仕事、妊娠、出産、子育て、夫婦関係…働くママを応援| BRAVA(ブラーバ)

2024.01.08

男性妊活中に積極的に食べてほしい食材と気を付けたい生活習慣


c31372ed3229ac61d2ea2380e89da74f_s
男性にも妊活という言葉が知られるようになってきました。情報番組でも取り上げられたり、ネットニュースのコラムテーマに取り上げられたりすることもあります。そして男性自身が妊活の「主役」であることも、少しずつではありますが知られるようになってきています。

これまで女性が主役だと思われていた妊活だけに、女性が食べた方が良いものや栄養素・女性用のサプリメントなどの情報はネットでもたくさん流れています。でも男性妊活に良いものなどは、まだまだあまり知られていない段階ですよね。そこで男性が妊活中に食べた方が良いものや、おすすめのサプリメント、食べ方や選び方に注意した方が良い食材や、サプリメントを忘れずに飲む方法をご紹介します。

男性の妊娠力は精子だけじゃなかった!精液にも重要な成分が

1131c4b3a7a836baf61ae7ae3cd4f8e6_s
かつて男性の不妊検査で行われていた精液検査は、精液中にいる精子だけが検査対象になっていました。でも、現在では男性の妊娠力があらわれているのは精子だけでなく、精液の粘液部分でもあることがわかって来ています。特に精子の運動量は精液成分に大きく左右されているということが、広島大学の島田教授の研究で明らかになっています。

精液が男性妊活に必要とされる栄養素に富んでいれば、精子がそれを吸収して運動率にも影響を及ぼします。これまでは精子自身の運動性や正常性ばかりが取りざたされてきましたが、それ以外の部分にも男性妊活で気を付けたい点はたくさんあったのです。

さらに加齢によって精液も酸化することが分かってきました男性ホルモンであるテストステロンは、血液より精液に10倍以上多く含まれています。テストステロンは数種類ある男性ホルモンの大部分を占めるホルモンで、20代から30代にかけて半分以下に減ってしまいます。40代になるとさらに減ります。逆に増えるのがDNAの酸化の指標となる成分量はどんどん増えていくのです。こういった現象も、加齢による不妊を加速させる要因なのです。

それでは次項から、精液や精子に関する、男性妊活に特に必要な栄養素と、それらが摂れるおすすめの食材、そして注意したい食生活等をご紹介します。

亜鉛

ff60cf3afcc9c7b34cdbbdf2e997f4e6_s
亜鉛は男性のミネラルと言えるほど、男性機能に深く関わるミネラルです。アメリカでは、ダイレクトに「セックスミネラル」と呼ばれているほどです。

亜鉛は男性の性的活動に無くてはならない成分
亜鉛は男性の前立腺・性腺や精液に高い濃度で存在しています。さらに性的な機能を正常に保つ力があり、男性ホルモンであるテストステロンとも関係があると考えられています。
亜鉛はタンパク質合成や細胞分裂に不可欠で、性ホルモン合成・精子生成など、男性の妊娠力になくてはならない成分です。精液中に亜鉛が多いほど精子は多く存在するとされています。普通の食生活を送っていればあまり不足しないと言われています。

亜鉛を含む食べもの
カキ・ホヤ・ホタテ・ズワイガニ・カラスミ・豚レバー・牛赤身肉・玄米・納豆

このような食べ物に豊富に含まれています。でも一度に大量に摂ると吸収率が低下してしまいます。そのため、少しずつ毎日、もしくは毎食食べると吸収率が低下せず、効率的に摂取できます。
レバーや赤身肉を食事に取り入れたり、ご飯を玄米に替えてみたり、朝食や夕食に納豆を加えてみたりと、いろいろ工夫してできるだけ食べるようにしたいですね。

亜鉛不足になりやすいケース
極度のダイエットをしている人やベジタリアンの人は、肉や魚などのタンパク質を食べることが減るため、亜鉛が不足することがあります。亜鉛が不足すると味覚障害を引き起こすため、妊活時以外でも不足に気を付けたい成分です。
さらに食品添加物のリン酸塩・ポリリン酸などの化学系成分は亜鉛の吸収を阻害します。そのためジャンクフードばかり、インスタント食品ばかりの食事や、スナック菓子などの暴食が常になっている人なども不足する可能性があります。

