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2018.05.27

不妊は女性だけに問題があるわけじゃない。男性(夫)側に原因がある場合も


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結婚から1、2年が経過して、避妊もしていないのに赤ちゃんができないと、だんだん「なぜ赤ちゃんができないんだろう」と疑問がわいてきますよね。そのまま3年、4年が経つと「赤ちゃんは作らないの?」「産婦人科で検査はしてもらった?」という周囲からの声がちらほらかかりはじめるでしょう。

そこで不安になり、ネットで赤ちゃんができないことについて調べたときに、初めて直面するのが「不妊症かもしれない」という現実です。毎日仕事で忙しくしていたり、赤ちゃんを授かることに焦りを感じていなかったりすると、あまり意識せずに過ごしてしまうかもしれません。でも、結婚後3年、4年と経過していて、避妊せずに性交渉をもっているのに妊娠しないのであれば、その状態はすでに「不妊症」です。

まず知っておきたい不妊の現状

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不妊は、日本産科婦人科学会で「妊娠を望む健康な男女が避妊をしないで性交をしているにもかかわらず、1年以上妊娠しない状態」と定義されています。避妊をしないで普通に性交渉を持っているカップルの場合、不妊症でなければ半年で70%、1年で90%が妊娠するとされています。また2年目にはその割合は100%に達すると言われています。しかし、現実には妊娠しないカップルもいます。

実際には1年で8割程度、2年で9割程度のカップルが妊娠し、1年目は2割、2年目には1割のカップルが妊娠しない状態が続いています。つまり、10組に1組は不妊状態にあるカップルとなります。実際に不妊症と診断されるカップルは1割ですが、「自分たちは不妊かもしれない」という不安を覚えて不妊検査を受けてみるカップルは、いまや1/6組に達しています。さらに「不妊症なのかな?」と不安を感じたことがあるカップルにいたっては、1/3にのぼります。

私自身、結婚してから子どもを産むまで3年間ありましたが、何度か期待しては生理が来るということを繰り返すうちに「もしかして不妊症?」と不安を覚えました。結局その後妊娠しましたが、生理が来るまでの不安感と、生理が来た時の落ち込みは今でも鮮明に覚えています。私は思春期に、女性ホルモン分泌異常で不妊治療に近いホルモン治療を8年間受けてきたので、「あんなに痛い思いもしたのに、あんなに嫌な思いもしたのに、どうして?」という絶望感もありました。

不妊に悩む多くの女性は、きっと同じように「なぜ私が?」「どうしてこんな目に遭うの?」という気持ちを抱えているのではないでしょうか。妊婦さんや赤ちゃんを幸せそうに抱くママたちの姿を見て、湧きあがる嫉妬心にじっと耐えている女性も少なくないと思います。その気持ちは赤ちゃんを望んでいるのになかなかできない女性なら誰でも理解できるものでしょうし、当たり前の感情だと思います。

男性側にも不妊の原因があるケースが存在している

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もうひとつ知っていただきたいのが、不妊の男女比です。妊活や不妊治療という言葉は以前、主に女性がターゲットになっていましたよね。でも、WHOの調査によると、不妊に悩むカップルのうち、24%は男性に不妊原因があるケースなのです。また24%は男性にも女性にも不妊原因があるケースで、合わせれば48%、つまり約半数は男性にも不妊原因があるのです。

妊活や不妊検査は、女性だけが受けても片手落ちになってしまうということです。不妊は、男女が心をひとつにし、協力し合いながら乗り越えていくべき問題です。授かる赤ちゃんは、夫婦二人の愛の結晶。男性にも不妊原因があるケースは珍しくないということを、パートナーにも理解してもらいましょう。

男性不妊はどうやって見分けるの?

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では、男性不妊はどう見分ければよいのでしょうか。たとえば男性がEDで性交渉ができなかったり、「忙しくて疲れているんだよ」といっていつも奥様の誘いを断る「セックスレス」状態にあったりすれば、赤ちゃんができない原因は男性側にあることがすぐに分かりますよね。でも、ほとんどの夫婦は、「夫と妻のどちらに原因があるのか、そしてその原因が何なのかわからない」という状態だと思います。

不妊の原因が男性にあるのか、女性にあるのか、そしてそれがどういったものかをしっかり把握するためには、病院で検査を受ける必要があります。よく耳にする「不妊検査」です。不妊検査といっても、男性と女性が同じ検査を受けるのではなく、それぞれ受ける項目も、検査の回数も異なります。また基本的な検査の指標はありますが、病院によっても項目が若干異なる場合があります。

