2021.03.17
双子は帝王切開でしか産めない?双子の出産で準備しておきたいものと心構え
双子を妊娠し、出産予定の病院に行くと、まだ安定期にも入っていないのにまずは出産の話をされるケースがほとんどです。そして、双子の出産というと帝王切開を行ったというママが多いもの。そこで今回は双子は帝王切開でなければ産めないの?、帝王切開が決まったら準備したいものなどママたちの意見も紹介しながら解説します。
双子って帝王切開?経膣分娩できないの?
双子を産んだから話を聞くとほとんどの人が帝王切開で出産しているようです。経膣分娩では産めないの??と疑問に思う方も多いのですが、実は双子も経膣分娩で産むことは可能です!しかしそれには、条件やメリットデメリットがあります。
経膣分娩の条件
まずは双子を経膣分娩で産む場合の条件を見ていきましょう。経膣分娩で産むときには以下の条件を満たしていることが必要です。
・妊娠 34週以降
・第一児が頭位であること
・両児とも推定体重が 1800g 以上あることが確認できている
・胎児のコンディションが良好
・前回帝王切開で子供を出産していたり子宮の手術を受けたことがない
ただし、この条件をすべて満たしいているからといって必ずしも経膣分娩で産むことができるというわけではなく、地域によって経膣分娩可能な地域と不可能な地域があるようです。
なぜ地域によって経膣分娩NG?医師から聞いたのは意外な事実
筆者は神奈川県で双子を帝王切開で産みました。その時、かかっていた病院は地域でも有数の大きい病院であったため経膣分娩ができないか確認をしました。その時医師から言われたのは、この地域に双子の経膣分娩に対応できるほど熟練した医師がいないこと、新生児集中治療室がひっ迫しており、もしも分娩中に子どもに何かがあった時にすぐに対応できる医療体制を整えられないことが経膣分娩ができない理由であると言われました。
ちなみに名古屋や大阪など関西や東北で双子を出産したママたちは条件を満たしていれば経膣分娩でOKといわれたとのことです。つまり、地域の医療状況によって経膣分娩の可否が決まるということになります。
経膣分娩で双子を生むメリットとデメリット
経膣分娩でふたを出産するメリットは主に3つあります。1つは、より自然な分娩が期待できることです。赤ちゃんのタイミングで赤ちゃんのリズムに合わせて分娩ができるということです。2つ目は出血量の減少と輸血量の減少です。帝王切開は手術となり子宮を切るため、今まで赤ちゃんに栄養を与えていた血液量豊富な子宮からの出血量は多くなり、輸血が必要となる可能性もあります。経膣分娩であればこれを回避できる可能性が上がります。
3つ目は感染リスクの減少です。帝王切開では手術をして外部に腹腔内をさらしていることや、傷を作るという観点から感染リスクは高くなってしまいますが、経膣分娩であればこのリスクも低くなるということです。
デメリットとしては、臍帯下垂(さいたいかすい)、臍帯脱出(さいたいだっしゅつ)のリスクがあるということと、安全性についてです。双子については例えば1人目が生まれた時点で陣痛が消失した、1人目が生まれた後2人目の心拍が弱くなったなどのリスクもあります。双子の経膣分娩の成功率は一般的に70~80%といわれ、決して低くはありません。ですが、医療機関によって成功率は異なるもののやはり8~9例に1例は片方もしくは両方が帝王切開になるリスクがあるということも、双子を経膣分娩で産む際には念頭に置いておくべきといわれています。
双子を帝王切開で産むときの流れについて
これから双子を帝王切開で産むという方がイメージできやすいように流れをご紹介します。
帝王切開前日から当日
双子の場合ほとんどの方が管理入院などで前日までに入院をしており帝王切開の説明も1週間前に受けているはずなので前日もいつも通りに過ごすことができます。ただ、夕食以後の食事は摂れないので夕食はしっかりと食べておきましょう!
