2018.06.17
妊活中におすすめの食べ物をチェック!授かり体質を作る栄養素
妊活とは、「妊娠するための活動」です。妊活のためにさまざまな努力をしている方はたくさんいます。夫婦で妊活セミナーに通い、妊娠するための知識を学んだり、子宝の湯や子宝祈願で有名な神社仏閣に通ったりしているカップルもよく見かけます。
夫婦でともに取り組めるセミナー受講や子宝温泉旅行、パワースポットめぐりは、二人のきずなを強めてくれますし、気分転換にもなりますよね。ストレスを溜めることは妊活にとって良くないことなので、二人でお出かけすることはとてもオススメです。でもそれだけでは十分な妊活とは言えません。では、妊娠するために一番必要なことって何でしょうか。
それは「健康な身体づくり」です。男女ともに健康で、質の良い精子・卵子を作り出せる環境を作らなければ赤ちゃんを授かることは難しくなります。そして、健康な身体づくりのためにもっとも重要なことは、「食生活習慣」です。私たちの身体は、食べ物で作られ、食べ物に含まれる栄養素によって機能しているのです。では、妊娠しやすい身体になるためには、どんな食生活習慣や栄養素が必要なのでしょうか。
妊活年齢20代後半~40代はどんな身体の変化が起きるの?
妊娠しやすい身体になるためには、まず必要な栄養素を過不足なく、バランスよく摂取することが大切です。妊活をスタートするカップルの多くは30歳前後くらいの年齢でしょう。中にはもっと上の年齢というカップルも多いと思います。働き盛りで遊びも忙しい、人生が充実している時期ですね。
でも、身体の中ではすでにいろいろな変化が起こり始めています。まず、基礎代謝量が確実に衰えてきます。基礎代謝とは呼吸や消化など、人間が生きていく上で必ず必要となる活動で消費されるエネルギーのことで、24時間途切れることはありません。寝ている間もこの基礎代謝によって、人は多くのカロリーを消費します。
人間が行っている代謝(=新陳代謝)は3種類あります。
1.基礎代謝(約6~7割)
2.生活活動代謝…仕事や運動など身体を動かすことによるエネルギー消費
3.食事誘発性熱産生…食事で消費するエネルギー(約1割前後)
基礎代謝がどれほど大きなエネルギー消費になっているかよくわかりますね。生活活動代謝は人によって異なります。アスリートや肉体労働をしている人は大きく、軽いオフィスワークや静かな生活を送っている人は少なくなります。また体重1キログラムあたりで一日の総代謝量を計算するため、赤ちゃんは新陳代謝が活発ですが、そんなにたくさんカロリーを必要としないのです。
基礎代謝があるのだから、普通に食事をしていればメタボと縁はないと思いがちですが、それは違います。基礎代謝、つまり新陳代謝は新生児がもっとも活発で、その後どんどん衰えていきます。男性だと体重比におけるピークは15歳~17歳程度、女性だと12歳~14歳で、その後は下がっていきます。
20代の男性は中学生程度、20代の女性は小学校低学年程度の基礎代謝量しかありません。つまり男性は新陳代謝がピークであった高校生、女性は中学生頃の食生活を続けているだけで、どんどん健康的な食生活とはズレが生じてくることになります。30歳を過ぎると男性も女性も体重増加にともなって基礎代謝が少し上がりますが、その後は衰えてゆく一方です。体重1キログラムに対する基礎代謝基準値は、生まれたその時から減少の一途をたどっているのです。
つまり新陳代謝は年齢とともにどんどん衰えていきます。細胞が生まれ変わるまでの時間もどんどん長くなり、DNA等重要な情報のキズなども増えてきます。女性の卵子、男性の精子はともに新陳代謝が激しい細胞のひとつなので、新陳代謝の衰えをダイレクトに受けると言えます。
実際に、女性は30歳、男性は35歳を境に卵子と精子が老化していくと研究で分かっています。特に食生活習慣が乱れ、生活習慣が乱れて健康状態が悪化している人だと、もっと早く老化が始まっていてもおかしくありません。基礎代謝の衰えに気付かないまま高脂肪高カロリー高塩分の食事を続けていれば、生活習慣病のリスクも高くなります。
生活習慣病は、男性の性欲や性的な機能を低下させることが分かっています。特に糖尿病はEDの原因のひとつです。さらに飲酒や喫煙も男女ともに生殖機能に深刻な影響を与えます。
また女性はストレスや生活習慣の乱れが原因で、更年期障害の低年齢化が進んでいると言われています。女性は生活習慣病に加え、過激なダイエットの繰り返しによって体調を崩す人も少なくありません。こうした不調によって自律神経や女性ホルモンのバランスが崩れ、不定愁訴や妊娠しづらい身体へと変化してしまうこともあります。
妊活のかなめ、卵子と精子はどういう存在なの?
