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2022.04.08

下の子も中学受験させる?兄弟姉妹「中学受験」に対する親の心構え



上の子が中学受験をした親は、下の子にも中学受験をさせようと考えがちです。筆者の子どもが通った中高一貫校の同級生にも、兄姉が同じ中学校に通っている、または弟妹を受験させようと考えるご家庭が多かったです。「上の子と同じように、下の子にも中学受験を」と親が考えても、思い通りに進まないことがあります。一方、上の子と同様に下の子も地元中に進学させようと考えても、想定外のことが起こるかもしれません。
今回は、上の子と下の子で中学受験におけるタイプや考えが違う場合の心構えを紹介します。

下の子が、上の子と同じ偏差値になるとは限らない


上の子が中学受験をしても、下の子の中学受験が同じように進むとは限りません。同じ親から生まれて同じ環境で育った子どもでも、兄弟姉妹で顔や性格が違うように、得意科目や不得意科目、勉強のスタイルは異なります。
親自身は上の子の経験を通して、親として中学受験をサポートするスキルが上がっていると考えがちです。「上の子と同じ塾に通ったら、上の子と同じように合格するはず」「親の経験値は上がっているから、上の子よりスムーズに中学受験できるかも」と、中学受験させた親の多くは期待しているのではないでしょうか。

筆者もそう考えていましたが、現実は違いました。例えば、下の子どもに分からないことを質問されたときに、親は上の子のと同じテキストで同じように教えましたが、子どもが全然理解できないことがよくありました。

中学受験では、学力がテストの点数や偏差値などの数字で明確化されます。同じ親から生まれて同じ環境で育った兄弟姉妹でも、学力が異なることがあります。上の子と下の子の学力レベルが同じことのほうが少ないでしょう。
下の子の偏差値が上の子に届かないことが受け入れられない親も、「お兄ちゃん・お姉ちゃんが受かったなら、自分も受かる」と思う下の子本人も、残念ながら多いです。

上の子2人が合格した公立中高一貫校を、妹も受けたいとせがみました。上の子たちより理解が遅くて、模試の成績も悪かったので、合格は難しいかなと私は分かっているつもりでしたが、「奇跡が起こるかも」と内心期待していました。
結果は、不合格。「お姉ちゃんもお兄ちゃんも受かったんだから」と妹は当然受かると思っていたようで、大泣き。挑戦させなければよかったのか、親が無理に諦めさせても妹は納得しなかっただろうし、今でももやもやしています。(Eさん/子ども中学2年女子、高校2年男子、大学2年女子)

上の子と同じように努力しているはずなのに、上の子の偏差値に全く届かないこともよくあります。点数や偏差値など数字が思うように上がらない時でも、一番近くで見守っている親が子どもの頑張る姿を認めれば、子どもは努力が報われたと感じることができるでしょう。下の子が点数や偏差値を上の子と比べて自信をなくしているときには、中学受験は人生のゴールではなくて通過点であり、子ども自身が満足できる中学校生活を過ごすことが大切であると教えてあげてください。

逆に、下の子が合格した中学校の偏差値が上の子が通う中学校よりもはるかに高いこともあります。年長者としてのプライドから弟妹の合格を素直に喜べないかもしれません。
上の子が、自分よりも高い下の子の偏差値を受け入れるためには、親は上の子を評価してあげましょう。下の子が入試日を迎える前、受験勉強をしているうちから、上の子を「我が家の中学受験のパイオニア」と位置づけて評価することをおすすめします。

中学受験への意識を、上の子と下の子が同じとは限らない


「上の子が中学受験をしたら下の子にも」と、親は考えても下の子もはそうは考えてはいないかもしれません。一方、上の子が地元中に通っていても、下の子が中学受験をしたいと言い出すこともあります。

▽上の子が中学受験したのに、下の子はやる気がない
上の子が中学受験をして、合格した中学校に通って満足した学校生活を過ごしていたら、「下の子も中学受験させよう」と多くの親が思うでしょう。家族だけでなく周囲もそう考える傾向があります。筆者も親族や近所の方から「下の子も中学受験するんでしょ」とよく言われました。

しかし、下の子は中学受験に興味を示しませんでした。上の子のように中学受験をさせたかった筆者は、下の子が魅力を感じそうな中学受験のメリットを伝えるのに必死になりました。

・学校行事が楽しいよ
・部活動の種類がたくさんあるし、中学校では引退しないから楽しめるよ
・給食でもお弁当でも、地元中よりおいしいよ
(地元中の給食はイマイチと聞いていたので、ごめんなさい)
・校舎がきれいだよ
・中学受験の勉強は大変だけど、高校受験がないのはラクだよ

これらのメリットには、勉強に関する良さが全くありません。筆者も今なら、勉強をアピールしても魅力を感じない下の子に中学受験を勧めても無理だと分かります。しかし、当時の筆者は「上の子と同じように、中学受験に挑戦させたい」と必死でした。

▽上の子が通う地元中に、下の子が通いたいとは限らない
親も上の子も全く関心がなかったのに、下の子が中学受験をしたいと突然言い出すことがあります。

お兄ちゃんもお姉ちゃんも地元中に進学したし、妹もそのまま地元中へと母である私は疑いませんでした。それなのに、お友だちの影響で妹が「中学受験したい!」と言い出して。公立中高一貫校ならばということで中学受験したら不合格でしたが、前受けして合格した私立中学校に通っています。制服も部活も修学旅行もお金がかかって家計は大変。お兄ちゃんは気にしてないようですが、お姉ちゃんが「塾も中学校も、妹ばかり高い金額をつかってずるい」と怒っています。妹が中学校生活に大満足しているのは嬉しいですが、上の子たちにも平等にするにはどうすればいいのかと悩んでいます。(Cさん/子ども中学3年女子、高校2年女子、専門学校1年男子)

下の子が中学受験をしたくなる理由には、

・友人など周囲が受験をする
・将来なりたい職業のために、もっと勉強したい
・同学年の雰囲気が荒れている

などが挙げられます。

子どもがやりたいことはできるだけ応援したいですが、中学受験には多額のお金がかかります。中学校への学費だけでなく、交通費や中学受験の塾代など、地元中進学では発生しない費用が必要です。中学受験の塾代は、高校受験より高額になる場合が多いでしょう。
上の子が地元中、下の子が私立中にと別々の学校に進学すると、必要な金額は大きく異なります。思春期は多感な時期であり、平等さや公平性に敏感に反応しがちです。親は兄弟姉妹平等に気にかけていても、家計で教育費につかえるお金には限りがある場合がほとんどですので、注意してください。

兄弟姉妹、それぞれ別の人格をもった個人として尊重しよう


同じ親から生まれて同じ環境で育っても、上の子も下の子では中学受験への意識や考え方、向き不向きが全く違うことがあります。十人十色、百人百様といわれるように、子どもの性格や興味、能力はそれぞれ異なるでしょう。

筆者もですが、上の子にも下の子にも同じことをしなくてはと親は思いがちです。しかし、中学受験だけでなく全てのことにいえますが、親がよかれと思うことが子どもの望むことと同じとは限らないのではないでしょうか。

上の子も下の子も、親にとっては同じようにかわいいわが子。同じだけの愛情を注いでも、それぞれ別の人格を持った個人として尊重して接したいものです。親にとって想定外の状況になっても対応しやすいように、常に広く中学受験や教育費、地元中への情報を集めることをおすすめします。

大沢有貴子

大沢有貴子

家庭学習サポート専門家、ライター

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