帝王切開当日から子どもが生まれるまで
帝王切開当日は最後のNSTを行った後は帝王切開の時間まで術衣を着て待機です。周りの双子ママも帝王切開前の最後の大きなおなかを写真におさめているので余裕があれば写真に収めておけると良いでしょう。今まで切迫早産で絶対安静だった方たちももう安静にしている必要がなくなるので多くの場合手術室まで徒歩もしくは車椅子で行きます。
手術室に入室後は、背中から麻酔のチューブを入れて、麻酔をかけます。下半身の感覚が無くなったことを確認できたら帝王切開が始まります。帝王切開中は適宜、助産師さんが頭側で帝王切開の進捗状況を説明してくれます。医師も赤ちゃんを取り出すときには取り出す旨を伝えてくれます。
取り出した後赤ちゃんの健康状態を確認するため、取り出してすぐの顔は見れませんが5分以内には赤ちゃんを連れてきてもらえ、対面することができます。
双子帝王切開の場合バースプランはあまり聞いてもらえないことも
最近、出産をするときにバースプランといいどんなお産にしたいかなどの希望を聞いてもらえるものがあります。双子帝王切開の場合、手術扱いになることや母子の健康状態が第一優先となることもあり基本的にあまりバースプランを聞いてはもらえません。私が帝王切開をした病院でもバースプランの実現はできないと言われました。唯一できたのがBGMを変えることでした。
これは病院によっても異なるので、バースプランでやりたいことがある場合は、その旨をあらかじめ確認しておきましょう。
帝王切開終了~帝王切開後
子どもを産んだ後はそのまま傷を閉じ終了です。よく、子どもを取り出すときには押されている感じがする、傷を縫っている時はチクチクするなんていう方もいますが、私自身は何も感じませんでした。終了後はリカバリー室で1時間ほど安静にしてから病室へ戻ります。
病室へ戻った後の対応についても医療機関によって異なるようですが、私がいた病院は本人が希望すれば帝王切開直後から母子同室をすることができます。私自身は1日目は母子別室にさせてもらい、翌日の午後から母子同室を始めました。痛み止めの薬は背中のチューブに入っているため、自分の意志で使えるほか、飲み薬の痛み止めなども準備されているため、適宜活用することができますので痛みに弱いという方も不安なく過ごせるかと思います。
双子帝王切開にこれは用意しておいて!!
帝王切開を経験した双子ママたちが帝王切開を受けるならこれは用意しておくべきというものをご紹介します。
着圧ソックス
・帝王切開後は予想以上にむくみました!!着圧ソックスは必要です!(Mさん・子ども2歳)・帝王切開中やその後にも病院で購入している着圧ソックスを着用するのですが、しばらく必要です!洗濯するから2~3枚はマストです。(Rさん・子ども3歳)
傷保護テープ
・術後傷が安定してからすぐにこの保護テープを使うことで傷が目立たなくなると助産師さんに言われました。お腹の傷の痛みに耐えながら病院の売店で購入しました。助産師さんに言われたのが術後3日目。もっと早く言ってよ!!って思いました。生まれる前に買っとくといいですよ。(Rさん・子ども2歳)・今回2回目の帝王切開なのですが、1回目の時もこの傷保護テープを活用してだいぶ薄くなりました。双子のママ友はこのテープのことを病院で言われなかった?らしく、使っていなかったので、2年経った今でも結構目立っているようで、使っていなかったことを後悔していました。(Sさん・子ども2歳)
ヘソまで覆える下着やパンツ
・子どもが生まれれば体形が戻って普通の服が着れる…と思ったら双子の出産後はすぐに体形が戻りません。それどころが、傷が痛くて普通の下着やパンツは履けません。出産前から使っているものはしばらく使えます!(Tさん・子ども1歳)
・マタニティーの服など買うのはもったいないと必要最低限の用意でしたが、産後の傷の痛みで、下着を買い足しました。そのくらい、しばらくは下着のゴムや締め付けが傷に響きます。(Rさん・子ども2歳)
双子ママたちのリアルな声、ぜひ参考にしてみてくださいね!
双子帝王切開の噂の検証します
最後に双子帝王切開においてママ友の間でよく言われる2つの噂を検証します。
帝王切開後は後陣痛がひどいらしい
これは双子のみならず帝王切開による出産でよく言われることです。帝王切開の場合は傷が子宮のところにあることに加えて陣痛を体験していないので
後陣痛が強い傾向にあると考えられています。
・1人目を経膣分娩して、次の子どもが双子で帝王切開で産んでいます。1人産んだ経験があることも関係しているかもしれませんが、とにかく1人めより後陣痛ひどかったです。(Tさん・子ども3歳)
・麻酔が切れた後の痛みが尋常ではありませんでした。傷の痛みかと思ったら。助産師さんにこれが後陣痛!といわれました。痛み止めを服用して対処してました。(Rさん・子ども2歳)
双子出産後は次の妊娠や出産が難しい
帝王切開後は子宮にメスを入れているということもあり、傷がうまくくっついていないと受精卵がくっつきにくくなり妊娠が成立しづらくなることもあるようです。また、帝王切開後1年待たずに妊娠すると子宮破裂の恐れもあるので、次の妊娠については医師と十分に相談されることをおすすめです。
双子妊娠によって子宮がかなり大きくなったことや大きくなった子宮によって卵巣の位置が通常と異なる部分にあることが分かり、次の妊娠は難しいのでは?といわれました。(Rさん・子ども2歳)
・婦人科疾患を疑われ、たまたま受けた精密検査で、卵巣の癒着を指摘されました。3人目妊活をしていましたが医師からもこの状態は難しいと言われ、あきらめました。(Sさん・子ども2歳)
ですが、帝王切開で双子を出産しても3人目を妊娠し無事に出産されているママもいます。子どもは授かりものでもあるのでこの例はあくまで一例と捉えておくとよいでしょう。双子の出産は、緊急帝王切開でない限り、医師に質問できる時間の余裕がたくさんあります。気になることは適宜医師に質問をして、不安なくお産を迎えてほしいです。
ふう
双子ママ看護師