ここでは、基本的な検査をご紹介します。
女性のための検査
○基礎体温表
朝起きて身体を動かす前の基礎体温を毎日測り、データを表にしたものです。生理から生理までの1周期(およそ28日)だけでは正しい情報が得られないので、少なくとも2~3ヶ月ほどは続けて測ったものを持参したいですね。
○頸管粘液検査
子宮頚管には、精子を迎え子宮体部まで泳いで行けるように弱アルカリ性の粘液が満たされます。膣は弱酸性のため、精子には厳しい環境なのです。この頸管粘液の様子を見るための検査です。
○フーナーテスト
朝性交をして、その後精子が子宮内でどれくらい動いているかをチェックするための検査です。
○子宮卵管造影検査
子宮や卵管に詰まりや異常がないかをチェックするための検査です。
○経腟超音波検査
子宮内膜症や子宮筋腫・卵巣嚢腫などの病気がないかを、経腟超音波専用の内診機材でチェックします。

先ほどもご紹介しましたが、病院によって検査の項目は異なります。

○血液検査
○ホルモン検査

といった項目が増える場合もあります。また、検査の多くは全額自己負担になります。自己負担額は病院によって設定金額が大きく異なるため、検査を受ける前に病院側に問い合わせ、初日にはどんな検査を受けるのか、初診料と検査料は合わせていくらくらいになるのかをチェックしておくと安心です。

不妊検査は産婦人科で受けることができます。でも男性が産婦人科で検査を受けることは、ちょっと抵抗があるかもしれません。そんな時は総合病院の不妊外来や一般の泌尿器科のほか、東京など大都会ならメンズ専用のクリニックで受け付けています。まずは電話などで不妊用の精液検査を受けることができるか問い合わせてみてください。

女性は、不妊検査のために産婦人科をひとりで訪れなければいけないことに不安を覚えるかもしれません。また、産婦人科の先生からさまざまな説明を受けたり、今後の検査や妊活セミナーの予定などのお知らせがあったりと、こまごまとした手続きがある可能性もあります。そのため、夫が産婦人科で検査を受けても受けなくても、初診の時は一緒に行ってもらうと安心ですね。冷静に事実を受け止めてくれるパートナーがそばにいるだけで、心強いものです。

男性不妊のさまざまな症状

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男性不妊には、どのような症状があるのでしょうか。
その前に、男性の精子や生殖機能がどういった状態なら正常なのかを知っておく必要があります。
精子は1日に1億から5億ほど生産され、同じくらいの量が一度の射精で排出されます。1mlの精液中には、6000万~1億の精子が含まれています。精子は顕微鏡で見るとオタマジャクシのような形をしています。頭の中にDNA情報を詰め込み、お腹のミトコンドリアの力でしっぽを振って前進します。前へ前へと泳ぐ性質があり、どれくらい元気に泳ぐか、射精されてからどのくらいの時間動いていられるかも重要なポイントになります。

精子は酸や熱に弱いナイーブな存在です。精液は弱アルカリ性で、センシティブな精子を守っています。しかし女性の膣内は弱酸性に保たれているため、ここでほとんどの精子が死んでしまいます。子宮頚管までたどりつくと弱アルカリ性の粘液が迎えてくれます。そこで子宮の中を3~7日間前進し続け、運よく卵子に出会えれば受精となります。この段階で精子は数百にまで減っています。もし卵子に出会えなければ、そのまま死んで女性の身体に吸収されてしまいます。

健康な精子は一度の射精で1~5億発射されます。運動率が高くて前に力強く前進し、運動性を失わずに卵子を目指します。しかし射精後2時間もすれば前進運動できる精子は5割ほどに減ってしまいます。また奇形率が非常に高く、精子のうち3割が正常であれば、正常値と言われています。実は受精することはとても大変なことなのです。

東京でメンズヘルスクリニックを開業している男性不妊の専門家、辻村医師が紹介している男性不妊症の症状からご紹介していきます。(メンズヘルスメディカルhttps://menshealth-md.com/male-infertility/syoujyou/)

