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2018.09.19

1歳児検診前にママが気づいて「療育」へ、そのきっかけと経過は?<療育体験記>


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前回の「療育ってどんなところ? 誰でも通える? 知っておきたい療育センターのこと」(2018年8月21日公開)に続き、今回はあるお子さんとママの「療育体験記」を紹介します。
なぜ療育に通うことになったのか、普段は保育園に通わせながら、週3回療育に通うMさん(フルタイム勤務、お子さん4歳)親子の日常はどんな感じなのかなど、詳しくお話を聞いてみました。

「この子、少し違う?」というママの勘

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生後10か月で保育園に入園しました。その時点で移動はずりバイ、まったく立とうとしない(つかまり立ちすら)、指差しをしないなど、気になる点は多々ありました。でも、それまでの検診で特に何も指摘されなかったし、成長は子どもによってぜんぜん違うし、男の子は発達が比較的ゆっくりという話を聞いたことがあるので、気にしすぎず様子を見ようと思っていました。

様子を見つつ、私が特に気になったのは、
・「あー」しか言わない
・指差しをまったくしない
・ハイハイもしない、つかまり立ちもしない
・自分で手で持って食べることができない(小さくちぎって口に持って行かないと食べない)
などです。

保育園ですでに歩いている子や単語を発している子を見ると、どうしても比較してしまって…「やっぱりこの子少し違うかも」という自分の勘を信じ、保育士さんに相談し、1歳児検診を待たずして地域の発達相談センター(区の管轄)へ行きました。

療育では、歩行と言語指導を中心に

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紹介された地域の発達センターで、運動面と言語面、手作業面の簡単な検査を受けました。検査といっても、「立たせた状態で足の様子を見る」「先生が言う『音』を同じように言えるか」「大きめの積み木を5個まで詰む」「小さな瓶に入った鈴を取り出す」といったことです。
検査から1週間後、「足の筋肉があまり発達していないこと、手先が未分化(しっかり手先に指令が行っていない)であること、発語しにくい状態にある」という結果が出ました。正直ショックが大きかったですが、「自分の勘を信じてよかった」という思いもありました。
その2週間後から、月1回の歩行療育と、月1回の言語療育がスタート。まだ1歳前の赤ちゃんなので、おもちゃで遊びながら自然と歩行や発語を促す、という感じでした。この療育は、申請して区からもらう「受給者証」(福祉サービスを利用するために市町村自治体から交付される証明書)により、無償で受けられます。
地域の発達センターが非常に混んでいるということで、歩行月1回・言語月1回の計2回だけ。それでは物足りないと感じ、民間の療育を探し始めました。

保育園と療育、1週間の生活はこんな感じ

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息子が1歳半になってヨチヨチながらも歩き始めたころ、友人の紹介で、一駅先の民間の療育に通えることが決まりました。そこの療育内容は、ありがたいことに母子分離型で、「とにかく歩行が大切!」というもの。歩くことで脳を活性化させ、全身をよい状態にしていく、ということだそう。
正直「歩くことで?」と半信半疑でしたが、確かに体力もついて体幹もよくなった気がするし、何よりちゃんと手をつないで一定のペースで嫌がらず歩いてくれるようになりました(歩けるようになっても、手をつないで歩くことができない子だった)。
また歩行だけでなく、いろいろな道具を使って、言語や指先の動きを促すトレーニングもしてくれました。
保育園で健常の子と触れ合う時間も大切だと思ったので、このようなスケジュールに。

月曜:保育園(月2回、9時から地域の発達センターの療育が入るので、終了後の10時過ぎに登園)(10時~18時)
火曜:民間療育(9時~14時)
水曜:保育園(9時~18時)
木曜:保育園(9時~18時)
金曜:民間療育(9時~14時)
土曜:民間療育(9時~11時半)

火曜日と金曜日の療育へのお迎えは、母や義母に協力してもらい、月2回ある地域発達センターの療育は私や主人が時間休を取って付き添っています。
始めたころは、子どもも慣れなくて大泣きの日が多かったり、本当にこのスケジュールでやっていけるんだろうか…ととても不安でしたが、協力してもらいながら徐々に生活がうまく回っていったという感じです。民間療育は受給者証が使えないため、若干月謝が高めでしたが、そこは共働きの強みと思って乗り切っています(苦笑)。

