9歳の男の子に起きた痛ましい事故

毎日、本当に暑い日々が続きますね。なんだか、毎年毎年どんどん暑くなっているような気もします。そんななか、「９歳男児が駐車場の車内で死亡　母親が車の鍵預けて残す…熱中症か　奈良市」というニュースが7月25日、産経新聞より報じられました。

それは、奈良県奈良市内の駐車場で7月24日に起きた熱中症による死亡事故。なくなったのは小学4年生（９歳）の男の子。

奈良県警などの調べによると、母親と男児は車内で昼食をとっていましたが、食べ終わらなかった男児は、近くの病院へ診察に行く母親に同行するのを拒みました。このため母親は午後１時半ごろ、車内に男児を残して、エンジンを切り、窓を閉めて、車の鍵を渡して「後から来るように」と伝え、病院に向かいました。母親はドアを施錠しなかったと言っているようですが、発見時にはロックされていたと話しており、県警は何らかの理由でロックがかかってしまったとみて経緯を調べています。

病院の待合室に男児がいないことに気付いて、パーキングに戻ったところ、ぐったりとした男児を発見しました。

車は窓も閉まっており施錠されたままだったため、駆けつけた救急隊員が窓を割って救出しました。男児は病院に搬送されましたが、25日未明に死亡が確認されたとのことです。

案外多い!?　子どもの車内閉じ込め

9歳だから大丈夫だろう…そんな風に母親は思っていたのかもしれません。

JAFの発表によると、間違ってロックをしてしまい、車内に閉じ込められる事故は少なからず起きているのです。

平成22年4月にＪＡＦ（社団法人日本自動車連盟）が発表したものですが、この年の、2月と3月のロードサービスのうち、幼い子どもが自動車の車内に残されたままの「キー閉じ込み」件数は、全国で452件。このうち、車内にいる子どもがドアをロックしてしまって閉じ込められてしまった件数は114件で、全体の約25%です。
車内にいる子どもが、ドアロックのスイッチやリモコンキーを操作しているうち、誤ってロックしてしまったもの。案外多いことにびっくりしませんか？

2〜3月ですと、熱中症の恐れはあまりないかもしれませんが、春以降は危険ですね。実際、JAFが行った車内温度の測定テストでは、気温が20度程度でも、閉め切った車内は50度近くに上昇することがわかっています。

「キー閉じ込み」を防止するポイントが紹介されていました。

・ドアの施錠は保護者（大人）がカギを手に持って行う。リモコンキーの場合も同様に。
・トランクに荷物を積み込む場合は要注意！
・トランク内のキー置き忘れなど
・クルマのキーやリモコンキーは子どもに渡さない。

公益社団法人小児科学会では、車内に閉じ込められてしまった子どもの症例が報告されています。

8月30日の朝に起きた事故では、1歳3ケ月の男の子の場合、約30分でぐったりと座り込んでしまったため、ロードサービスの到着を待たず、救急隊の判断でガラスを割って児を救出しました。この時の体温はなんと39.9度。ややぼんやりとした様子でしたが、飲水は可能。とはいえ、全身状態不良と判断され、3次救急施設にホットラインで搬送されました。

外は30度の晴天で、車中の温度が急上昇されることが予想されたため、ロードサービスなどの救助が来るまで、近所の人たちが車にブルーシートをかけて、放水して車体を冷やすなどの工夫をしていました。もし、この作業がなかったら、もっと早くに大変な状況になっていたかもしれません。放水などの対処がとれる状況は、不幸中の幸いだったといえるでしょう。

炎天下で子どもが車内に閉じ込められてしまった場合、可能なら「車体に水をかけて冷やす」は有効だそうです。

アメリカでも同じような事故が起きていました。

これを見ると、窓を割るのは非常に難しそうです。犬を助けた例ですが、実際に警察官が割ったシーンが映し出されていました。手袋をして、何か専用の道具のようなもので割っていることが分かります。

では、車内に閉じ込められてしまったら…どう対応するのがよいのでしょか？

1.まずは119番、JAFに連絡をする。場合によっては110番も。

2.近くにいる人に助けを求め、協力してもらう。

3.車体を水で冷やす。窓を割る努力をする。

これから夏のレジャーシーズン。トラブルが起きたときの解決方法は、いくらでも仕込んでおいてソンはないのではないでしょうか。

＜参考サイト＞

「JAFニュース」子どもの閉じ込めに注意

「公益社団法人小児科学会」