2022.07.13
マスクが悪影響!?きれいな歯並びを目指して家庭でできるトレーニング
コロナ禍でマスクを着用する生活が続いています。マスクで表情が見えにくいから、自分の感情を表情をつかって相手に伝えることを、さぼりがちではありませんか。表情を大きく出さないことが続くと、お顔の筋肉が運動不足になるかもしれません。
子どもは身長が伸びて体重が増えるように、お顔も日々成長しています。歯並びや歯のことで気になることがあれば、早めにかかりつけの歯科医師に早めに相談することが大切です。
マスク生活のため、乳歯から永久歯へ生えかわる頃にお顔の筋肉をあまり動かさないと、歯並びに悪い影響が出ることもあります。マスク生活の今、特に成長期の子どもがお顔の運動不足になることは防ぎたいですね。
筆者は幼児食インストラクター、食育アドバイザーとして、お口の運動の一つである「噛む」ことに注目してきました。
この記事では、お顔の筋肉の運動不足を防ぐために、あごの発達をサポートするコツと親子で簡単にできるお口のトレーニングを、歯科医からの得た情報を含めご紹介します。
噛む力を鍛えるには、「硬いものを噛む」ことは必要ない
まだ永久歯が見えていない乳歯の時期でも、レントゲン撮影をすれば永久歯の大きさを予測できます。あごのサイズに対してこれから生えてくる永久歯が大きいと、あごにおさまりきらずに歯並びが悪くなるかもしれません。そのような場合でも、成長につれてあごがしっかり発達すれば、永久歯がきれいに生えそろう可能性が高まるでしょう。
あごの発達を促す方法の一つが、よく噛むことです。筆者は「硬いものを食べればいいのかな」と考えましたが、そうではないそうです。あごの骨などを痛めることがありますので、無理に硬いものを食べることは避けてください。
「前歯で噛み切る」ことでよく噛めば、あごの発達を促す効果が期待できます。野菜スティック、いかのくんせい、スティック状のパンのような細長い食べものなら、自然と前歯で噛み切って、よく噛むことができるでしょう。
料理をする際に、子どもが食べやすいようにと食材を一口大に切ることはありませんか。誤飲には注意が必要ですが、大きめの食材で料理をして、子どもが噛み切る機会を増やして噛む力を鍛えましょう。毎回の食事、全ての料理はむずかしくても、一品だけ・一つの食材だけでも大きくすれば、噛む力を鍛えてあごの発達の促進が期待できます。
遊びながら、楽しくお口のトレーニングをしよう
マスク生活で運動不足になりがちなお口のまわりの筋肉を、楽しく遊びながらトレーニングする方法を紹介します。
1~2歳には、「ピロピロ笛」とも呼ばれる吹き戻しや、ラッパのような吹く(吸う)おもちゃがおすすめです。楽しく遊ぶだけで自然にお口のトレーニングができるでしょう。
3歳を迎える頃になれば、しゃぼん玉や風船のような息を吹いて遊ぶおもちゃはいかがでしょうか。しゃぼん玉遊びに便利な道具も増えていますが、お口の筋肉を鍛えるにはストローが適しています。風船はふくらませたものを結んでも、ふくらませた直後に手を離し空気が抜いて飛ばしても、どちらも楽しいですね。
口笛やにらめっこ遊びなら道具をつかわないので、思い立ったときにいつでもお口のトレーニングができるメリットがあります。
※個人差がありますので、年齢はあくまで目安としてご参考ください。
幼児でもできる「あいうべ体操」で、舌の筋力を鍛えよう
マスクを着用していると、気づかぬうちに口が開いてしまい、口呼吸になりがちです。口呼吸には、風邪、アレルギーや呼吸器系の疾患、虫歯や歯周病、口臭などさまざまな弊害があるとされています。
さらに、口呼吸は歯並びにも悪影響を及ぼすかもしれません。その理由の一つが、口呼吸をすると舌が正しい位置におさまりにくいことです。
舌の正しい位置とは、口を閉じて舌の先端が巻き舌のように上向きになっている状態を指します。しかし、口呼吸をして口が開いていると、舌を正しい位置にキープすることがむずかしくなり、歯並びにも悪影響があるといわれています。
舌は、実はそのほとんどが筋肉でできています。マスク生活で表情が小さくなると舌の筋力も低下して、正しい位置におさまらずに、ますます口呼吸が増える悪循環になるかもしれません。
前述した楽しく遊びながらできるお口のトレーニングでも、舌の筋力を鍛えることはできます。これから紹介する「あいうべ体操」は、幼児もできる舌に特化した体操です。親子でぜひ挑戦してみてください。
- (1)「あー」と口を大きく開く
- (2)「いー」と口を大きく横に広げる
- (3)「うー」と口を強く前に突き出す
- (4)「ベー」と舌を突き出して下に伸ばす
(1)~(4)を1セットとし、1日30セットを目安に毎日続けます
歯 Navi for Kidsの子供トレーニング「あいうべ体操」より
声を出しても、出さずにおこなっても、どちらでも効果は期待できます。上記リンクのウェブサイトでは、「あいうべ体操」のやり方が子どもにも分かりやすい動画で紹介されています。
わが家では、「あいうべ体操」をお風呂の中や移動中の車の中で行いました。続けやすい方法で、「あいうべ体操」に挑戦してみませんか。
食事や遊びで無理なく楽しく、お口のトレーニングをしよう
発達途中の子どもは手足が伸びるように、頭やお顔、あごも日々成長しています。きれいな歯並びを目指すなら、お口の筋肉をしっかり動かしてあごの発達を促すことが大切です。
コロナ禍によるマスク生活が長引き、表情が小さくなるとお顔の筋肉が運動不足になる恐れがあります。食事やおやつの時間には「前歯で噛み切る」ことを意識し、今回紹介したお口のトレーニングに親子で楽しく挑戦して、お顔の筋肉の運動不足を予防しましょう。
協力/千葉市中央区 柏戸歯科医院
院長 柏戸俊彦 先生
大沢有貴子
家庭学習サポート専門家、ライター