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2021.06.29

<小学校低学年の通知表>見方や評価方法って?親のコメント欄書くことや通知表に納得いかない場合の方法も紹介



小学校1年生にとって、この1学期最後にもらう通知表が「人生最初の通知表」といえます。子どもにとっても初めて、ママにとっても初めて。保護者会などで先生から「通知表の見方」や「評価の仕方」の説明がある学校も多いようですが、実際に目にすると「あれ?これはいいの悪いの?」「これって子どものどこを見ているんだろう?」などの疑問が出てくることも。また、ほぼ必ず親が書くコメント欄がありますが、何をどう書いていいのか分からない!という方も少なくありません。

今回は、小学校低学年の通知表にスポットを当て、
・おおよその評価の仕方
・通知表の形式や見方(通知表からなにが分かるか)
・親のコメント欄はどう書く?
・通知表に納得がいかない場合

について解説したいと思います。

評価はどのようにしているの?


通知表の形式や表記の仕方は都道府県や自治体、または学校によって違いがあるようですが、評価方法は学校独自の基準があり、その基準をもとにつけられています。どのような観点からどんなことを評価しているのでしょうか。

【評価するための観点】
先生が通知表をつける際、次の3本柱の観点をもとに評価しています。

・知識・技能
各教科等において、学習の過程を通して知識や技能の習得状況について評価を行います。また、すでに持っている知識や技能を他の学習や生活の場面でどのくらい活用できているか、さまざまな概念を理解したり、習得したりしているかを評価します。

・思考・判断・表現
各教科等の知識および技能を活用して、課題を解決するために必要な思考力、判断力や表現力を身につけているかどうかを評価します。

・主体的に学習に取り組む態度
知識および技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力を身につけるために、自分の学習状況を把握したり、学習の進め方について自分なりに工夫しているか、自ら意欲的に学ぼうとしているか、などの「意思的な側面」を評価します。

【評価の方法や基準は?】
・よくできている(◎やAで表記する学校も)
観点の内容を十分達成している。
・できている(〇やBで表記する学校も)
観点の内容をおおむね達成している。
・がんばろう(△やC、あるいは「もうすこし」で表記する学校も)
もう少し努力を必要とする。

【1年生は就学前の経験が一人ひとり違うことを念頭に】
1年生の1学期の通知表は、人生初めて人から「評価」を受けるもの。保育園や幼稚園で過ごしてきた経験は一人ひとり全然違います。担任の先生も、そこを念頭に置きながら評価しています。また評価の材料はテストだけではなく、資料(提出物など)や作品、学習状況(授業態度など)の中から判定します。

通知表はどうやって見る?


かつては5段階評の数字で評価する学校が多かったですが、現在では「できる」「もうすこし」など、どのようなことが「できている」のか、なにを「もうすこしがんばったほうがいい」のか、と表す学校がほとんどのようです。これも学校によって異なりますが、現在の通知表の一般的な形式や、そこから何が分かるのかを紹介します。

【学習のようす】
低学年の科目は「国語」「算数」「生活」「音楽」「図工」「体育」となっています。
1年生の算数を例に挙げると、

・算数に関心を持ち、楽しく学習をしようとする
・問題の意味を読み取り、正しく解く
・正しく計算したり、長さやかさを比べたりする
・数の仕組みや表し方、計算の仕方、図形について理解する

の項目に分けられ、それぞれが「◎」「○」「△」などで評価されています。同じ科目の中でも、「この部分はけっこう分かっているようだけど、ここはまだ理解していないのかも」と、子どもの得手不得手が分かるようになっています。

【学級活動】
学級活動について(図書係や飼育係などの係について)書かれています。決められた係や当番がしっかりできているかどうかが分かります。
例:金魚係…毎日しっかりと自分から餌を忘れずにあげることができています。
本係…学級内の図書を並べ直してくれたり、整理してくれます。

【行動の記録】
これはいわゆる学校生活における授業以外での態度や過ごし方に対する評価です。たとえば、
・あいさつをする
・正しい言葉づかいをする
・身のまわりのかたづけをする
・学習用具を忘れずに準備する
・話をしっかり聞く
・友達と仲良く遊ぶ
などです。「家庭では全然しないのに、学校では頑張っているんだな」など、子どもが家では見せない一面が分かることも。

【先生からのコメント】
先生から見た「その学期で頑張ったこと」「その子どもの印象」などが書かれています。
「家ではできなくてつい叱ってしまうことも、学校ではちゃんとできている」反対に「家ではできるのに、学校では緊張してしまうのかな」など〝他人の目から見たわが子の様子“がよく分かります。
コメント例:友達と仲良く遊べています。嬉しかったことや発見したことをよく話してくれ、それを聞くのが楽しみです。漢字テストもよくできていて、計算も早く正確にできます。長縄跳びや跳び箱、ボール投げもとても上手で、友達の見本としてやってもらうこともありました。これからも元気で友達に優しい○君でいてください。

「◎が1個しかない!」「ほかの子はもっといいのかな…」など一喜一憂したり比較してしまうこともあると思います。でも大切なのは、子どもの良い面を伸ばすようゆっくり見守ること。「国語はぜんぶ○だったね」「係きちんとできてるね」など、ほめることがこれからの自信と意欲につながります。

親のコメント欄、何をどう書けばいいの?