ポリアミン

a94f677d0b30e947a6e63aab2cef7288_s
ポリアミンは体内に20種類以上存在し、細胞分裂時に遺伝子をコピーする役割を担っている成分です。細胞分裂が正常に行われるためには絶対に欠かせない成分のひとつで、新陳代謝を活性化させたり老化を予防する効果があったりすると言われています。特にスペルミンは精液中にたくさん存在し、精子にとって欠かせない成分です。

スペルミンは細胞分裂&DNA複製に欠かせない!
ポリアミンは細胞をもつさまざまな生物に存在している成分で、生物の生存には欠かせません。ポリアミンが不足すると、細胞はどんどん老化してしまいます。新陳代謝に不可欠な成分なのです。
その中でも精液に多く含まれているのはスペルミンという成分です。細胞の新陳代謝に大きく関わり、前立腺や精液中に存在しています。細胞分裂に関わるため、精子の生成のほか運動性をアップさせるためにも役立つため、生殖能力の維持や向上に欠かせないと考えられている成分です。
スペルミンをはじめとするポリアミンは主に体内でアルギニンやオルニチンといったアミノ酸から合成されますが、20代をピークに合成の活性化が低下し、精力や精子の質にも影響を及ぼします。
スペルミンはDNAの構造を安定化させ、ポリアミンのなかで活性がもっとも強いと言われています。しかし体内では主となる3種類のポリアミンの中でも最後に合成され、最初に分解されてしまいます。

スペルミン等ポリアミンを生成するアルギニン&オルニチンを含む食品
ポリアミンを多く含み、直接摂取できる食べ物をご紹介します。
白子・チーズ・魚卵・大豆・納豆・味噌・醤油・しいたけ・マッシュルーム・鶏肉

アルギニン(ポリアミン合成に関わるアミノ酸)を含む食材
豚肉・大豆・豆腐・きなこ・鶏肉・トビウオ・サバ・カツオ・かつお節・くるみ

オルニチン(ポリアミン合成に関わるアミノ酸)を含む食材
しじみ・まぐろ・ヒラメ・チーズ・えのき

スペルミンをはじめとするポリアミンは大腸の腸内細菌が関わる
ポリアミンの生成は大腸の腸内細菌が関わっています。最近ではプロバイオティクスビフィズス菌の一種が関わっていることが分かってきました。でもポリアミンの合成は年齢とともにがっくり減ってしまうため、ポリアミンを含む食材やアルギニン・オルニチンを含む食材、をバランスよく食べ、サプリメントも活用すると効率的に補給できます。

クレアチン

0b252337828f040dbdb8f3329346ac68_s
クレアチンはアルギニン・グリシン・メチオニンという3種類のアミノ酸から作られています。普段は95%が骨や筋肉の中に存在しています。

クレアチンは精子の運動性持久力を高める
クレアチンは、筋トレを行う方にはとても身近な成分のひとつです。運動パフォーマンスを高めるために役立ちます。筋力や瞬発力など、筋肉が強く働くときのエネルギー源として使用されます。さらに一度ついた筋肉を落とさないためにも役立ちます。
妊活的な作用としては、精子の運動性の持久力を高めます。精子は3~7日生きますが、前へ前へと進む運動性があっという間に失われてしまうと卵子にたどり着くことができなくなってしまいます。つまり、運動性はとても重要な要素なのです。その運動性に大きく関わるのがクレアチンです。

クレアチンを多く含む食材
クレアチンは生魚や赤身肉などに含まれていますが、加熱すると6割以上が壊れてしまいます。クレアチンを多く含む食材です。

豚肉・牛肉・まぐろ・サケ

クレアチンは過剰摂取とエネルギー不足に注意
クレアチンはサプリメントなどを長期期間服用したり、過剰摂取したりすることで心臓や腎臓に負担がかかります。クレアチンの血中濃度が上がると尿量が増え、尿を作り出す腎臓や体内の水分センサーになっている心臓に負荷がかかってしまうのです。
さらに激しい筋トレや運動を日課として行っている方は、クレアチンが筋力パフォーマンスの方に使われてしまい、常に不足状態に陥ってしまうことがあります。通常の生活をしていれば食べ物からの摂取で充分足りるのですが、妊活中は運動と精子への影響のバランスに注意したいですね。

