2020.06.09
共働き家庭の保険を見直すタイミングはいつ?FPに聞いた!【保険のお悩み相談室】前編
仕事に、育児に、家事に…日々、時間に追われているとつい「保険」のことなんて考えてられない! 私がまさにそうでして、多種多様な保険に入りっぱなし状態。見直したいけど何をどう見直せばいいのか全くわからず、このままでいいのかな…?と漠然に思い続けています。
そこで共働き家庭の保険の悩みを解決すべく、チェックするポイントをファイナンシャル・プランナーの上級資格であるCFP資格(日本FP協会認定)を取得されている丸子いずみさんに教えていただきました。
入りっぱなしの保険、見直しのタイミングは…?
子供が生まれた時「保険に入ろう!」と意気込み、その後も入りっぱなし…という方いませんか? 私がまさにその典型で、気がつけば死亡保障に医療保険、個人年金に学資保険…色々な保険に入りっぱなし。しかも「月々○円ぐらいは皆さんかけています」と保険の営業の人におすすめされるがまま、かれこれ数年以上放置して、お金だけ払い続けていますが、このままで大丈夫なのでしょうか?
必要な保障は家庭によって違うはず。それぞれの家庭が「どう暮らしていきたいか」「どう生きていきたいか」「子どもたちをどうさせてあげたいのか」を明確にすることから始めます。それを実現していくにあたって、もしどちらかが亡くなった時、「その夢は実現できるかな…?」と考えるのです。家庭ごとに計画や思いは変わって当然だし、家を買ったり、家族が増えたり、子どもが進学したり…何かライフプランが変わったときには点検し、必要があれば見直しするといいでしょう。
その際、公的な補償である遺族年金や、勤務している会社で死亡退職金が出るかどうか…などを調べた上で、足りない分を保険で用意しよう、というのが一つの考え方なのだそう。何年も入りっぱなしして放っておいては問題がありですね。
「死亡保障」まずは夫のみ、妻の保険は後回し…で大丈夫?
基本的に保険のメインはパパで、ママ自身の保険は後回しという方はいらっしゃいませんか? 実際に私もそうなのですが、パパの保険はみっちり手厚く入っているのに、自分の保険は小額な医療保険のみ…。しかし、最近自分自身が体調を壊したり、周りで大病したママ友の話を聞いたりして、急に焦って自分自身の保険についても考え始めました。ママの保険、特に死亡保障って必要でしょうか?
ママの死亡保障についての考え方のポイントはママの収入が生活費のどの程度を担って入るかによって変わってきます。ママの収入は貯蓄に回している家庭と、二人分の収入で生活が成り立って入る、というご家庭では状況は変わりますよね。「自分がいなくなった時に家計が回っていくかどうか」「家族の目標が達成できるかどうか」と考えましょう。
考えたくありませんが、もし仮に今私が亡くなった場合、単純に今までよりも収入が減る、と言うだけでなく、家事や子どもたちのケアの部分で費用がこれまで以上に必要になります。祖父母や親族に頼ることができれば良いかもしれませんが、できない状況でしたら保育園や幼稚園のあとのシッターさんなどを考えなくてはなりませんし、小学生なら民間の学童の費用もかかりそうです。
あと、住宅ローンを組んでいる家庭で、団体信用生命保険(団信)の適用になるのがパパのみの場合、共働き家庭だと注意しなくてはなりません。パパが亡くなった場合、ローンはゼロになりますが、ママが亡くなられた場合、ローンは残ります。最近では共働き夫婦のための住宅ローンも登場していますが、要確認ポイントです。
妻の医療保険と死亡保障、どっちが必要? 保険に対する考え方
だからと言って月々の支払額もありますし、何でもかんでも加入できません。医療保険と死亡保障だったらどちらの方が必要なのでしょうか?