ほとんどの学校は、通知表の最後に「親のコメント欄」を設けています。なにをどう書けばいいのか迷う、書くことがない…と悩んでしまいそう。ママたちの経験談(1年生の1学期に書いた内容)を中心に、どんなことをどんなふうに書けばいいのかを紹介します。

先生のコメントを受ける内容で書く
先生のコメントに2文ほどで返す形で書きました。
先生の「いろいろと話してくれます」というコメントに対して「家でも学校のことをずいぶん具体的に話してくれるようになりました」という一文。先生の「係の仕事も率先してやってくれます」というコメントに対して「家庭ではもう少し進んでお手伝いをできるようになってほしいと思っています」という一文。〔Uさん、子ども8歳、4歳〕

日ごろ気になっていることを
ものごとにじっくり取り組めている、学級での約束をしっかり守るなどを評価されていたのですが、家庭では違う側面で日ごろ気になっていることを書きました。「チャンレジ精神は旺盛なのですが、うまくできないと途中で投げ出したり怒ることが多いです。2学期はそこを少しずつ改めていけたらと思っています」というようなことを書きましたね。〔Tさん、子ども9歳〕

夏休みの間にできたことを書いた
通知表が想像以上によかったので(苦笑)、コメント欄もいいことを書こうと、夏休み出来るようになったことをいくつか箇条書きで書きました。
・宿題を自分で取り組める日が増えた
・夏休み前のプール授業は「泳げない」と泣いて嫌がっていたけど、泳げるようになりたいとプールに通って頑張った
というようなことを書いた記憶があります。〔Hさん、子ども12歳、10歳〕

親からは「これを書けばいい」という決まりごとはありませんが、子どもが頑張ったことや成長したこと、あるいはちょっとだけクリアしたい課題などを記録として残す感じで書くといいようです。

もし通知表に納得がいかなかったら


低学年のうちは、課題も比較的易しく「きっちり評価する」という対象ではないため、高い評価になったり、コメントもいいことばかりの通知表が多い傾向にあります。しかし、「まだ低学年なんだし、これから頑張ればいいよね」と思いつつも、「テストも授業態度もいいと書かれているのに、なんでこの評価なんだろう…」など、納得いかなかったりモヤモヤすることも。その場合どのように先生に伝えたらいいのか、ママたちの経験談(1年生の1学期時)とともに紹介します。

面談でやんわり聞いてみる
◎(よくできている)と〇(できている)と△(がんばりましょう)の3段階評価だったのですが、◎がひとつしかなかったんです。項目の中でも、普段からけっこうよくできていることも多かったので、どうにもモヤモヤしてしまって…
夏休み中に面談があったので、そのときに2項目ほどについて「これについては、家庭でも割とできているのですが、学校ではどうでしょうか」と、やんわり聞いてみました。「〝うーん″と考え込んでしまって、なかなか進まないときが多いんです」など、先生から見た「評価の理由」が分かったので、とりあえず納得しました。また、「◎はよほど達成率がよくないと滅多にはつけないんです」とのことでした。〔Fさん、子ども8歳〕

通知表のコメント欄に書く
国語の「話の内容を聞き取る」と、行動面の「話をしっかり聞く」が共に「がんばろう」という評価でした。保育園のときは「〇くんは、読み聞かせのときなど、とてもしっかり聞いてくれます」と言われたり、図書館の読み聞かせ(ボランティアさんが行なう読み書きせグループ)でも静かに聞いているタイプだったのに…通知表の親が書くコメント欄に、「割と話はじっくり聞く方だと思っていましたが、学校では態度が悪いなど、問題があるのでしょうか」と書いてみました(すみません、という気持ちも添えて)。
2学期明け早々に先生から電話があり、「自分の意見を言いたいようで、先生やお友達の話をさえぎってしまうことがけっこうあったんです。こちらでも、〇君の「言いたい」という気持ちを潰さないよう、対応していきます」とのことでした。家でも折を見て「聞くときはまずしっかり聞こうね」と伝えました。2学期は国語の方は「がんばろう」でしたが、行動面は「できている」に上がっていました。先生が上手に指導してくださったんだと思います。〔Oさん、7歳〕

なぜこの評価なんだろう?とどうにも疑問を持ってしまったら、先生に聞いてみましょう。理由が分からなければ対応や改善の方法が分からないので、なぜこの評価なのかを聞くことは、クレームではありません。ただしその場合、「聞き方」には充分気をつけたいもの。

実は通知表は国が配付を義務づけているものではなく、学校が「子どものため」と任意で出しているものだそうです。年に1回だけ、あるいは通知表を出さないとしている学校もあります。
確かに「通知表をつける」ことは責任も重く、つける側と受け取る側で温度差も出てきてしまう大変な作業だと思います。コロナ禍で通学や授業スタイルも変わりつつある今、通知表も少しずつ出し方や形式が変わっていくかもしれません。
とはいえ、「子どもがもらって帰ってくる!」と思うと、心がいろいろな意味でザワッとなる通知表。初めての方も、何回目かの方も、今回の記事を参考に通知表と向き合っていただければと思います。

〔参考:文部科学省ホームページ 学習評価に関する資料資料6-2 学習評価に関する資料〕

田崎美穂子

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