男性ホルモン(テストステロン等)に関する食べ物

402ae9a562b1f1404e5e55ce8f99ed8f_s
性ホルモンである男性ホルモンは、男性の精力増強をはじめ精子の生成などをつかさどっています。年齢とともに減少していく成分でもあります。なかでもテストステロンは男性ホルモンの95%を占めており、肉体的にも精神的にも性欲の面でも「男性」らしさを作り出します。

男性ホルモンを増強する食べ物
男性ホルモンを増強する食べ物には、古くから「精がつく」と言われる食材が多数あります。

・牛肉・豚肉・カツオ・大豆・卵・タマネギ・ネギ・ニラ・ニンニク・にんじん・せり・みつば・パセリ・セロリ・赤いぶどう・ブロッコリー・カリフラワー・大根・キャベツ・ザクロ・山芋・マカ

・かつおやまぐろにはセレンという成分が多く含まれます。セレンは抗酸化作用が強い成分で、精子の数や運動率に大きく影響を及ぼします。
・牛肉など赤身肉にはL-カルニチンが多く含まれ、海外では男性不妊の治療や妊活に欠かせない成分です。精子の数や運動率に関わります。
・にんじんをはじめとするセリ科植物は、テストステロンをはじめとする男性ホルモンと似た構造を持っており、働きをサポートすると考えられています。女性にとっての大豆イソフラボンのような食材ですね。
・赤いぶどうに含まれるボロンは、体内のテストステロン値を高める成分であることが海外の研究で明らかになっています。
・キャベツなどアブラナ科の野菜にはジインドリルメタンという成分が含まれ、ホルモン代謝に深く関わります。テストステロンの変質を防いでくれる成分です。
・ザクロはテストステロン値をアップさせ、抗酸化作用も持ち合わせています。
・山芋はDHEAという男性ホルモン値を上げる効果を持ち、漢方薬としても使用されています。
・ネギの仲間は男性ホルモンの一種アンドロゲンの生成促進効果を持ちます。
・マカはカブの仲間ですが、アンデスの高地で栽培され、主にサプリメントでの摂取になります。

男性ホルモンの低下・減少を防ぐ食べ物

95ca8f5ce68c2569d6619eec54e3a735_s
男性ホルモンは活性酸素やストレスの影響を受けて、加齢とともにどんどん減少してしまいます。そのために、活性酸素を除去する抗酸化作用をもつ食べ物やエネルギーを生み出す食べ物を積極的に食べ、ストレスに負けない生活習慣を身につけることが重要です。

抗酸化作用を持つ食べ物
○リコピン…非常に優れた抗酸化物質として知られています。さらに精巣中に高濃度で存在し、精子の状態を良くすることに貢献していると考えられます。
・リコピンを多く含む食べ物…トマト・すいか(トマトの1.5倍も含まれる)

○シトルリン…高い抗酸化作用のほか、血管を拡張させる血行促進作用も持っています。そのため、勃起障害などにもよい効果が期待できると考えられています。
・シトルリンを多く含む食べ物…すいか(白い皮部分)・きゅうり・うり・メロン

○ビタミンE…抗酸化作用の強いビタミンとして知られています。
・ビタミンEを多く含む食べ物…アーモンド・ピーナッツ・サフラワー油・アボカド・キウイフルーツ

○ビタミンC…抗酸化作用が強く、ビタミンEと並んで老化予防のビタミンとして知られています。
・ビタミンCを多く含む食べ物…アセロラ・パプリカ・芽キャベツ・キウイフルーツ・レモン・柿・サツマイモ・ジャガイモ

○コエンザイムQ10…年齢とともに減少していく補酵素の一種です。サプリで人気です。
・コエンザイムQ10を多く含む食べ物…イワシ・サバ・イカ・豚肉・牛肉

エネルギーを生み出す食べ物
○ビタミンB群…ビタミンB1やB2・B6・B12をはじめ、ナイアシン・葉酸・ビオチンなどを総称したビタミンです。クエン酸サイクルというエネルギー生成の代謝システムに欠かせず、生命維持に大きく関わります。特に葉酸は有名で造血のビタミンとも呼ばれ、細胞分裂・DNA合成にも関わるため、妊活ビタミンとして知られるようになりました。
・ビタミンB群を豊富に含む食べ物…菜の花・枝豆・ほうれん草・アボカド・ひよこ豆・かつお・まぐろ・レバー類・カキなど