妊娠しやすい身体づくりのためには、やはり健康で若々しい、元気な身体でいることが大切です。人をひとり生み出すということは、とても神秘的なことですが、身体に大きな負担がかかることでもあります。出産の大変さにばかり目が行きがちですが、受精の段階ですでに人は過酷な環境を生き延び、苛烈な生存競争を勝ち抜き、奇跡の出会いを果たして豊穣の大地を手に入れる必要があるのです。
過酷な環境を生き延び、苛烈な生存競争を勝ち抜かなければならないのは、男性の精子です。精子は高温と酸性に弱く、ちょっとした不調で運動率や正常な形を保てなくなってしまいます。女性の膣内は弱酸性なので、実は射精されて飛び出したとたんに生きるには難しい環境に放り出されてしまうのです。
精子はもともと奇形率が高く、30%以上正常な精子がいればOKと言われています。運動率は射精後2時間で前進運動している精子が5割を超えれば正常です。しかし女性の子宮にたどり着くまでに、ほとんどの精子は死んでしまいます。1度の射精で数億の精子が放たれますが、生きて卵子にたどり着くのはほんの数百と言われています。
せっかく卵子にたどり着いても、卵子側に問題があったり、子宮の内膜が妊娠の準備を整えていない状態だったりすると、受精して育つことができません。そもそも月のうち、卵子の準備が万全なのはたった1日しかありません。精子の寿命は3~7日と言われますが、運動率がどんどん低下することを考えれば受精し、着床し、命が育まれると言うことは、千載一遇の奇跡なのです。
不妊と診断されたカップルのなかには、不妊検査を受けても男女ともに異常なしということもあります。原因がわからないのに、妊娠できないという状態です。現代の医療・科学をもってしても解明できません。だからこそ私たちにできること、つまり「健康でいること」に力をそそぐことが大切なのです。
妊娠しやすい「授かり体質」のためにオススメの食生活
それでは、妊娠しやすい「授かり体質」づくりのためには、どんな食生活を送る必要があるのでしょうか。
3食をバランスよく
朝は忙しいのでコーヒーだけ、昼は外食か買って済ませる、夜は残業中にファストフードをかきこむか、夜中に酒&つまみで済ませる……なんて食生活になっている方はいませんか。夫婦共働きで双方非常に忙しいと、食生活を整えることは難しいですよね。でもできるだけ朝昼晩の3食はかたよりなく食べることが、健康で妊娠しやすい身体づくりの基礎になります。朝は簡単に食べられるバナナやヨーグルトをプラス、昼はできるだけ野菜をとり、夜は油脂や塩分を控えめにする、などできる範囲からスタートしてみましょう。
酒・たばこは控える
飲酒や喫煙習慣は、授かり体質ではなく不妊体質へと身体を傾けてしまいます。また無事赤ちゃんを授かった際も、ママはお酒もタバコも厳禁ですし、副流煙の危険からパパもタバコは控えなければなりません。喫煙習慣があるなら今から禁煙しましょう。お酒は分解に負荷がかかります。また妊婦さんになるママやいずれ生まれる赤ちゃんにとっても、泥酔する癖のあるパパは大きなストレスになります。できるだけ二人で赤ちゃんが成長するまでお酒も控えるようにしたいですね。
いろいろな食品を食べる
主食は炭水化物、主菜はタンパク質、副菜はビタミンやミネラル・食物繊維などが補えます。特に妊活には良質なたんぱく質や多種多様なビタミン・ミネラルが必要になります。毎日決まりきったものを食べるのではなく、いろいろな食材を食べることで栄養素をまんべんなく摂取することにつながります。
サプリメントにも頼る
いろいろな食品を取るように努力しても、すべての栄養素をカバーできるわけではありません。そんなときは、妊活に必要な栄養素だけでもサプリメントに頼りましょう。
完璧を目指さない&ストレスをためない
食は本能に根差した行動ですが、人にとっての「食事」は本来楽しむものです。楽しく美味しく食べてこそ、栄養になるということもよく言われますよね。3食バランスよく食べるために寝不足を押してお弁当を作るなど無理をすると、あっという間にストレスが溜まってしまいます。ストレスは妊活の大敵!ストレスを溜めないように完璧は目指さず、外食やスーパーのお惣菜で野菜の多いものを選ぶなどちょっとした工夫をしたり、サプリメントで補うなどしましょう。
妊活に必要な栄養素を知っておこう!