○無精子症…男性の精液の中に精子がいない状態。もしくは運動率が非常に低い状態。作られた精子が精管の詰まりなどの原因で外に出られない閉塞性と、精子自体が作られない非閉塞性があります。
○乏精子症…精液に含まれる精子の数が非常に少ない状態。5000万以下なら軽度ですが、100万を切ると重度と診断されます。
○精子無力症…活発に前進できる精子が25%未満、もしくは動いている精子が50%未満の状態です。すべての精子が動かない状態というケースもあります。
○精索静脈瘤…男性不妊と診断された人の40%に見られる、精巣の静脈にできるコブのような腫れで、造精機能に悪影響を及ぼします。
○勃起不全…EDとも呼ばれます。性交が可能なほど勃起状態が続かないもので、日本人の場合1千万人以上の方に充分な勃起が見られないそうです。
○膣内射精障害…性交には至るものの、膣内で射精ができない状態です。性交がなかなか満足に終わらない、という場合はこの状態が疑われます。

ほかにもさまざまな病気がありますが、まずは病院で精液検査を受け、精子に異常が見られる場合は精密な検査が行われて原因を突き止めていくことになります。

男性不妊の原因について

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ご紹介してきたさまざまな男性不妊の症状は、なぜ起こってしまうのでしょうか。その原因を詳しく見てみましょう。

○精索静脈瘤…先ほどもご紹介した、精巣の静脈の病気です。この病気にかかると造精機能障害が起き、乏精子症などが起こりやすくなります。
○精管の異常…精子が送り出される精管に異常があると、精子が作られても精液内に出てくることができません。
○過去のムンプスによる睾丸炎…ムンプス(流行性耳下腺炎)にかかると、合併症として睾丸炎を発症することがあります。特に大人になってからのムンプスは注意しましょう。
○男性ホルモンの異常…男性ホルモンや自律神経の異常で、質の良い精子が作られなくなります。
○その他疾患…さまざまな病気が原因で勃起障害が起きたり、精子の質に影響が及んだりします。
○サウナなどの高温や長時間の自転車による刺激…人によっては精子や造精機能にダメージを与えることがあるようです。
○肥満・生活習慣病…肥満や糖尿病などの生活習慣病は、精子の質を落とすだけでなく、勃起障害の原因にもなります。
○食生活のかたより…細胞分裂や新陳代謝を助ける亜鉛などが不足すると、質の高い精子が作られにくくなります。
○ストレス…心身のストレスは、性的機能の減退をまねきます。睡眠の質なども低下させ、健康そのものをおびやかします。
○飲酒や喫煙…深酒は性機能を低下させますし、健康にもよくありません。喫煙は今すぐにやめましょう。精子量が低下することが分かっています。
○加齢…精子も細胞の一種です。しかも新陳代謝の激しい細胞です。加齢によって新陳代謝がおとろえたり、活性酸素によるDNAの傷などの影響で、精子の質も低下し妊娠させにくくなったりします。

精索静脈瘤や精管の異常など、さまざまな病気が見つかった場合はその治療を行うことが最優先になります。現在では精液内にまったく精子が見られない無精子症の方でも、治療によっては妊娠させることが可能になっています。

しかし問題となるのは生活習慣や食生活・ストレスや加齢といった、医療では治療できない部分です。そのために、男性妊活が注目を集めているのです。

男性不妊を改善したい!夫婦で今日から始める妊活
生活習慣や食生活習慣を改めることは、夫婦で今日から始められることです。妊活や不妊治療は、夫婦で取り組んでこそ意味があります。病気の治療が必要になっても、励まし合い気持ちを理解し合えばきずなも深まります。

生活習慣や食生活習慣、飲酒や喫煙習慣を改めることはとても困難なことです。普段サプリメントを飲む習慣がない男性だと、忘れずにきちんと飲み続けることだけでも難しいでしょう。でも奥様が上手にリードしつつ一緒に取り組むことで、男性も三日坊主にならずに済みますよ。喫煙や、女性の場合は飲酒も妊娠・出産後に赤ちゃんの健康に悪い影響を与えます。今から控えておくと安心です。

時間が合う時に同じジムで軽く汗を流したり、朝一緒にウォーキングをしたりすれば、夫婦の時間も増えますよね。食生活習慣は、毎日朝食を一緒に食べたり、お弁当を二人で協力して用意したり、それが無理ならサプリメントを飲むことをメールなどで伝え合うこともコミュニケーションになります。

分からないこと、不安なことは徹底的に話し合い、苦手なことは補い合ってふたりで妊活を進めましょう。不安でいっぱいになってしまう初めての検査も、二人で行けば安心ですね。医師の話を二人で聞き、今後どう過ごせばよいか、どんなことが必要なのか最新の情報も共有しましょう。

 

 

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河野まちこ

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