 

参考:妊活にも◎市販の葉酸サプリおすすめランキング|BASEクリニック

男性の妊活中に注意したい生活習慣・食生活習慣

5be323fe875f49e8225b3bb4a128c7f1_s
男性の妊活中には注意したいこともいろいろあります。生活習慣・食生活習慣からそれぞれ見てみましょう。

<男性妊活中に注意したい生活習慣>

○睡眠の質を高めしっかり眠る
睡眠の質を高めてしっかり眠ることは、ストレスの発散や成長ホルモン分泌・新陳代謝にも深く関わります。よく眠れないという方は特に注意が必要です。特にPCやスマホのブルーライトは深い睡眠を阻害すると言われています。

・布団に入ってからスマホなどの操作を続けない
・寝る直前に入浴しない
・満腹・空腹時に入眠することを防ぐ
・寝る前に白湯をゆっくり飲む
・照明はしっかり落とし暗闇を作って休む
・朝一番にしっかり朝日を浴び、外気を吸う
・朝食にトリプトファンを含む炭水化物や魚・チーズ・卵・乳製品・ゴマを食べる。

トリプトファンは、睡眠ホルモン・セロトニンを生成する必須アミノ酸です。セロトニンからメラトニンが生成されるため、とても重要な成分です。朝食にトリプトファンを食べると、ちょうど寝るころに成分が脳に到達すると言われています。

○睾丸を高温にさらさない
熱すぎるお湯につかったり、サウナに長時間入ったりすることは、高温に弱い精巣にダメージを与える可能性があります。やめておきましょう。またノートパソコンを膝の上で使うこともお勧めできません。

○自転車に長時間のらない
自転車のサドルの形状上、自転車こぎは精巣にダメージを与える可能性があります。

○タバコや深酒をやめる
タバコは百害あって一利なし、です。精子の減少にもつながります。妊婦さんや赤ちゃんにも良くありませんので、この機会にやめましょう。またお酒を大量に飲むことで活性酸素が作られやすくなります。

○適度な運動を心がけメタボから脱却する
適度な運動を心がけて、メタボリック症候群から脱却しましょう。その先に待っているのは生活習慣病です。糖尿病などは精力減退などに大きく影響します。

男性妊活中に注意したい食生活習慣

db54c62bfa5478426bb3dce558b0b343_s
亜鉛の項でもご紹介しましたが、食品添加物のリン酸塩・ポリリン酸などの化学系成分は亜鉛の吸収を阻害します。それ以外にも、保存料など食品添加物が多く含まれている食べ物は避けるようにしたいですね。精子は、これから生まれてくる赤ちゃんになる細胞です。

また医学界では環境ホルモンが精子の減少に関与していると考えられ、研究が進められています。環境ホルモンは内分泌かく乱作用を持っている物質で、ダイオキシンや農薬・酸化防止剤などに含まれます。食べ物やサプリメントを選ぶ際は、できるだけ農薬の規制が厳しい国産のものや、有機食材を使用しているものを選びましょう。

男性には不妊の可能性が5割近くあるほか、さまざまな不妊要因が潜んでいる可能性があります。さらに男性が作り出す精子は、赤ちゃんの生命を半分背負っている大切な存在。それは赤ちゃんの未来を半分背負っているということでもあります。普段あまり食生活や生活習慣にこだわらない男性が妊活に取り組むことはとても面倒なことかもしれませんが、ひとりの人間の生命と未来を背負う身なのだということを忘れず、取り組むよう心掛けたいですね。

 

 

【不妊(不妊症)について】

どういう状態を不妊症というの?(1)
どういう状態を不妊症というの?(2)
どういう状態を不妊症というの?(3)
どういう状態を不妊症というの?(4)
不妊の原因って一体なに? (1)
妊活ブログ
不妊治療費用はいくらかかる?
不妊検査って何をするの?(1)
不妊検査って何をするの?(2)
妊活中の食生活とサプリ
2人目不妊について(1)
2人目不妊について(2)
無精子症でも赤ちゃん誕生に成功
妊活の第一歩は、定期的な現状把握
卵巣年齢を測定するAMH検査

河野まちこ

, , , , , , ,