自宅でも「すき間時間」にできる療育とは

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「療育に通いっぱなしで、自宅で何もしないという状態では、せっかく学んだものが身につきません!」療育の先生にそういわれ、確かにそうなんだけど、働いてるし、家事もあるし、なかなか時間が作れない…
どうすればいいか相談したところ、「すき間時間でいいんです。お風呂に入る前などの10~15分間だけ、しっかり座って課題をやってみてください。歩行は、週末の空いている時間に20分以上できれば充分です。もし大泣きしたり、嫌がったら無理しないこと」とありがたいアドバイスをいただきました。
これなら頑張りすぎず、肩の力を抜いてできる! 夕飯前やお風呂前など、短いすき間時間にこんなことをやっていました。

1歳前…しっかり対面で座って絵本を読み聞かせ、四角や丸だけの簡単な型はめなどを10~15分間ほど

1歳後…簡単な運筆(1本線や波線など、ごくシンプルなものからスタート)や、絵と文字のカード合わせなどを15分~20分間ほど
少しでも嫌がったら、次につながるよう、「これだけできたね」といういい状態で切り上げる工夫もしました。

そして週末は主人と歩行。といっても、近所をぐるっと回ったり、気分を変えて自転車で少し遠い公園に行き、その周りを歩くなど。
ともかく、「できることをできるときに、できないときはしない」をモットーにやっています。だから挫けず(いや、挫けそうなときもいっぱいあった!)続けられていると思います。とはいえ、子どもや私が風邪を引いて何日もできなかったり、最初から嫌がって「もう今日はやらない!」なんてもありました…

療育に通ってから丸3年、現在の様子

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3歳の時に「自閉症スペクトラム」(感情や認知などの部分に関与する脳の障がい。コミュニケーションが苦手、興味や活動が偏るといった特徴がある)の診断を受けました。いろいろ調べていたので、ショックというより「あー、やっぱり…」という感覚でした。でも1歳前から療育に通い、丸3年が経って4歳になった今、息子の大きな成長を感じています。

具体的に、できるようになったことを挙げてみると、

・「あー」しか言わなかったのに「ママ、いた」「ジュース、ちょうだい」など簡単な2語文を話すように。もちろん、スムーズな会話はまだまだですが、だいぶ意思疎通ができるようになりました。

・しっかりとユアペース(誰にでも合わせられる)で歩けるように。以前は、数歩歩いただけでじゃがみこんだり、手を振りほどいてどこかに行ってしまうことが多々ありました。

・指示に従えるようになった。前は「〇〇してね」と言っても、本人「はあ?」って感じでしたが、今は「ゴミ捨ててきてね」「食べ終わったお皿持ってきてね」などの指示をサッと聞くことができます。

・手先がだいぶ器用になった。以前は食事も自分でできなかったのに、今はスプーンやフォークでちゃんと食べられる。

・キレにくくなった。気持ちの切り替えがぜんぜんできない子で、急な場面転換や、集中していることを中断しなければいけないときも、ひっくり返って大絶叫だったんです。でも、今はよほどのことがない限り、次にパッと移れるし、大騒ぎすることもなくなりました。

細かいことはもっとありますが、この5点は私にとって大きな大きな成長です。言い方は悪いですが、とても育てやすくなりました。お互いをよく理解し合えるようになったというか。
実はまだオムツなのですが、療育の先生には「これだけ理解が深まってきて、アウトプット(発語)も増えたので、そろそろパンツにしていきましょう」ということでトレーニング中です。道のりは長そうですが、ここは頑張らねば。もちろん、無理はしません(笑)

終始笑顔で語ってくれたMさん。でも、「こうやって落ち着いて話せるようになるまで、ずっと心がグラグラしていたし、年長になったら就学のことでまたグラグラするんだろうな…」とおっしゃっていました。でも、ママの勘は正しかった! それは間違いありません。
療育は、スタートが早ければ早いほどいいといいます。それは、月齢が小さいほど脳が柔らかく、きちんと療育をすればそれをグングン吸収するから。
もし子どもに不安なところがあったり心配事があったら、近くの療育機関に問い合わせるなどしてみてください。療育によって、子どもはしっかりと成長していくでしょう。

田崎美穂子

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