では、妊活に必要とされる栄養素をしっかりチェックしておきましょう。
タンパク質
良質なタンパク質はとても重要な栄養素です。私たちの身体を構成する成分のうち、もっとも多いものは水分ですが、次はタンパク質です。タンパク質は私たちの身体の約2割を構成しています。タンパク質というと筋肉というイメージがありますが、血液や骨、皮膚などもタンパク質でできています。さらに免疫抗体やホルモンの原料にもなります。もちろん精子や卵子の材料にもなります。
必須アミノ酸
アミノ酸はタンパク質を構成する非常に小さな粒です。私たちが食べたタンパク質は、体内でアミノ酸に分解され、やっと身体に吸収されるようになります。私たちの身体を構成するタンパク質は10万種類にものぼるといわれますが、だいたい20種類ほどのアミノ酸が複雑に連鎖することでたくさんのタンパク質を形成しています。なかでも9種類のアミノ酸は人間の身体で作り出せないため、食べ物から摂取する必要があります。それらを「必須アミノ酸」と呼んでいます。
ビタミン
ビタミンは野菜をはじめさまざまな食物に含まれています。ビタミンはタンパク質・糖質・脂質の代謝を助け、身体を健康に保つための潤滑油として欠かせない物質です。妊活栄養素として非常に有名な葉酸も、ビタミンの一種です。ビタミンには水溶性と脂溶性の2種類があり、水溶性ビタミンは少量ずつ何度も摂取することで必要量を補うことができます。脂溶性ビタミンは油と一緒に調理することで吸収が良くなるという性質を持っています。
ビタミンは生命維持に関わる生理作用と、病気を予防したり重くなる前に食い止める薬理作用を持っています。抗酸化作用は薬理作用のひとつで、特にビタミンEやビタミンCの抗酸化作用は強いことが知られています。ビタミンEには生殖機能アップ作用もあります。
ミネラル
ミネラルは無機質とも呼ばれる栄養素のひとつです。カルシウムや鉄分・マグネシウムなどがミネラルに属しています。
特に妊活において、女性には鉄分、男性には亜鉛が重要と言われています。鉄分は貧血や体の冷えを防ぐ役割を果たします。亜鉛は男性ホルモン合成に深く関わり、精子の運動率をアップする非常に重要なミネラルです。
ミネラルやビタミンは「補酵素」とも呼ばれています。代謝には酵素が欠かせないのですが、酵素は体内で一定量しか作ることができません。そして酵素は代謝酵素と消化酵素に分けられます。身体が弱ったり傷ついたりして修復しなければならないときは代謝酵素が活躍するため、消化酵素の働きが弱くなり、食欲が落ちるなどの関係性にあります。
代謝や消化に欠かせない酵素の働きをサポートする働きを持つため、ミネラルやビタミンは補酵素と呼ばれているのです。
抗酸化物質
抗酸化物質は、身体の老化の原因となる活性酸素を取り除く役割を果たします。特に抗酸化作用が強いことが知られるポリフェノールは、植物が自らの身を守るために作り出す物質です。
食物繊維
食物繊維は水溶性と不溶性に分かれています。水溶性の食物繊維はオクラなどネバネバ食品に多く含まれます。便に水分を与えて柔らかくし、腸内善玉菌のエサになります。不溶性食物繊維は便のかさを増して腸内の老廃物などを巻き込み、排出する働きがあります。腸内環境を整えることは、血行を良くしたりむくみを取り除いたり、自律神経やホルモンバランスを整えることにもつながります。
葉酸
葉酸や亜鉛は妊活栄養素としてよく知っているという方も多いですよね。ビタミンB群のひとつです。DNAの合成や細胞分裂などに深く関係する重要なビタミンなので、質の良い卵子や精子を作らなければならない妊活にも必要不可欠とされています。さらに妊娠のごく初期に、胎児の神経管発達に非常に重要な役割を果たします。妊婦さんに葉酸が必要になるのは、妊娠に気付かない時期からなので、妊活中から積極的に摂取する必要があるのです。妊娠に関わらず、不足すると貧血や口内炎・皮膚障害などが起きることがあります。ホウレンソウやアスパラガス・ブロッコリーなどに含まれていますが、熱にも水にも弱く、野菜に含まれる量も微量なので、サプリメントで補うことが勧められています。
サプリメントも活用して、気楽に食生活習慣を軌道修正していこう
妊活は、健康な身体を維持することが第一歩です。その基礎になるのは毎日の食事です。でも忙しい日々の中でバランスの良い食事を三度三度用意することは大変な負担ですよね。楽しいはずの食事がストレスになってしまっては、せっかくの妊活が本末転倒になってしまいます。
そこで役立てたいのがサプリメントです。妊活に必要なアミノ酸やビタミン・ミネラル類には、葉酸のように食事で補うことが難しいものも少なくありません。そこでサプリメントも上手に活用して、夫婦で気負うことなく食生活習慣を軌道修正していきましょう。
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河野まちこ
ライター