑談がてら「こういう点が気になってしまったのですが、園全体ではどういう方針ですか?」などと尋ねてみてはいかがでしょうか。
最終手段としての自治体の存在
保護者の気持ちに寄り添っている園の場合は、できる範囲の対応をし、疑問に答えようとしてくれます。
園内で解決できることが何よりですが、現実的にはそれで済まない部分もあります。
相談をする保護者の気持ちを全く理解してくれない、日々の保育への不安がなくならないという時の最終手段は、認可保育所でも認可外保育施設でも、自治体への相談です。
あまり想定したくはない事態ですが、どういう場合にどこに相談できるかは、知っておいてよいことだと思います。
認可保育所は市区町村、認可外保育施設は都道府県の監督・指導対象です。
市区町村が設置している認可外保育施設は各自治体へ。
相談先に迷った場合には、通っている保育園のある自治体に問い合わせましょう。
行政の指導監督の対象になるのは、具体的には、「体の清潔を保つ」「漫然とテレビやビデオを見せ続けるなどの放任的な保育をしない」「児童の心身に苦痛を与えることがないよう十分配慮する」といったことが保育で実践されているかどうかです。これらのことは保育者に義務付けられています。
相談は口頭だけでにせず、具体的な事を書面化し、相談した経緯や内容がうやむやになるのを防ぎましょう。
「預ける」から「一緒に育てる」へ
家での時間、保育園での時間、全体の流れの中で子どもたちは成長しています。
保護者のニーズ、価値観の多様化もあり、保育者と保護者が一緒に子育てをするという連携は、常に新しい課題でもあると思います。
保育士や園への意見の伝え方を中心に考えてきましたが、決まった正解はありません。保育者と保護者の小さなコミュニケーション、日々積み重ねていきたいですね。
千葉美奈子
ライター