もし月々の保険料を抑えたければ、ママは医療保険よりも死亡保障に入っておいて欲しい、と私は思います。リスクに対する考え方は「起こる頻度×損失の量」で考えます。日常的に起こりえて、そこまでの損失でないものに対しては「貯蓄」でも備えることはできます。しかし、あまり起きないけれど、起きた時に大打撃があるというものは「保険」以外に準備できません。(損保ではありますが)自動車保険や火災保険とかも同じ考え方ですよね。死亡と医療どっち?と考えると…保険でしか手当てできないところは死亡保障なのです。
正直、今まで自分自身の医療保険は入っても、死亡保障は必要ないと思っていました。
でも具体的に考えてみると、少し考え方が変わりました。例えば、病気で10日間入院したとしても、そんな多額な医療費がかかるとは考えにくいです。たとえその時赤字になっても、その後、復帰して働けば取り返すこともできます。
保険は「どこまであれば自分たちは安心できるか」と考えます。そのために、納得するポイントも家庭ごとにそれぞれなはず。でも人間って不思議なもので、自分が「入院するかも」とは考えられるけど、自分が「死んでしまうかも」とは想像しないもののようですね。そのため、医療保険のほうが人気なのでしょう。
長年、生命保険の営業を経験してこられた丸子さんですので、妙に納得してしまいました。
確かに。自分が死ぬことは想像しにくいですが、自分が病気になったり入院したりすることは、容易に想像できてしまいます。でも、本当に助けが必要なのは、自分が亡くなった時。特に共働き家庭は、子どもが小さく「まだまだ保障が必要だな」と思う時期は、死亡保障は両親とも用意しておいた方が良いかもしれませんね。
妻の医療保険ってどのぐらい必要なの?
だからと言ってママの医療保険は入らなくて良いのでしょうか? 医療保険も入っておきたい場合はどのぐらいあれば安心でしょうか?
医療保険の考え方ですが、健康保険には「高額療養費制度」というのがあり、収入にもよりますが、1ヶ月の負担額が最大でも9万円ぐらいまでになるよう定められています。ですので、医療費そのものというのはさほど心配することもありません。入院時に1日あたり5000円もあれば十分かと思います。貯蓄がある家庭なら医療保険は必須ではないでしょう。あとママが入院した場合にもう一つ考えてほしいのが家事・育児を周囲に手伝ってもらえる環境があるかどうか。これによって医療費以外の負担額が大きく変わってきます。
自分が入院したとして…実母にヘルプをお願いしたとしても、入院費以外に交通費や外食費など出費が増えそうです。もし家族に頼れる環境にない場合は、ママ友やご近所ネットワークに頼るか、もしくはハウスキーパーさんやベビーシッターさんをお願いするしかありません。こういったサポート体制によっても、医療保険の考え方が異なるわけですね。
保険の考え方や入り方って本当に千差万別なのですね。言われるまま入ったものだから、自分たちにとってどのぐらい必要かも把握しないまま「なんとなく安心」だけで払い続けていました…!今回のお話を踏まえて、全体の見直しを考えるのと、自分自身の保険を(死亡保障も医療保険も)検討してみようかと思います。日々の仕事と家事育児に追われて、見直す暇もない…と放っておくのはちょっと危険だし、払っているお金がもったいないな、と反省しました。後編ではもう少し細かく子供の学資保険やがん保険、あと保険のプロであるFPさんに相談する時の情報などもお伝えいたします。
【専門家PROFILE】
丸子いずみさん●20年以上、保険会社で勤務した後、「お客様の側に立ってお役に立ちたい」との思いからFPとして独立。世界24か国・地域で導入されている世界共通水準のファイナンシャル・プランナー資格であるCFP資格を取得。相談会やセミナーなどでも、専門用語をできるだけ使わず、分かりやすいと定評がある。ご自身も三人のお子さんを育てるワーママ。問い合わせはこちらから。
※この記事は2018年7月に公開されたものです。
飯田りえ
編集者/ライター