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2016.06.19

【妊娠と学業の両立はダメ?】 妊娠中の女子に「休学」を勧めた高校に思うこと


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高校生で妊娠、ありえないコトではありません

妊娠中の高3女子生徒に体育の授業を要求 京都の高校、休学勧める」というニュースが産経新聞より報じられたのは6月15日のこと。この記事は、京都府立朱雀高校(京都市中京区)が2015年11月、妊娠中の高校3年生の女子生徒(18歳)に、休学を勧め、卒業するには体育の実技(球技や持久走などを含む)の補習が必要だと説明していたことが分かったというものです。

この女子生徒は、夏休みの終わり頃に妊娠が発覚し、4歳年上の交際相手を話し合い、産むことに決めました。そして新学期が始まってから、養護教諭や担任に妊娠を告げ、クラスメイトたちからも「一緒に卒業しよう」とか「体調大丈夫?」などと気遣われながらも、出産を楽しみにしながら妊娠生活を送っていたそう。

しかし、11月に行われた副校長を含めた4者面談などで、出産準備に専念するため休学するよう勧め、その際には「女子生徒の体育の成績が『1』のため、卒業するには実技の補習が必要になる」と説明したそうです。

妊娠は“特別な事情”ではない!?

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産経新聞の取材には、

「母体のことを考慮すれば、ハードな実習だけを課すことは考えていなかった」としており、「生徒側との話し合いのなかで、実技の補習を座学などで代用することも視野に入れていたとした」と釈明したが、そのことについては女子生徒側には伝えていなかった。

とのことです。なかなか苦し気な言い訳ですが、実は、京都新聞には、かなり強気なことを言っていました。

妊娠は本校が定める『特別な事情』ではない。体育の補習は実技しかなく、妊娠していても持久走などハードなことをやる必要があったと語った。

朱雀高では、病気や生理は「特別な事情」と位置づけ、体育を建学しても成績面で配慮している。

 

妊娠は、生理の一貫ではないのかな? と素朴な疑問を抱かされます。でも、さらに読み進めていくと、ここに本音があるのだなと思うのです。

生徒の妊娠は今の社会の中でマイナスイメージがかなり強い。朝から夕方まで学業に取り組む全日制の主旨にふわさしくなく、これは府民の要請だ」とした。その上で「妊娠すると子育てに専念すべきで、卒業するのは甘い」との見解を示した。

 

そして、12月になると、封筒に入った白紙の休学届けが、女子校生の自宅に届いたそうです。女子校生は「友達と卒業したい」と繰り返しており、母親も娘の気持ちを尊重したいと応援していたため、このことが発覚したのではないかと思われます。

さて、その例の副校長は「今は学業ではなく赤ちゃんを考えるべき」と休学を勧めていたとのこと。えーと、私学ならともかく、府立です。公的機関で、副校長ルールで物事進めちゃまずいんじゃないでしょうか

子育てと学業の両立は「しないほうがいいもの」なの?

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さて、子どもを持っている女性なら「えー? 妊娠中に卒業しちゃったほうが楽だよ! 出産後に復学なんてありえない。妊娠との両立より、育児との両立のほうが断然大変だよー」と思うのではないでしょうか。そして、多分、この記事を読んでいるワーキングマザーたちは、もっとハードな全日制仕事をしている人もいるのではないかと思うのです。朝8時に家を出て、9時から仕事。残業もこなして、帰宅は21時、22時……なんて妊娠生活を送っていた人も、私の回りには少なからずいます。

朝から夕方まで学業に取り組むと、妊娠を継続できず、出産もできない、そして学校を辞めなければ子育てができないという考え方は、今の時代に反しているのではないでしょうか。また、今やどの学校でも、「日本人としての誇りを保ちながら、国際人として活躍できるような人を育てる」というのを教育の目標として上げているはずです。そのなかには、女性でも「職業を持ち自立して生きる」ことを目指している部分もあるはずです。

そういうことを教えているはずの学校が、妊娠・出産と学業の両立を応援するのではなく、「出産、育児に専念すべき」と指導するのは、おかしな話。教育目標は建前なんですかねえ? とツッコミを入れたくなります。さらにいえば、もし、この女性生徒が“妊娠した女子”ではなく、“妊娠させた男子”だったら、妊娠の事実を伏せてしまえば、何の問題もなく、学校を卒業していくことができたでしょう。否が応でも“妊娠が発覚する”女子生徒だったから、休学を選ばざるをえなかったとも言えます。

男女の性差によって、不条理を受け入れなければならないと学んでしまった18歳の少女は、今後、大人や社会に対して、どのような思いを抱いていくのでしょうか。

また、弁護士ドットコムでは、

今回の高校の一連の対応は、憲法で保障された教育を受ける権利や幸福追求権といった人権を制約する行為として、違法と判断される可能性があると考えられます

と作花弁護士は指摘しています。

今後、この女子生徒が「分かってくれる大人もいるんだ」「子どもがいても夢を追いかけていいんだ、自分らしく生きていいんだ」と心から思えるような、解決が待っていることを願います。

【記事まとめ】ママニュー7Days

中山美里

中山美里

ライター、編集


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