2020.10.05
子どもに暴言、暴力するのを発見!初めて「児童虐待通報ダイヤル」に電話してみた、その内容とは?
児童虐待通報ダイヤルをご存知ですか? 近年よくニュースなどで取り上げられる児童虐待ですが、その疑いをもったときなど、児童相談所に通告・相談ができる全国共通の電話です。番号は「189(いち・はや・く)」と覚えやすく、匿名でも通告・相談できます。
とはいえ、実際にダイヤルするのにはそれなりの勇気がいります。「私の勘違いだったら…」「もし相手にばれたら…」といった思いがよぎるからです。また、何をどう話していいかも迷うところでしょう。
今回は筆者が実際に児童虐待通報ダイヤルに電話することになった経緯と、電話で聞かれる内容についてお話します。
事件は子どもの通う学校で起きた
昨年秋、わが子の通う小学校に行く用事がありました。そこである母子を見かけたのですが、子どものほんのささいな失敗に対し、母親が異常なほどの怒りを見せていたのです。
子どもに対し「おめえが言うこと聞かねえからだろ!」「大げさに泣きやがって」と暴言を吐き、泣く子どもの頭を拳で何度もぶっていました。子どもは故意にしたことでもなく、私から見れば怒る要素なんてありませんでしたし、ほんとうにちょっとした失敗をしただけなのです。
途中で先生が中に入ろうとしたのですが、それすらも無視し、そのあとのことはわからないのですが、日常的に行われていることなんだろうなと感じました。
私もその母親に対し言いたいことはあったのですが、自分の子どもが巻き込まれることを考えると恐ろしく、そこに入ったところで一時的な処置にしかならない…そう思いその場を離れました。
もやもやした気持ちのまま数日を過ごし、ある日。
その子どもについての情報が
わが子の通う小学校のママ友と立ち話をしているとき、そのママ友の子どもが、クラスメイトにいじめられているという話になりました。話を聞いているうちに、どうやら以前見た母子の子どもがいじめ加害者だということがわかったのです。
想像でしかありませんが、日常的に親に叩かれているのであれば、身近な存在に対し同じことをしていても何ら不思議ではありません。
またママ友は、その子どもの母親についても知っていました。噂レベルではあるものの、母親は鬱状態であること、クラスの保護者会でも問題になっていること、すでにクラス担任が何度も家を訪れていることなどです。
少なくともクラス単位では問題になっている話でしたので、わざわざ私がなにかすることもなかったのかもしれませんが、どうしてもその子どものことが気になり、児童虐待通報ダイヤルに電話してみようと思いました。
しかしいざ電話しようと思うと、なかなか勇気のでないものです。「すでに誰かが通報しているかもしれないし…」「学校でも認識しているようだし…」なにかと自分に口実をつけていました。また、学校で見たときから2か月ほど経過しているのも引け目を感じました。
でも「私が通告せず、今後その子に何か起こってしまったらどうしよう」という思いが強くなり、電話するに至りました。
電話で聞かれたこと・話したこと
「189」をダイヤルすると、オペレーターに繋がります。固定電話からかけるとその市内局番から、近くの児童相談所につながるようですが、私のように携帯電話からかけた場合にはオペレーターの方に住んでいる場所を伝え、管轄の児童相談所につないでくれます。
児童相談所につながると、担当者が自分の見たことや聞いたこと、すべての情報について詳しく訪ねてきました。たとえば実際に母親が子どもに言った言葉1つについてもです。私は覚えている範囲で答え、ママ友から聞いた話も「ママ友から聞いた話にはなりますが」とつけて話をしました。
実際に話した内容は以下のようなことです。
・自分の目で見たこと、そのときの母子の会話・子どもの様子など
・子どもの名前や住んでいる場所、学校名や学年・クラス(わかる範囲で)
・ママ友の話(身の回りからの情報)
・自分自身の住所と名前
厚生労働省のホームページには匿名でもOKと記されているのですが、私が電話した際には住所と名前を教えてほしい、とはっきり言われました。これには少し戸惑ったのですが、児童相談所に電話をするとその情報をもとに該当家庭を訪問するようで、私もその責任を負うべきだと思い、きちんと伝えました。もちろんその情報を相手方に伝えることはない、とのことです。
電話をしていたのは10分ほどだったと思います。ドキドキしましたが、電話をしたあとは少し気持ちのもやもやが消えました。
児童虐待通報ダイヤルは、虐待の疑わしい場合のほか、自分自身の育児に不安がある場合や身近に子どもについて悩んでいる人がいるときなどにも相談にのってもらうことができます。
ダイヤルするには迷いも生じるかもしれません。でも困っている人が身近にいて、それを見ぬふりして過ごすのは心が痛みます。ダイヤルは子どもを救うことにも、自分自身を救うことにもつながるのではないでしょうか。電話しないことによって万が一何か起きたら、それこそ後悔するでしょう。
もし身近なところに「もしかして」を感じたときには、「189(いち・はや・く)」をダイヤルしてほしいです!
※この記事は2019年3月に公開されたものです。
沖田かへ
ライター
2級建築士、照明コンサルタント、FP、心理カウンセラー資格など所持。2人目出産後、大好きな子どもたちと少しでも長く時間を過ごせるよう、フルタイム勤務からライターに転身。夏はキャンプ、冬はスキーと、家族でアウトドアなライフスタイルを送る。